優弥に手を引かれやって来てたのは、沢山の人で賑わう居酒屋。 「ここならお前も安心できるだろ?」 「……まあ、妥協点」 「あははは!手厳しい!」 軽口を叩きあっているが、こんな場面を仲佐に見られたらと言う緊迫感と優弥と二人きりという緊張感で、心情が落ち着かない。 賑わっている居酒屋を選択する当たり、最低限の配慮は見せてきたと言えるが…… 「そんなに警戒するなよ。取って喰おうなんて思っちゃいないよ」 「……強引に連れて来た人間が良く言う」 「少しぐらいは付き合ってくれてもいいだろ?明日からの活力にする為に。な?」 「……私は栄養ドリンクじゃないわよ……」 白い歯を見せながら微笑む優弥に呆れながらもメニューに目を通し、いくつか注文することに。 「じゃ、改めて乾杯」 「はい、乾杯」 もうこうなったら仕方ないと腹を括った。 (まあ、少し相手すれば満足するでしょ) そんな軽い考えだった。 優弥は酒を呷りながら、地元の事や同級生の事を面白おかしく離して聞かせてくれた。私もいつの間にか大口を開けて笑っていた。 「あぁ~笑った笑った。ここ数年で一番笑ったわ」 「それは嬉しい限りだね」 「やっぱ勇也といるのは楽しいわ」 「え?」 酒を持つ手が止まり、目を見開いて驚く勇也を見て、すぐに自分の失言に気が付き口を覆った。 「おま、それって……」 「ち、違うわよ!友達としてって意味で――!」 慌てて否定するが、目の前で顔を真っ赤に染める優弥を目にしたら何も言えなくなってしまった。 「お前がそう言うつもりで言ったんじゃないのは分かってる。分かってるけど、まずいな……想像以上に嬉しい」 口元を手で覆い、照れくさそうにしている。こんな勇也見たことがない。 「またまたぁ」なんて学生時代なら茶化して誤魔化して終わりだが、いい歳になってからの恋は思った以上に厄介だということに気付かされる。 お互いに顔を染め、気まずそうに顔を俯かせていると「紗千香か?」なんて聞き覚えのある声が聞こえた。 「あ、やっぱり紗千香だ」 「小柴さん!?」 「よッ!こんな所で会うなんて偶然だな」 手を挙げながら笑顔の小柴とは対照的に、紗千香の方は顔色が悪くなる。 (なんでこんなところで……) 小柴さんは仲佐さんとも顔見知りだ。この人のお陰で仲佐さんと仕事が出来ている
Última actualización : 2026-03-25 Leer más