記念するべき三百回目の建国祭は歴史に残る事件が勃発し、波乱に満ちていた。だが、事件は迅速に解決し、幕を引いたのだ。 セレーネの暗殺を企てたハルヴィオン侯爵は裁きの後、毒杯を賜った。だが、家族はハルヴィオン侯爵の企みを知らず家の取り潰しは免れ、爵位は長男が引き継いだ。実行役の家令は家族の命を盾に取られたこと、暗殺が未遂に終わったことで情状酌量となり、家族とともに国外追放となった。 そして、今日はフローラが離宮に旅立つ日だ。 セレーネは国王とともに王宮の門まで馬を駆ってフローラの見送りに来た。 「あの……お姉様。今までいろいろとごめんなさい。わたくしお姉様が羨ましかったの。美しくて賢くてわたくしにはないものをたくさん持っている。それなのにお父様の愛情や女神エステルにも愛されてずるいって妬んでいたの。逆恨みもいいところよね」 「本当に困った子よね。私はずっと貴女と仲良くしたかったのよ。だって腹違いでも私たち姉妹だもの」 「お姉様!」 フローラが涙を流してセレーネに抱き着いてきたので、子供をあやすように背中を優しく撫でてやる。 「お許しが出て王宮に帰ってきたら、お茶会でもしましょう。その前に私が離宮に遊びに行くけれどね」 「本当に? 約束よ。お姉様」 「ええ。約束よ。ほら! 小指を出して」 フローラは首を傾げながら、おずおずと小指を出す。セレーネは小指を絡ませて指
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