涼太は無理に起き上がり、使用人を呼ぼうとした。莉子が弁当箱を持って部屋に入ってきた。「藤本さん、若葉はどこだ?すぐに呼んでくれ」涼太は枯れた声で命じた。莉子は溜息をつくと、水を差し出し、涼太が飲み終えるのを待ってから口を開いた。「若葉様には、どうしても連絡が取れないです」「なぜあの家から火が出たんだ?安全管理はどうなっていたんだ?」莉子は言い訳をしようとしたが、言葉が詰まってしまった。彼女は潔くタブレットの監視カメラ映像を、涼太に差し出した。「涼太様、こちらが火災直前の映像です」涼太は眉をひそめた。また監視カメラか、と内心で思う。訝しげながらも、タブレットを受け取った。最初は普通の様子しか映っていなかったが、ふと画面が明滅した。若葉が部屋に入り、そのすぐ後に自分の姿も映り込んだ。思い出せば、一昨日、中山家へ行く必要はないと若葉に告げた時の映像だ。あの時すでに葵を連れて行く腹積もりで、ただ若葉の怪我が気がかりで家に戻り、自ら伝えようとしただけだった。若葉は傷を負って帰宅したのに、自分は彼女を気遣うどころか、ドレスの件で腹を立てて冷たくあたってしまった。涼太の中で後悔が押し寄せた。映像は少しずつ進んだ。涼太がじれったくなり倍速にしようとしたその瞬間、画面が切り替わった。自分が去った直後、若葉は使用人たちを休暇を与えて帰らせたのだ。涼太は突然、莉子の「邸宅は燃えましたが、死傷者は出ませんでした」という言葉を思い出した。胸の奥が張り詰める。「まさか、若葉はあらかじめ火事になることを知っていたのか?」若葉は一体何をしたのだ?映像の中で、若葉はテーブルに置いてあった消毒薬をゴミ箱に投げ捨てると、そのまま2階へと上がっていった。5分後、スーツケースを引きながら再びリビングに現れた。涼太はシーツをきつく握りしめた。スーツケース?若葉は何をするつもりだ?若葉はしばらくリビングに佇み、倉庫からアルコールを持ち出し、カーテンなど燃えやすい場所にまき散らした。それを見て、涼太は息を飲んだ。若葉自らが放火したのだ。涼太の顔はみるみるうちに青ざめていった。なぜそんなことをする必要があったのか、到底理解できなかった。その時、部屋の静寂を切り裂くように激しい着信音が鳴り響いた。涼太の顔色
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