ノーファン村の食材屋。 小さな木造の茶色い建物だった。店の内装はさながら八百屋である。各棚には様々な野菜や肉が並んでいる。他にも調味料の棚あり、ジュースや酒瓶も置かれていた。山間の村だからか海魚は無い。冷蔵の設備は無いが、ゲーム内で食べ物が傷むようなことは無かった。 店に入ると、トウマは後ろにいるウミを振り返った。トウマは怖い顔つきである。 「ウミ、カレーライスを作るために食材を買うぞ。金を貸してくれ」「お金……またですか?」「俺は金が無いんだ。仕方が無いだろう?」「い、いくらでしょうか?」 ウミははらはらとした表情で唇を引き結ぶ。 トウマは短くつぶやいた。偉そうな表情であごをしゃくる。 「全部だ」「ぜ、全部、ですか?」「ああ。これはあいつに勝つためなんだ」「そんな……わ、分かりましたです」 ウミはステータス画面を出した。ヴァルの入った革袋を取りだしてトウマに渡す。彼もステータス画面を出した。鑑定すると、15000ヴァル丁度ある。 おい、(これで本当に全部か?) トウマはウミを厳しく睨みつける。 「おい、全部と言っただろう?」「それでほとんど全部ですぅ」「ほとんどだと? 残りはいくらだ?」「あ、あと、1000ヴァルも無いです」 本当だろうか? やれやれ、(女は嘘が上手いからな) トウマは舌打ちをする。魔王のように冷えた瞳で見下した。 「ちっ、少ないな」「と、トウマ、どうしちゃったですか? 態度が変ですぅ」「うるさいぞ」 トウマは買い物カゴを手に取り、カレーライスの材料をカゴの中に入れていく。普段なら150ヴァルしかしない材料費が、今は倍の300ヴァルだった。ヒイラギが税金をかけているせいで商品の値段が倍化している。 くそが。 ヴァルを稼ぐ勝負をしているというのに、これではトウマのヴァルがヒイラギに吸収されてしまう。 顔面に蹴りを入れられたような気分だ。 トウマは陳列棚と会計カウンターを何度も往復して食材を買い込んだ。カレーライス50食分の材料を手に入れる。ステータス画面にしまった。用事を終えると、ズボンのポケットに両手を突っ込んで店を出る。だらしなく大股で歩いた。後ろからは心配そうな顔でウミがついてくる。 トウマは自暴自棄に笑った。 「はっはっは! これじゃあ俺たちの負けが決定だな。傑作と
Last Updated : 2026-05-19 Read more