アマが消えて、一週間目。 俺は、神根遺跡を訪ねることにした。 夜の国道を抜け、ナビに載らない山道を進む。 アマが何気なく話していた「根」のある場所。 「いつか一緒に行こう」と笑っていた、その場所に、俺は一人で来た。 ここで──あの時、腕輪を拾った。 岩の裂け目に落ちていた、異様な金の光。 触れた瞬間、掌がじんと熱くなり、 どこか遠くで鈴が鳴ったような気がした。 あの夜、家に帰ると──あいつがいた。 もし……アマとまた会える場所があるとしたら、ここしかない。 そんな気がした。 フロントガラスの外、街灯のない夜が続く。 音もなく降る雪が、視界の奥を白く埋めていく。 一週間。 時間は経ったのに、胸の奥はまるで凍ったままだった。 何をしても落ち着かなくて、 仕事中も、食事中も、眠る前も、 ふとした瞬間に、あの消え方が頭を刺した。 ……もう、会えないのかもしれない。 そんな考えが日に日に強くなって、 そのくせ、どうしても何かをしないといられなかった。 冬の空気が、肺の奥まで刺さる。 舗装が途切れた先に、フェンスと警告板。 「関係者以外立入禁止」──黄色いテープが夜風に揺れている。 俺は、それを見ても引き返さなかった。 懐中電灯を手に、崖沿いを歩く。 地層が露出した岩肌に、白い柱が並んでいる。 風で草が鳴る。誰もいない。 それでも、ここに何かがいるのが分かった。 右手の紋が、かすかに熱を帯びる。 アマの気配。 心臓が、勝手に跳ねる。 この先に、何かがある。あってほしい── そう願いながら、俺は名を呼んだ。 「……アマ」 返事はなかった。 でも、風が一瞬だけ止まった。 空気が凍る。何かがこちらを見ていた。 そのときだった。 右手が、焼けるように痛んだ。 「──っ……あぐ、っ……!」 光が走り、手首から肩まで痺れが広がる。 視界が白く霞んで、立っていられなくなる。 まるで、誰かに「来るな」と叩き返されたみたいに、全身が後ろへ弾かれた。 冷たい地面に背中を打ちつけ、肺から空気が抜けた。 咳すらできず、ただ空を仰いだまま動けなかった。 右手の紋が、赤黒く脈打っている。 それは──まるで
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