LOGIN主人公の伊崎紗千香は声優の仲佐皓也に憧れ声優の道へ。 ある時、憧れである仲佐と仕事を一緒する事に。仲佐は低音ボイスで甘い言葉を吐き、世の女性達を虜にしてきた声優。歳を感じさせない容姿と無意識に放たれる色気は犯罪レベル。 紗千香はその色気に当てられて失敗ばかり。 「俺が教えてあげる」 年齢=彼氏いない歴の紗千香に男を教えてあげると宣言。 突如訪れた憧れの人と甘い時間。 憧れから始まる恋……時々嫉妬に執着?
View More私、
「お待たせ」 次の日、優弥は時間通りに家にやって来た。ラフな格好のように見えても清潔感はしっかりあって、女性ウケの良さそうな車に、助手席のドアを開けてエスコートしてくれる。 恋愛対象として見た事無かったから気づかなかったけど、これは…… (女子が黙ってないわ) これが俗に言うスパダリってやつなのかと、しみじみ感じた。 「なんだ?見惚れた?」 「馬鹿じゃないの?なんで私が優弥に見とれんのよ」 「えぇ?そんなこと言って、結構図星なんじゃないのか?」 ハンドルに手を掛けながら、揶揄う様な言葉を投げてくる。確かに、少しぐらいは見惚れたかもしれないが、悔しいから絶対に言ってやんない。 「どこに行くの?」 車がゆっくりと動き出すと、優弥に問いかけた。 「ああ、隣の市に大きなショッピングモールが出来たんだよ。俺もまだ行ったことないからさ。一緒にどうかと思って」 「へぇ、知らなかったな」 「そりゃそうだろ」 車の中は終始笑い声が絶えず、1時間ほどの距離もあっという間だった。 目的地に着いてからも、優弥は「疲れないか?」なんて、私の事を気遣っては声をかけてくれた。こういう気遣いも昔から変らない。 一緒に買い物をして回って気が付いたが、私と優弥の趣味は結構似ているらしい。 「ええ!?学生の時は気付かなかった!」 「そりゃお前、俺なんて眼中になかったんだろ?ひっどい奴だよな」 「そんな事……あった?」 「お前さぁ、そこは嘘でも否定するところだろ!」 「あはははは!ごめんごめん!」 怒った風を装い、手を振り上げる優弥から笑いながら逃げる。年甲斐もなくはしゃいでる自覚はある。それだけ楽しいって事なん
「……来ちゃった……」 紗千香が訪れた所は、先日、同窓会でやって来た地元の駅。 悩みに悩み抜いて下した決断は、地元へ帰省する事。 本当は実家には頼りたくなかったが、1週間もアパートにジッとしているなんて無理だし、仲佐さんから物理的な距離で離れたかったってのが一番の理由。 「ただいま……」 「……おかえり」 言えに帰ると、母が今でお茶を飲んでいた。声をかけると、そっけない言葉が返って来た。 久しぶりに帰って来たんだからもう少しなんかあるんじゃないの?なんて少し不満はあるが、何も聞かれない方が今はいいかもしれない……そう思いながら、二階にある自室へと向かった。 部屋は私が出てったままの状態だった。家を出てから数年。それなのに机の上や本棚には埃は被っていない。それは、母がこまめに掃除しているのが分かる証拠だった。 (……) ベッドに寝転ぶと、布団もお日様のいい香りがする。そっけない素振りを見せていても、しっかり自分の事を思っている事が分かり、ジンッと胸が熱くなった。 (これからはもう少し帰るようにしようかな……) そう思えるようになった。 *** 「なんだ?ついに出戻って来たのか?」 何処で聞きつけたのか知らないが、次の日に優弥が家にやって来た。 「違うわよ。急に休みになっちゃったから帰って来ただけですけど?」 「はいはい。そう言うことにしとくよ」 「だから違うって!」 こうして優弥と部屋で話していると学生時代を思い出して、ちょっと楽しい。 「なんか学生に戻ったみたいだな」 「私も今そう思ってた!」 「マジ?」
明らかに風呂上がりの香里を目にした紗千香は、戸惑いと困惑で茫然としたままその場に立ち竦んでいた。「どうしたの?浩也に何か用?」「いや、あの……」 私が仲佐さんと一緒に住んでいることを知っている人はいない。ここでバレるのはまずい気がする。けど、この状況でなんて言い返せばいいのか分からない。「えっと……」「香里!お前、何勝手に歩き回って……って紗千香ちゃん!?」 香里さんの後ろから仲佐さんが顔を出してきた。私の顔を見た瞬間、明らかに焦りの表情を見せた。そんな顔、後ろめたいことがなければしない。 紗千香はギュッと拳を握りしめた。「なにぃ?別にいいじゃない。今更知らない仲でもないでしょ?」「おまッ!誤解されるような言い方するな!」「あら?間違ってはないでしょ?」 マイペースに話す香里さんに、仲佐さんは頭を抱えているが、仲の良さは見ていてよく分かる。「あ、あの……なんか、お邪魔みたいなんで、失礼しますね」「ちょっと待って!どこ行くの!?」 苦い笑みを浮かべながら外へ出ようとドアに手を掛けると、仲佐さんが慌てて止めてきた。「コイツとは何もないんだよ。本当だ。今すぐ追い出すから待って」「なに言ってんのよ。今日は泊めてもらうって言ったじゃない」「だから!それは断っただろ!?」「私の服残ってるでしょ?何処にある?」「聞けよ!」 紗千香は口論する二人の様子を見て、自分の居場所がないことに気付かされた。虚しさが一気に襲ってくる。(喧嘩するほど仲がいいって言うもんね) 口では何とでも言えるが、仲佐さんがここまで言い合えるのは香里さんしかいない。 紗千香は、未だに言い合っている二人に何も告げずソッと部屋を出た。 ***「これからどうしよう……」 仲佐のマンションを出た紗千香は、空を見上げながら呟いた。 まあ、普通に考えて自
「本ッッッッ当にごめん!」 紗千香はスマホを耳に当てながら頭を下げていた。 『もういいって。それなりに楽しかったしな』 電話の相手は昨夜置き去りにした優弥だ。 優弥からのメッセージに気が付いたのは昼過ぎ。私を心配する言葉を中心に十数件溜まっていた。慌てて電話すると、ホッとしたような声色で『おはよう』と言われた。 終電を逃した勇也は、近くのビジネスホテルに泊まり、始発で地元に帰ったと言っていた。香里さんが随分と世話を焼いてくれたようで、次に会ったら礼を伝えてくれと頼まれた。 「仕方ないから今度埋め合わせしてあげる」 『あははは!それは楽しみだな』 元はと言えば優弥が強引に飲みに連れ出したのが発端だが、置き去りにしたのは流石に罪悪感を感じてる。その分ぐらいは償ってあげる。 『……なあ……』 「ん?」 『好きだよ』 「は?」 『愛してる』 「え、ちょっと、は?なに!?」 優弥の真剣な声に耳が熱くなる。不意打ちにこれは心臓に悪い。 『言葉にしなきゃ伝わらないと思ってな。言ったろ?諦めないって』 「いや、そうだけど……」 これは狡い。 『もう手段は選ばない。必ずお前を俺のものにしてやる』 「え」 『覚悟してろよ』 「ちょ、優弥!?」 捨て台詞を吐くと私の声も聞かずに通話を切られた。 *** この日は、仲佐さんはオフの日。まだ眠っている仲佐さんを起こさずにそっと家を出た。 一緒に暮らすようになって、何となくそうじゃないかと思っていたが……仲佐さ
優弥に手を引かれやって来てたのは、沢山の人で賑わう居酒屋。 「ここならお前も安心できるだろ?」 「……まあ、妥協点」 「あははは!手厳しい!」 軽口を叩きあっているが、こんな場面を仲佐に見られたらと言う緊迫感と優弥と二人きりという緊張感で、心情が落ち着かない。 賑わっている居酒屋を選択する当たり、最低限の配慮は見せてきたと言えるが…… 「そんなに警戒するなよ。取って喰おうなんて思っちゃいないよ」 「……強引に連れて来た人間が良く言う」 「少しぐらいは付き合ってくれてもいいだろ?明日からの活力にする為に。な?」 「……私は栄養ドリンクじゃないわよ……」 白い歯を見せながら微笑
優弥この日、休暇の紗千香は最寄り駅へと来ていた。 先日の同窓会で会えなかった友達から「会いたい」という連絡があったからだ。「紗千香!」 「亜美!」 笑顔で駆け寄り、再会を喜ぶように強く抱きしめ合った。 柏木亜美は幼稚園から仲で、優弥と三人よく一緒にいた。同窓会の日は、亜美の子が熱を出してしまったので欠席だった。「元気だった!?随分と都会染みた格好してんじゃん!」 「見ての通り。そっちこそ、大丈夫なの?」 「子供?もう全然よ。今日は旦那に押し付けてきたわ」 「あははは!相変わらずだなぁ」 この変わらないノリが昔に戻ったようで心地よい。「おいおい、俺を忘
──仲佐と紗千香が姿を消した酒の席では、置いてけぼりを食らった優弥が香里に管を撒いていた。 「あの人、なんなんっすか」 「仲佐浩也。声優界で知らない人はいないわよ?」 「そう言うんじゃなくて!」 ダンッ!とグラスを叩きつけるように置くと、崩れるように顔を埋めた。 「……俺、ずっと好きだったんすよ」 「あら、その言い方は過去形よ?諦めたの?」 「まさか!」 香里の言葉に勢いよく顔を上げて
ガヤガヤと賑いながら酒を酌み交わしているのを目にしながら、何故私はここにいるのだろうと問わずにはいられなかった。 隣には不機嫌で仏頂面の優弥。反対側には不気味なほど笑顔の仲佐さん。更にその隣には香里さんまでいる。他にも数人知った顔はいるが、酒の席なのであまりこちらを気にしていない。「ごめんねぇ。ここはおじさんが驕るから、好きなもの頼んでよ」 小柴さんは罪悪感からか、優弥を気遣って声をかけてくれている。「いいですよ。紗千香の仕事知るきっかけにもなりますし。……まあ、遠慮なく驕ってもらいますけど」「あ