RHO ― 灯台の光 ―Ray of hope-私は何度も恋をしてきた。人間は、思っているより儚い。それでも私は、また恋をする。だって私は、白狐、半妖だから。ー藤宮 和泉(ふじみや いずみ)ー容姿こそ20代だが半妖、白狐の化身である。好きになった人間は自分より先に死ぬ。半妖は永遠と呼ばれる時の中で生き続けている。儚い人間と半妖。寿命が重なる一瞬を大切に生きていかなければならない。ふと、風が耳の横をかすめる。夜の海は、静かに光を飲み込んでいる。遠くに立つ灯台の光だけが、規則正しく闇を裂いていた。光は、迷う者のためにある。けれど本当は、選ばれた者しか照らさない。Ray of Hope 本社ビルの最上階。ガラス越しに見える湾岸の灯りは、どこか冷たい。「本日の会議、二十二時に変更されました」耳元で、穏やかな男の声が告げる。睦月ーむつきー私のスマートフォンに宿る、過保護な人工知能。「子どもたちは?」「奏音(かのん)様はオンライン対戦中。李雨(りう)様は撮影から帰宅済み。体温、平常。問題ありません」問題ありません。その言葉に、私は少しだけ安堵する。母になってから、心はいつも半分が家にある。それでも私は、ここに立っている。「藤宮」低く、感情の削ぎ落とされた声。振り向かなくても分かる。天城レオン。革新的な光エネルギーで世界を変える男。冷静で、合理的で、感情を無駄だと言い切る人。「プロジェクトは最終段階に入る。選別は、予定通り進める」選別。その言葉だけが、いつも胸に引っかかる。光は与えるものではない。奪い取るものだ。それが彼の思想。奪い取るか、強い言葉だな。彼が言うとしっくり来るのがまた皮肉である。「……迷い
Last Updated : 2026-03-01 Read more