40分後、車が高銀の本社ビルの前に到着した。美羽と悠斗が車から降り、ロビーに入った。上へ行くにはカードキーが必要だ。美羽は再び翔平に電話をかけ、着いたことを伝えた。数分後、スタッフが迎えに下りてきた。「イヴリンさん、こちらへどうぞ」二人がスタッフに続いてエレベーターへ向かった。すると、スタッフは突然立ち止まり言った。「こちらの男性はお待ちください。中山社長はイヴリンさんとだけお会いになるとのことですので」悠斗が動きを止める。美羽は彼を見て言った。「悠斗、先にあそこで待っていて」翔平は迅とは違い、変な真似をするような男ではない。「分かった」美羽はスタッフの後を追って上の階へ向かった。オフィスに着き、スタッフがドアを叩く。中から返事が聞こえると、ドアを開けた。美羽が中に入ると、広々とした部屋が目に入った。窓からは都市の風景が一望でき、何とも言えない重圧感が漂っていた。そして、デスクに座る男を見た。冷ややかな顔立ちで、すべてを手の内で操っているかのような冷酷さが漂っている。美羽は深く息を吐き、足を踏み出した。翔平は視線すら上げなかった。美羽は立ち止まり、彼に問いかけた。「株式譲渡契約書は?」翔平と対立しないよう、できるだけ冷静を装った。今はただ株式譲渡契約書を手に入れてサインを済ませたいだけだ。翔平は相変わらず目を向けず、パソコン画面を見たまま詰問するように言った。「株式を売却する理由を教えろ」やはり簡単には渡してくれないか。美羽は答えた。「今後の仕事は国内が中心になるから、こちらの会社運営にまで手が回らないの。信頼できる会社へ譲渡し、運営体制を変えずに業績を確保するつもりよ。N・Sの不利益にはならない」翔平はそれを聞いて、ようやく顔を上げた。「売却前にN・Sへの通達もなしに独断で決めるなど、株主の利益を軽視しているのではないか?」実際には手続き上の通知だけで十分であり、事前の面会など本来必要のない話だ。K・UはN・Sにとっては微々たる影響に過ぎないのだから。しかし、翔平は明らかに美羽を困らせようとしている。美羽は苛立ちを堪え、丁寧に応じた。「ごめんなさい、私の配慮が足りなかったわね。必要な書類データはすぐに送れるから、確認してくれないかしら?」翔平は目を細
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