昼食を済ませた後、悠斗が車を運転し、美羽を会社まで送った。美羽は仕事に追われていた。悠斗は休憩エリアに座り、美羽の仕事の邪魔をしないようにしていた。その時、スマホが震えた。画面を確認して、悠斗の目が少しだけ険しくなった。着信音が鳴り止む直前、ようやく電話に出た。「翔平さん」「悠斗、Y市になんの用だ?」と、翔平が平然と問いかける。「仕事の件で」それから、余計なことは一言も付け加えなかった。「片付いたのか?」と、翔平がさらに追及してくる。それはまるで、ただの親戚が年下を気にかけているかのような自然な口調だった。「まあ、ほとんどは」「どこに泊まっている?」悠斗は質問には答えず、「何の用?」とだけ返した。電話の向こうで少し間があったあと、言われた。「いや、別に。仕事が終わったなら早く帰国しろ」翔平はそれだけ言い捨てて通話を切った。悠斗はスマホを置き、じっと画面を見つめていた。戻ってきた美羽が、黙りこくってスマホを睨む悠斗に気付いた。「どうかした?」悠斗は表情を繕い、笑いながら返した。「なんでもないよ」美羽が菓子箱を差し出す。「こっちのお菓子ってどう?国内のより美味しいかな?」一つ食べてみた悠斗は答えた。「やっぱり国内の方がしっくりくるな」ここ数日、美羽の毎日はいつも通り過ぎ、迅との遭遇などまるで幻だったかのようだった。翔平についても同様だ。彼から連絡は一切なかった。今になって気付いた。あんなに親しそうにしていたあの二人は一体どういう仲だったのか?いや、考えてみれば国内では、自分と翔平の繋がりはあくまで、柚葉のお陰での縁だったはずだ。今の場所、Y市なら。ここではもう、自分と翔平は無関係な他人だと思えた。そう思うと、心が不思議と軽くなった。この日、デイビッドの紹介先企業の責任者と顔合わせがあった。一紀の運転で美羽は会社へ向かう。すると、途中で隆からの着信が入った。「先生」隆は美羽の声がいつも通りなのを確認すると、言った。「さっき空港に着いたんだ。今、忙しいか?」それを聞き、美羽は動きを止めた。「空港?どちらのでしょうか?」「Y市だ。ちょうど急な仕事が入ってね」と隆が笑う。納得した美羽は、やわらかな口調で返した。「そうだったんですね。どうして
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