「私は……」 亜美に問われて、すぐには答えられず言葉に詰まる。 亜美の言う通り、優弥を選べば幸せになれる。けど、それは私の本当の気持ちじゃない。優弥ならそれも全て受け止めてくれるとは思う。でも、それは優弥の優しさに甘えて優弥の気持ちを利用しているだけ。 それで幸せと言えるだろうか……「私は…仲佐さんと一緒にいたい。どんな結果になろうと後悔はしない」 真っ直ぐ、亜美の目を見つめたまま言い切った。 二人の間に重苦しい空気が漂い、しばしの沈黙。息が止まりそうなほどの緊張感に、紗千香の額に汗が滲む。「──はぁ~」 大きな溜息が聞こえ、息を吹き返した。「まったく、あんたは一度決めたら頑固なんだから……」 眉を下げ、苦い笑みを浮かべた。「正直、私は優弥の肩を持ちたいけど、あんたの気持ちも大事にしたい」「亜美…」「まあ、当たって砕けるのも、一度くらいは酷い目に合うのも経験。いつでも泣ける場は用意しておいてあげる」 子供に向けるよな温かい笑顔で勇気づけられた。 まさか素直に受け入れてもらえるとは思わず、少し意外だった。学生時代の亜美だったら、何が何でも止めていた。 亜美もまた、子供が出来て心に変化が生まれたんだろう。みんな恋をして成長していく。(私も前に進まなきゃだね……)「亜美、ありがとう」「別に、私は特別なことは言ってないよ。ただ、あの紗千香が本気の恋をしてることが嬉しいだけ」「……本当、恋って面倒で苦しいね」「それも思い出になる時がくるよ」「そうなればいいな……」 明日には地元を離れる。帰ったら、仲佐さんと話をしよう。自分の気持ちを話して、仲佐さんの気持ちを聞こう。いつまでも逃げていられない。 *** そうして次の日、帰り支度をして家を出ると、目の前に優弥が立っていた。「行くのか?」「うん
Última actualización : 2026-04-22 Leer más