荷馬車が森を抜けて草原の道に出た。 轍の出来た硬い地面を、荷馬車がゆっくりと進んで行く。遠くにアストラブールの町が見えてきた。町の向こうには海が広がっている。潮の香りがわずかに漂ってきて、トウマは鼻いっぱいに空気を吸い込んだ。 荷馬車の中で、ベルフラウとニキは仲良さそうに会話をしている。 あぐらをかいているニキが膝に両手を置いた。「いやー、それにしても久しぶりだな。ベルさん」「ニキさんこそ。ここのところゲームで見なかったけれど、どうしてたの?」 女の子座りをしているベルフラウが尋ねる。 ニキは苦笑して肩を揺らした。「実は現実で怪我しちゃってさ、入院してた」「えっ、怪我って、何したの?」「階段から落ちてさ、足の骨をバキ!」「あらら、それはお気の毒」「ああ。だからずっとスマホでゲームの配信を見てたさ。そしたらトウマさんとウミちゃんの配信を見つけて、気になってずっと追っていたら、ベルさんも登場したからさ。あれれと思って」 ベルフラウの後ろでトウマはため息をついた。焼きもちを内包した疎外感を覚える。二人の話を聞いたところからすれば、ベルフラウとニキはこのゲームで旧知の間柄のようだ。二回ほど一緒に狩りをしたこともあるらしい。 トウマの正面では、ウミが両手のひらに小さなピラミッド型の金塊を持っていた。たったさっき戦闘で入手した盗賊の秘宝である。 ウミの頬がニヤニヤと緩んでいる。金塊を見つめていた。「うふふぅ、綺麗ですぅ、綺麗ですぅ」「良かったな、ウミ」 トウマはぶっきらぼうにつぶやいた。 ウミの瞳はキラキラと輝いている。「すごく綺麗ですぅ、ピカピカですぅ」 ウミの口からチャーミングな八重歯が覗く。よだれが光っていた。モフモフとした尻尾がたゆんたゆんと揺れる。金塊に夢中のようだ。 荷馬車の荷台ではベルフラウとニキの会話が続いている。「ベルさん。俺っちもベルさんのギルドに入れてくれよ!」
最後更新 : 2026-05-26 閱讀更多