漆黒の空にぽっかりと浮かぶ満月の下。 トウマとウミが森の暗闇を駆け抜ける。木々の合間を抜け、藪を飛び越え、岩を避けてはひた走る。 ベルフラウの姿はもう見えなかった。それでもウミは迷わず走って行く。「トウマ、こっちですぅ!」「分かった!」 ウミは鼻をくんくんとひくつかせており、匂いを嗅ぎ分けているようだった。ベルフラウの匂いが分かるらしい。まるで動物の嗅覚だ。そういえばこいつは猫の亜人である。 やがて、女同士の話し声が聞こえてきた。ベルフラウの声がしている。 トウマは足に力を込めて加速する。ウミを追い越して前に出た。すでに今日二杯目のカレーライスを食ってある。アジリティが上昇していた。フレイムウェポンもお互いにかかっている。 見えた! 敵の数は四人。そのうちの一人はモナだ。敵の奥にはベルフラウがいて、ダガーを構えている。今まさに戦闘の火ぶたが切って落とされようとしていた。 真帆! 何を考えているのかは知らんが、 いま助けるぞ。 ドンと音が鳴った。 ――対人戦クエスト、ベルフラウの救出 トウマはブラウンのステッキを構える。「グラヴィティライン!」 ステッキから青黒い三つのロープが伸びる。ロープの数がいつもより多い。そうか! 下位ラピスを装着したおかげでスキル効果が進化している。「ちっ!」 モナが慌てて飛び退いた。他にも男の一人が過敏に反応し、前へと走り出す。だけど残り二人は縄にかかった。青黒いロープが巻き付いて拘束する。 ベルフラウが瞳を輝かせて声を上げた。「トウマ!」「ベルフラウ、何か知らんが助けるから! 敵をやるぞ!」「師匠はやらせないですぅ!」 ウミが走って来た。青いショートソードを振り上げ、ロープで縛られた男の一人に袈裟懸けに斬りかかる。問答無用で連続攻撃を叩き込んだ。「ぬあっ、ぐああぁぁっ」 悲鳴を上げる男。だけど耐久力が高い。 ベルフラウは頬を染めてツンと澄ました。出した声はひっくり返っている。「さ、さすがはあたしのトウマよね。べ、別に一人でも大丈夫だったんだから。で、でも、後で撫で撫でしてあげるわ」「冗談を言う暇があったら敵を殲滅しろ」「ふっざけんなよ、お前たちねえ!」 モナが苛立ちをまき散らしつつ弓矢を構える。矢じりはウミを向いている。 トウマはすかさず唱えた。「リダイレクト」 モナ
Last Updated : 2026-05-14 Read more