All Chapters of RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~: Chapter 121 - Chapter 130

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第121話 レベル突破の実

 乗り物レース場前の受付テント。 白いテントの奥には競馬場のような円形の建物がある。白いテントの下には長机と椅子があり、係員の制服を着た女性が受け付けをしていた。トウマたちが近づいて行くと、黒馬にまたがるライトブラウンの髪をした男が受け付けの女性と会話をしていた。甘いフェイスに眼鏡の男、夜月だった。:セレクターのマスターがまたいるぞ。:黒馬が格好良い。:ダークホースw キャルル丸に乗っているニキが眉間を歪めた。「あいつがいるさ!」 トウマは左手を上げてみんなに立ち止まるよう指示する。「みんな、止まってくれ」 夜月はこちらに気づいたようで、受け付けを終えると近寄ってきた。黒馬のひづめがパカパカと音を立てる。トウマと距離を置いて黒馬を止めた。夜月が口を開く。「これはこれは、皆さんじゃないですか。皆さんも乗り物レースに出場するのですか?」 その声は馬鹿にしたような響きだった。「お前とは口も聞きたくないさ」 ニキが嫌そうに吐き捨てる。「きゃるるぅ?」 キャルル丸が疑問そうに首をかしげていた。キャルル丸は夜月と初対面である。 夜月の唇が弧を描く。「ニキさん。珍しい乗り物ですね、白竜ですか?」「お前、用事が済んだのならどっか行けさ!」「嫌われてしまいましたねぇ。私はこんなにも、ニキさんが大好きだというのに」「気持ち悪いさ!」「仕方ありませんねぇ。行きますよ、テレサ」「ぶるるっ」 黒馬が鼻を震わせる。名前はテレサというようだ。テレサは真っ直ぐに歩き出し、キャルル丸の隣を通り抜ける。すり抜けざまに夜月がつぶやいた。「勝つのは私ですよ。愛しのニキさん」 テレサの尻尾が勢いよく揺れた。キャルル丸の尻がはたかれる。そしてパカパカと足音を響かせて行ってしまった。 ニキが唇をひきつらせる。「あいつ、ムカつくさ」「きゃるるぅっ」 キ
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第122話 100万円の依頼

老舗のラーメン店に来ていた。 昼になり、みんなでログアウトをした。ユウマと真帆はインターネットで調べ、町でも人気のあるラーメン店に足を運んでいる。味噌が有名なお店だった。ちなみにウミとアイギスは連動を切断して、今ごろゲーム内のお店で仲良くご飯を食べている。 ラーメン店は活気があった。ほとんどの席が客で埋まっている。客達のがやがやとした活気が響いている。食欲をそそる良い香りが漂っていた。丁度出て行く客がいたようで、ユウマと真帆は運良く小上がりの席をゲットする。畳はくたびれており、所々が茶色く変色していた。それを汚いとは感じなかった。 真帆が黒髪のボブヘアを指先で整えながらつぶやく。 「ねえ、ユウマ。ギルドバトルのことなんだけど」 「ああ、どうした?」 ユウマはメニューを眺めながら返事をする。味噌チャーシュー麺にすぐに決めた。そしてメニューを真帆に差しだす。 「ありがと」 「ああ」 真帆がラーメンを選びながら声を紡いだ。 「ねえ、三日後のギルドバトルなんだけど、あたしたちあと一人メンバーの枠が余っているわ」 明後日はニキとキャルル丸のレースがある。その翌日はギルドバトルだった。なんとも強行軍である。 「そうだな。余っていても別に良いんじゃないか?」 「別に良いって……四人で戦うの? ウミちゃんたちを入れれば七人だけど」 「ああ、ウミとアイとキャルル丸を入れれば七人だよな」 キャルル丸は使い魔と同じ扱いであり、出場ができるはずだ。 「まあ、それはそうだけどー」 やがて真帆も頼む品を決めた。野菜味噌ラーメンの大盛りにするようだ。店員の若い女性が水の入ったコップを運んで来る。営業スマイルをくれる。 「ご注文はお決まりですか?」 その時にユウマたちは注文をした。女性店員がメモをして去って行く。 ユウマは腕を組み、のんびりと笑みを浮かべた。 「もし入れるなら、次のメンバーは男がいいな」 「あら、どうしてかしら?」 「美女が入って来たら、お前、困るだろ?」 「それはどういう意味なの?」 「真帆が俺に焼き餅を焼くといけないからな」 真帆が顔をほんのりと染める。小さく笑った。 「気を遣ってくれているのかしら?」 「俺は良い彼氏だからな」 「……あたしはね、次のメンバーは女性がいいと思うの」 「それはなぜだ
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第123話 ジャックポット

 昼食後。 ログインをして、いまカジノの玄関にみんなで集まっていた。巨大な王冠をかぶったようなデザインの玄関である。金色と銀色の意匠が施されており壁は輝いていた。豪華な造りである。現代的な照明を模した魔導具がピカピカと点滅していた。建物は五階建である。 このカジノ、(無駄に綺麗だな) トウマはメンバーたちを見回して宣言する。「みんな、今からレベル突破の実を取るためにカジノに挑戦するんだが、俺一人で良い」「それはどうしてですか?」 ウミがきょとんとして尋ねた。猫耳をピンと立てる。 トウマは腕を組んでつぶやく。「全員で挑戦して負ければ大惨事だろ? だから、賭けるのは俺一人で充分だ」「ご主人様は勝てるんですかぁ?」「俺は勝てるように頑張るんだ。とにかく、みんなはカジノに挑戦しないで欲しい」 キャルル丸にまたがっているニキが声を上げた。「それじゃあ俺っちは、キャルル丸と走る練習をするさ!」「きゃるるぅっ」 乗り物レースに向けて特訓をしたいということだろう。 トウマは小刻みに頷いた。「分かった。ニキさんは練習をしていてくれ。他のみんなも、やりたいことがあれば好きにしていいぞ」「私は、ご主人様の応援をするです!」「ウミちゃんが応援するのなら僕も」 使い魔コンビはトウマに着いてくるようだ。 晴恋がベルフラウに話しかけた。「ベルちゃん! ちょっと私、行きたいところがあって、着いて来て欲しいな」「晴恋、行きたいところってどこ?」「な、内緒内緒」「ふーん、いいわ。それじゃあ着いて行ってあげる」「だんちょっ、私、ちょっと行ってきます」「トウマ、あたしも晴恋に着いて行くわ」 トウマはあごをまた引いた。「分かった。気をつけろよ」「はーい!」「トウマも、頑張って稼いでね!」 そして。
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第124話 約束のレース

 ――乗り物レースクエスト、入賞する レース本番の日が訪れていた。 会場の観客席は人で埋めつくされている。NPCだけでなくプレイヤーも遊びに来ているようだ。出場者に向けて黄色い声援が飛んでいる。賭け事が白熱していた。レース場は一面が芝生である。競馬場とほとんど変わらない造りだった。コースを一周走ると勝負が決まる。距離は2kmだ。 キャルル丸にまたがっているニキが、相棒の首を撫でる。「へへ、キャルル丸。今日は頑張るさ」「きゃるるぅ!」 相棒は興奮した様子である。先ほどベルフラウからSランクのカレーライスをもらい、食べたおかげでキャルル丸のアジリティが上昇していた。 ニキは右手に白銀のキャノンを持っている。:ニキさん、頑張って!:一位になれよな。:キャルル丸を一点買いしてきた。:この恐竜速いの? 一昨日、トウマはカジノで大勝ちしたようだった。キャルル丸にレベル突破の実を与えてくれた。その後でヴァルを支払い、キャルル丸のレベルを22に上げた。アジリティが上がり、今、馬よりも速く走れる。ひな鳥のような丸みを帯びた顔つきには自信が漲っていた。(今日のキャルル丸は格好良いさ) ニキは自然と笑みがこぼれる。 レース開始までにはまだ時間があった。 芝生の地面である。近くにはライバルプレイヤーたちが大勢いて、各々の乗り物とコミュニケーションを取ったり、試しに走ってみたりしている。種類は、馬、狼、羊、ブタ、巨大なニワトリ、トカゲ、様々だ。 夜月とテレサの姿もあった。夜月はいつも通りライトブラウンの軍服を着ている。そしてテレサは黒馬だ。ねぶるような瞳でニキを睨みつけている。こちらへと歩いてきた。:嫌な奴が来た。:ライバル登場。:無視、無視。 目の前で立ち止まり、夜月が声をかける。「ニキさん、今日は勝負ですねぇ。体調は万全ですか?」「お前の顔なんて、見たくもないさ」「あらあら、ひどい言われようですねぇ。だけ
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第125話 白き閃光

 レースがスタートした。 プレイヤーを乗せた乗り物たちが芝生の地面を駆けていく。芝生が踏みつけられて土がめくれ上がった。プレイヤーたちの間では遠距離攻撃が飛び交い、相手を落馬させようとしている。派手な光が起こっていた。 空は青く晴れ晴れとしていた。絶好のレース日和である。 ニキとキャルル丸は大きく出遅れていた。ライバルたちの後方を追いかけて走る。 くそっ、(早く追いつくさ) 可愛いは正義勢:ちょ、ニキさん。 馬は飲み物:ニキさん大丈夫? レディミラージュ:私、ニキさんの券、いっぱい買ったんだからね! ログネストの寄生虫:頑張ればまだ間に合うよ。 キャルル丸は全速力で走っている。背中に乗っているニキは振り落とされないように手綱を強く握った。尻に伝わってくる振動が痛いぐらいだ。風圧も強く、ニキのソフトモヒカンがめちゃくちゃに乱れる。だけど今はどうでも良い。 落馬をして地面に転んでいるプレイヤーと乗り物が見えてくる。プレイヤーは残念そうな顔つきで肩を落としていた。(マジか!) その数は多い。一組、二組、三組とキャルル丸は避けて進む。 キャルル丸の足は速かった。何と言っても22レベルである。そしてSランクのカレーライスを食べたことによりアジリティが格段に上昇していた。風を切って駆け抜けて行く。やがてライバルたちの最後尾にたどり着いた。 そこではプレイヤーたちがお互いに武器を向け合い、スキルで攻撃をし合っていた。(俺っちだって) ニキは白銀のキャノンを右手に構えた。だけど撃たない。前方に目がけて撃ったら反動でキャルル丸の速度が落ちると思った。「きゃるるぅっ」 キャルル丸が粋の良い鳴き声を上げた。またスピードを上げて後続のライバルたちを外から追い越していく。追い越しざまにニキは唱えた。「バーストキャノン!」 キャノンから炸裂弾が射出される。ブタに乗ったプレイヤーの腹に命中して爆発した。爆発に巻き込まれて計二組のライバルがスタン状態に陥る。プレ
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第126話 勝利の女神

「それじゃあ、ニキさんの乗り物レース優勝を祝して、乾杯」 トウマが音頭を取ってくれる。「「かんぱーいっ」」 グラスを打ち鳴らす音があちこちで重なった。 キャルル丸も「きゃるるぅ」と鳴いて祝福に加わっている。 みんなで祝勝会である。 ルスプル町の牡鹿ホテルの一階レストラン。だだっ広い室内だった。白いテーブルクロスの敷かれた丸テーブルが規則的に並んでいる。テーブルの上には蝋燭。天井にはシャンデリアがあり、魔導具の明かりが灯っていた。豪華な造りである。ニキは大好きな肉料理をナイフで切り分けて頬張り、ご満悦だった。 ギルドメンバーのみんなで一つの丸テーブルを囲んで座っている。 配信ドローンは無い。 キャルル丸が床に置かれた料理を次から次へと平らげていた。「きゃるるぅっ、きゃるるぅっ」 嬉しそうに頬張っている。 今日はトウマのおごりだった。彼はワインのグラスを握り、上機嫌そうに口を開く。「それにしても、ニキさんとキャルル丸は速かったな」「最後はぶっちぎりだったわ!」 ベルフラウも今日はワインだった。三杯目のワインを美味しそうに口へ傾ける。「おかげで儲かったな」「オッズは五倍だものね。あたし、250万ヴァルが当たっちゃった」「お前、そんなに勝ったのか?」「むふふん、大勝ちだわ」「お前が一番の勝ち組じゃないか?」「実はそうなの!」 二人が機嫌良く会話をしている。 ウミが尊敬の眼差しでニキを眺めた。「ニキさん、見直したですぅ」「凄かった」 アイギスも口の端を小さくつり上げている。 二人の尻尾がたゆんたゆんと揺れていた。「私、ご主人様に10万ヴァル分の券をもらっていたので、50万ヴァルも手に入れちゃったですよ!」「僕は無い」「あうぅ、アイちゃん、少し分けましょうか?」「ううん、い
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第127話 レベル1

 レース場前の受付テント。 ニキが落としたウイングブレスレットはNPCの係員が拾ってくれていたようだった。ニキとキャルル丸が行くとすぐに返却がある。鳥の模様のついた緑色のブレスレットを彼は大切に握りしめた。右手首にはめる。「拾ってもらえていて良かったさ」「きゃるるぅ」「それじゃあキャルル丸、レストランに戻るさ」「きゃるる!」 来た道を引き返して歩き出す。キャルル丸の背に揺られながらニキは胸をなで下ろした。 このブレスレット、(無くしたら晴恋に嫌われちゃうさ) 危機一髪である。「キャルル丸、レストランに着いたらデザートが待っているさ」「きゃるる?」「デザートを知らないのかい? 甘いお菓子さ」「きゃるるっ!」 キャルル丸が嬉しそうに尻尾を振る。「へへ、喜んでるさ」 ニキは笑みをこぼした。:ニキさん、良かったね。:もう無くしちゃダメだよ。:恋人からのプレゼントなんだからね。 石畳の道をキャルル丸が踏みしめて進む。路傍ではハナミズキがピンク色の花を咲き誇らせていた。風に揺られて淡い香りが運ばれてくるかのようだ。NPCの子供がキャルル丸を指さして「あ、恐竜だ」と声を上げた。ルスプルは裕福な町であり、子供も質の良い服を着ている。 午後五時過ぎということで、辺りは薄暗くなりつつある。空気に水分が含まれているような気がしてニキは眉をひそめる。(今夜は雨になるさ?) ゲーム内に雨が降ってくるのは稀である。だけど時折あるのだ。「キャルル丸、雨が降ってくるかもしれない。ちょっと急ぐさ」「きゃるるぅ」 キャルル丸の歩幅が大きくなる。揺れも激しくなった。 人気の無い道にさしかかる。ふとキャルル丸の足が止まった。「……きゃるる」(どうしたさ?) ニキが正面に目をこらす。 ―
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第128話 嘘と笑顔

 ニキは打ちひしがれていた。 レベルがまた1になってしまった。仲間たちに何て言えば良いだろうか? トウマにどんなふうに説明すれば良いだろうか?  何より、晴恋に知られるのが怖い。:ニキさん……。:夜月とモナ、許せねぇ。:セレクターみたいなギルドがあるから、ゲームが面白く無くなるんだよ。 雨をこらえているような曇り空だった。今のニキの気分を代弁しているかのようである。道端には小さな植木鉢があり、赤いカーネーションが風に揺られていた。他人の気も知らずに元気いっぱいに咲き誇っている。 キャルル丸が首だけ振り返ってニキのあごをべろりと舐める。「きゃるるぅ」と心配そうに鳴き、何度も何度も舐める。ニキは顔を振ってため息をついた。キャルル丸に告げる。「キャルル丸、みんなのいるレストランへ帰るさ」「きゃるるぅ」 歩き出す。 ニキはしょぼくれたまま、キャルル丸の歩く振動に揺られていた。 石畳の道の右側には魔導具の街灯が等間隔に立っている。 やがて、牡鹿ホテルの一階のレストランへ戻ってくる。軒先には鹿の顔が彫られた木製の看板が提げられていた。八階建てである。ニキはキャルル丸を止めて地面に下りる。並んで室内へと入った。そこで立ち止まる。 配信ドローンは店の外で停止していた。 大きな丸テーブルではトウマが顔を突っ伏していた。一度顔を上げてつぶやく。「……もう飲めないぞ」「ダーリンはお酒が弱いわねえ! そんなんじゃあ、あたしにモテないわよ」 ベルフラウがワイングラスを一気にあおる。ウワバミのようだ。「どうしてお前はそんなに飲めるんだ?」「うふふん、お酒が大好きだからじゃないかしら?」「キャラクター設定の時に、酒の強さを設定できたか?」「覚えてないわよ、そんなの」 賑やかな会話に花を咲かせている。 ウミがベルフラウに聞いた。「
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第129話 一回だけ

カジノの自動ドアをニキがくぐっていく。 広い室内なのでキャルル丸と配信ドローンも入室できた。天井からは魔導具の照明がキラキラと照らしている。床は丸い模様のマット敷きだ。自動ドアをくぐった瞬間、カジノの賑やかすぎる音が響いてきて、ニキは顔を固くする。不思議と気分は高揚した。 一階の玄関前はスロット台が何列にも並べられていた。挑戦しているプレイヤーの姿がちらほらとある。負けているのか、人々のケースにはコインが貯まっていなかった。だけどそれらの表情は明るい。遊びでプレイをしているようだ。(……どうしてそんなに笑顔なのさ) ずるいと思った。(……俺っちは死にそうな気分なのに) とても少なくなった全財産をカウンターでコインに交換してもらう。ニキは少し奥まった場所にあるスロット台へ行き、椅子に座った。キャルル丸が後ろで立ち止まり「きゃるる?」と鳴いて首をかしげる。ニキは振り返り、そのあごを撫でた。「キャルル丸、ちょっと見ていてくれさ」「きゃるる!」 相棒が頷く。:ニキさんやめとけって。:このスロット、難しいよ!:あちゃー、自暴自棄だなこりゃあ。:捨て身のスロット大作戦w:ドクロが止まるぞ。 ニキはステータス画面を呼んだ。中からチョコレートパフェの料理カードを取り出して「オープン」と唱える。食べようとしたところでキャルル丸の舌が伸びた。「きゃるるぅ」 相棒はチョコレートパフェのクリームを舐める。食べたいようだ。ニキは苦笑して、スプーンでチョコレートパフェをすくった。キャルル丸の口へと運ぶ。「三口だけさ」「きゃるるぅっ」 食べさせてやった。残りは自分で食べる。キャルル丸は満足したようで、自分の口をべろべろと舐めている。ニキはスロット台に向き直った。 よし、(絶対、勝つさ) コインを投入してレバーを引いた。一回目からベルが揃
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第130話 嫌な予感

 うどん屋のチェーン店に来ていた。 薄黄色い床をした小綺麗な店内である。四角い木製のテーブルが間隔を空けて規則的に並んでいた。かつおや昆布出汁の良い香りが漂っている。カウンター奥の厨房では、調理白衣を着た男性がうどんを煮ていた。湯気がもわもわと上がっている。女性店員が品物をオボンに載せて運んでいた。 席のほとんどが埋まっている。会社帰りのサラリーマン、若い男女のカップル、親子連れ、様々だ。和気あいあいとした声が響いている。 ユウマと真帆はテーブルの椅子に対面で腰掛けていた。ユウマの前にはかき揚げうどん、真帆の前にはとろろぶっかけうどんがある。唐揚げも一品あり、二人で分けて食べていた。衣がカリッとしており、特性のマヨネーズとソースがかかっている。 話題は明日のギルドバトルの事である。 真帆がうどんにスープをかける。割りばしでとろろとうどんをかき混ぜた。「ユウマ、初戦の相手なんだけど」「ああ、ダークネスダガーみたいだな」 今日の午後七時にリーグ表が発表され、ゲーム内でステータス画面から確認することができた。五対五の部門に出場しているギルドは四組である。グラスオース、ダークネスダガー、オンリーレディ、そして夜月のいるセレクターだ。 ダークネスダガーはバルドロッグ村でひと悶着あったギルドである。団長はシモベだ。 真帆がとろろうどんをすすった。顔をほころばせて咀嚼する。飲み込んでから声を紡いだ。「勝てるかしら?」「お前が全部倒してくれ」「そんなのさすが無理よ!」「冗談だ。まあ、何とかするしか無いんじゃないか?」「それはそうだけど。ユウマ、作戦は無いの?」「一応考えてはいる」 ユウマはスープにかき揚げをくぐらせてかじりつつ、作戦の概要を説明する。二人で会話をしながら作戦の足りない部分を補っていった。やがて真帆は納得して頷く。「私は攻めればいいのね」「ああ」「ユウマはしっかり守備しなさいよ」「ウミが守ってくれるだろうな」「ちょっ
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