後日、俺と佐伯、橋本くん、そして……高橋の四人で、バイト終わりに個室の居酒屋に来ていた。暖簾をくぐって席に着いた瞬間から、場の空気は嫌な重さをまとっている。あまりにもおかしな組み合わせだ。 しかも俺と佐伯はともかく、向かい側に座った橋本くんは、まるで今から処刑でも宣告されるのかってくらい顔が真っ青で、その隣にいる高橋は「いやほんと、なんでこのメンバー?」と全身で訴えていた。 店員が手際よくお通しを並べていき、キンキンに冷えたビールや炭酸が運ばれてくる。けど誰も手を伸ばさない。グラスは光を反射しているだけで、完全に置物だ。 張り詰めた沈黙の中、箸を置く音ですら爆音に聞こえそうなほどだった。 その空気を割ったのは、高橋だった。「と、とりあえず……お疲れ?」 ぎこちない笑顔。明るくしようとしてくれてるのはわかる。でも正直、無理だ。橋本くんが俺の真正面で小さくなり、視線を泳がせているし、俺の隣では佐伯が相変わらずの無表情で腕を組んで、まるで全員を射抜くかのように目をすっと細めている。「単刀直入に言うんだけど」 佐伯が低く、冷静な声で言った。 テーブルに片手で頬杖をつきながら、もう片方の指で高橋を指す。ゆっくりと、狙いを定めるように。 指された高橋は「は?」という顔で目を丸くしたが、佐伯は容赦なく続ける。「……お前、小瀧のこと好きだよね?」 その場に落ちた言葉は、ほとんど爆音だった。 冗談でも脅しでもなく、ただの事実確認みたいなトーンなのが逆に怖い。 そ、そーいう切り口で行く感じ!? と俺が佐伯を見ると、高橋はみるみる顔を赤くし、まるで熱湯でもかぶったみたいに慌てて否定し始める。「いやいや、何? 急に……! てか、俺は別に……」「好きじゃん? 南緒のこと。入社した時から」 佐伯の目は真っ直ぐで、ぶつけるように鋭いのに、そこに揺らぎは一切ない。 高橋の隣で橋本くんが、音を立てないように肩を震わせているのがわかる。「……お、俺は……その……」「はっきり言うけど、小瀧、俺と付き合ってるから」 きっぱりと言い放たれたその言葉に、高橋の口元が片側だけ引き攣って、うまく笑おうとして失敗したみたいになった。 俺はもう居た堪れなくて、テーブルの影に逃げ込むように視線を落とす。「……そんで、橋本のことだけどな」 佐伯の視線が、ゆっく
Last Updated : 2026-05-04 Read more