ある日、夫の岩崎翔平(いわさき しょうへい)が秘書・加藤美月(かとう みつき)の電話番号を、私たちの家族割プランに追加していることに気づいた。アプリに表示される、私と翔平のものではない携帯番号。私は翔平を問い詰めた。「彼女を家族扱いするなら、私は一体何?」彼は面倒くさそうにこう言った。「毎晩、夜通し電話をするのは俺の電話代が心配だって、美月が言ってくれてさ。美月も家族割プランに入れれば、通話代は無料になるだろ?それに、あの子は昔から倹約家なんだ。あまり深く考えすぎるな」美月は重度のうつを抱えており、眠れないのだという。翔平は毎晩7、8時間も、彼女の寝かしつけに電話を繋いでいた。私は翔平の通話履歴をこっそり確認する。私が目を閉じ、次の10年を、そして銀婚式や金婚式までも共に歩めるようにと願っていた結婚記念日でさえも、翔平はその横で美月と電話を繋ぎ、彼女を寝かしつけていた。何も言い返さない私を、翔平が意外そうに見ている。「今日は大人しいんだな。ようやく分かってくれたのか?」私はもう、彼らにこれ以上何かを言いたくなかった。かつて何度もしてきた喧嘩は、翔平が私よりも美月を選んでいることの証明でしかなかったから。翔平との10年間の結婚生活。この腐りきった関係は、そろそろ潮時のようだ。私は何も言わずにファミリー割引から脱退した。翔平のスマホから通知音が鳴る。画面をちらりと確認した翔平は眉間に深い皺を寄せ、うんざりした目で私を見た。「またこんなことして。何がそんなに不満なんだ?」私はどうでもいいとばかりに笑ってみせる。「別に。ただ、こうした方が、あなたが喜ぶかなって思っただけ」翔平は不愉快そうに眉をひそめた。「奈津美(なつみ)。理解してくれとは言ったが、そんな嫌味ったらしい言い方はないだろ?美月のことだって、何度も言ったじゃないか。ただ妹みたいに思ってるだけなんだよ。浮気してるわけでもあるまいし、病気の子を看病して何か問題でもあるのか?」私はたまらず食い気味で言った。「もういいから。その台詞は聞き飽きた」この言い訳は、数え切れないほど聞いてきた。「一体どうしたいんだよ?お前は!」翔平が声を荒げる。「何か文句があるなら、俺に言えばいい。なのに、不貞腐れたような態度で、まるで俺と美月が悪者みたいな
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