静香はすぐさま美紀の話に耳を傾けた。「どんなことを聞いたの?早く教えてちょうだい」美紀が目を細めて話し始める。「蘭さん、S国から戻ってきたその足で、今日クラブ・ノクターンで長年働いてたマネージャーをクビにしたそうなの。なんでもそのマネージャーが店の規則を破ったからみたい。新人の大学生アルバイトの子にセクハラをしたらしいんだけど、その子が結構感情的になる子で飛び降り騒ぎまで起こしたもんだから、事態を収めるためにそのマネージャーをクビにしたんだって」静香は拍手をして喜んだ。「それはよかったわ!またとないチャンスよ!美紀、今すぐそのマネージャーに連絡をとってみて。ずっとあそこで働いていた人だから、店の裏を嫌というほど知っているはず」静香の目に復讐の光が宿る。「借金を全部返済して店を出してからというもの、蘭はいい気になっていたからね。前からあの女のことが気に入らなかったのよ。もっと評判を落としてやりたかったけど、部下をまとめるのだけは本当にうまいんだから。あの女についてる連中はみんな忠実で、組織の中はまるで一枚岩。外から何を仕掛けても、まったく崩せなかった。でも今度ばかりは、ようやくチャンスが巡ってきたようね!」美紀は静香が理解できず、怪訝な顔をした。「お母さんと蘭さんの間に、何か根深い恨みでもあるの?なんでお母さんと翠さんの二人とも、彼女をそんなに毛嫌いしてるわけ?」静香は寝ている裕弥をベッドにそっと戻すと、水を一口飲んでから椅子に座った。「恨んでるからね。恨まないはずがないでしょ?私とお姉ちゃん、そして蘭は同じ女子高の出身だったんだけど、あの女は昔から目立ちたがりで、私とお姉ちゃんはいつも引き立て役にさせられてたの」静香は恨みからか勢いよく水を飲み、その目に嫉妬の炎を燃やした。大人になって結婚の話が出始める頃、またしても蘭が目立っていて、深津市セレブ界のマドンナなんて呼ばれ、あなたのお父さんや麟太郎さんもみんな、蘭のことを落とそうと必死だった。パーティーのたび、男どもが我先にと蘭にダンスを申し込んで……私やお姉ちゃんだって、容姿が悪いわけじゃなかったんだけど、やっぱり蘭ほどの魅力や、奔放さがなかったみたい。それに、お姉ちゃんと麟太郎さんの縁談が決まっていたのに、麟太郎さんは蘭を追いかけて婚約
閱讀更多