Alle Kapitel von バ先のダウナー男子に、気付けば毎日溶かされています。: Kapitel 31 – Kapitel 40

46 Kapitel

第31話 分かってねぇよ

ロッカーの扉に響く音があまりにも大きくて、心臓が胸の内側から跳ねた。 ほぼ反射的に体がこわばって、固まる。 そして何より、逃げられない。「…………あいつ、何?」 低い声。 温度がゼロ度以下のやつだ。「え? あいつって……中屋のこと?」 名前を言った瞬間、空気がさらに冷えた気がした。「……フルネーム教えて? 俺の中でブラックリスト入り決定してるから、出禁にしたいし」 佐伯がこんなふうに怒るの、初めて見た。 普通の人は怒ると眉間にしわが寄ったり、唇が吊り上がったりするのに。 佐伯は――違う。 口角だけ、にっこり笑ってる。 なのに目だけ、完全に笑ってない。 その表情がゾクッとするほど恐ろしくて、でも妙に綺麗で、俺の呼吸が浅くなった。「普通に大学の友達だけど」 制服のポロシャツのボタンを外しながらそう言うと、 今度は反対側の手でも、ガン!と壁をふさがれた。 左右から挟まれて、完全に腕の中に閉じ込められるかたち。 逃げ場ゼロ。距離ゼロ。 見下ろす目が、冷凍室みたいに冷たかった。 前に俺が死にかけたあの冷凍室より、今の佐伯のほうが余裕で寒い。「絶対、あいつお前のこと好きじゃん」「……いや、考えすぎ。ただの友達」 即答して、軽く笑ってしまった――それが悪手だった。 佐伯の瞳が、ちりっと怒りの火花を散らしたのが見えた。「んなわけねーだろ。バカじゃねぇの? お前」 まるで「太陽は東からのぼる」くらいの常識みたいに言ってくる。 いやいやいやいや。 中屋からそんな気配感じたこと、一度もないし。 宅飲みだって何回もしてるし、泊まりもあったけど、そういう雰囲気にもなったことないし。 むしろ、一番意識してない友達だし。 「もー、澄人ってすぐに俺のこと、バカって言うよね」 苦笑しつつ肩を竦める。 けれど佐伯は、微動だにしなかった。「来週、大学で会うの楽しみ〜ってマウント取られたんだけど。また誘われるんじゃない?」「……佐伯が嫌なら、二人で飲みに行ったりしないよ」 はいはい、と宥めるように佐伯の頭を軽く撫でる。 たぶん俺は、恋人として少し大人ぶった対応をしていたんだと思う。 でも――それが余計だった。 佐伯のまつげが、ふるりと揺れた。「……普段、全然会えない俺の気持ち、考えたこ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-22
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第32話 早く言え

「……ああ、コイツか」 画面を見たまま低く呟く。 その“コイツ”に、中屋のフルネームが並んでいるのが見えた瞬間、心臓がビクッと跳ねた。 俺とのトーク履歴を遡っている。 そのまま設定のところをいじりながら、佐伯はアルバムの写真を横へスライドしていく。「……へー、めっちゃツーショットあるじゃん。しかも何?『おはよ』とか『おやすみ』まで送られてきてんじゃん?……下心丸出しで、きっしょ」 多分それは、佐伯と付き合うより前のやり取りだ。 だけど、それも意に解さぬように佐伯は設定画面を開いた。「はい、二年分のやりとり。帰ったらじっくり見させて貰うから」 佐伯は自分のスマホにトーク履歴を送信していて、思わず俺は青ざめる。嫉妬とか束縛とか、そんなレベルをとっくに超えている。「インスタもやってんだ。南緒の写真ばっかじゃん。彼氏面キモいなマジで。……あとで鍵垢から見に行こ〜」 楽しそうな口調。お散歩しに行こ〜みたいな言い方だけど、その目は怒り一色で俺は「やめてください」の一言も言えないほどだった。 そして佐伯は、スマホを俺の目の前にスッと突き出した。「はい。電話して?」「……は?」 声が裏返った。 でも佐伯は、当たり前のことを言っているみたいに微かに笑った。「どうせ後でLINEしようと思ってたんでしょ? なら、今電話すればいいじゃん」 いいじゃん、じゃない。 なんで、よりによって今、佐伯の前で……? 頭が真っ白になって、眉が勝手に困った形になる。「言って。“今日はごめんね。恋人がいるから二人では飲みに行けません。泊まりも出来ません”って」 淡々と、暗記した台詞みたいに。 でも、逃げ道は一文字も残されてない。「……な、なんで? 中屋が俺のこと好きなわけ――」 その反論ごと、ばっさり切り捨てられた。「好きなわけないなら、電話出ないと思うよ」 顔だけ、にこっと笑う。 目は笑ってない。 底が見えない水みたいに静かで、逆に怖い。「掛けてみ? 絶対、即出るから」 なんでそんな自信満々なんだよ。 なんでそんなこと言えるんだよ。 胸がギュッと掴まれたみたいに苦しくなる。 でも佐伯は、さらに一歩、俺の心臓を締め付けてきた。「俺が代わりに言ってやろうか?さっきはどうもって」 喉がひゅっと鳴る音が、自分で聞こ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-22
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第33話 答え合わせしてあげるね

「……来週とか、無理そ?」「ええと……ごめん、来週は……」 濁すような答えに、佐伯は舌打ちをした。 そして、痺れを切らしたように俺を後ろから抱きしめると、エプロンの隙間から手を入れて、両方の乳首をぎゅっと抓った。 俺は声が出そうになるのを、手の甲で必死に抑える。「……無理? 俺は小瀧と二人で過ごしたい」 その一言に、佐伯が背中の後ろで溜息をつくと、抓るのをやめて今度は引っ張ってきた。でもそれは全然軽くじゃなくて、限界まで引っ張って、爪の先で潰すように圧をかけるやり方だった。「っう、ん、ん……っ」「小瀧? ……なんか音遠い、電波悪い?」 俺のくぐもった声に、中屋が不思議そうな声を上げる。俺が下唇を噛みながら痛みに似た快感に耐えていると、佐伯が「まだ?」と耳元で囁いてくる。「あ、あの……中屋、俺……」「うん」「今付き合ってる人がいるから、もう、そういうのは……ちょっと難しくて」 言った。 佐伯は一度手を止めて、冷めた目で通話画面を見つめている。 スマホ越しの沈黙が重くて、空気がぎゅっと張り詰める。 仮に好意がなかったとしても、距離を置く言葉で中屋を傷つけてしまったことが苦しかった。「……小瀧が付き合ってる相手ってさ、木村先輩? アプローチ、受けてたじゃん。この前も、飲み会ん時に絡まれてんの見てた。財布にゴム入れられたりさ……いたずらじゃなくて、もしかしてマジで彼氏なの?」 いやいや、なんでそーなる! またややこしくなる。 佐伯は「は?」という怪訝な顔をして、眉をひそめ、手が若干強くなる。火に油だ。「や、違う、フツーに……大学の人じゃないから」 その言葉に、佐伯は深く息を吸い込むと、静かにロッカーのドアを開けて俺のリュックに手を掛けた。 乱暴にファスナーを開き、それを逆さまにすると、中身を全部床にぶちまける。 俺は視線を下げ、肩を小さくすくめる。心臓の鼓動が耳まで響いて、手のひらは汗でびっしょりだ。「もういいから早く切れよ」 佐伯は低く呟く。 俺の心臓はまだ暴れたまま、耳の奥で心臓の音が鳴っている気さえした。「ご、ごめん。もう切らないと」 俺の焦った声に、電話の向こうで中屋が「え?」と呟く声が、かすかに聞こえた。 佐伯は終了ボタンをすると、俺のスマホをそのポケットにしまった。 「ほら。言ったとおりじ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-22
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第34話 それ、当たり前だからね?

少しだけ乾いたそこには、小さく穴が開いていて、俺は思わず目を見張る。「まず、飲み会でお前の財布にこれを入れとく。で、時間空けて、今度は二人で飲みに行って徹底的に酔わせて、潰す。路地裏とか、家に連れ込む。テキトーにキスして『ヤりたくなった』って言って。『ゴムないね。あ、そう言えばこの前財布に入れたよね〜これで出来るね~』っつってヤるだけ」 ものすごい勢いで捲し立てられて、俺は瞬きする。「劣化したゴムで、穴が空いてればワンチャン中出し狙ってたって事。……つまりお前は木村先輩のヤリモク候補だったってこと。で、それに中屋は薄々気づいてたんだろうなー」 それをティッシュにくるんでぽい、と捨てながら佐伯は立ち上がった。 そのまま俺の身体を後ろから押さるように抱きかかえると、更衣室の壁にかけられた全身鏡の前に、裸にエプロン一枚の俺と、それを後ろから抱きこむ佐伯が映る。「あ、さっき中屋に言えばよかったね。……『これから彼氏と更衣室でセックスするから切るね、ばいばーい♡』って」 愉しげに耳元で言うけれど、マジで笑えない。 こんなところでヤろうとするなんて、佐伯はどうかしてる。 ……そのくらい、こいつを怒らせてしまった俺が悪いのだけれど。 右手で俺自身を扱きながら、佐伯は俺のうなじや肩に、がっつり噛みつき始めた。「い、痛っ……澄人、痛……っ、やめて……!」「南緒のイヤイヤは好きのうちだし、俺の心はもっと傷付いてるから」 ぐちぐちと扱かれて、中心が熱と硬さを帯び始める。 鏡に映った自分の顔はみっともないくらい快感に溺れていて、それを見ながら佐伯は言った。「……俺だって、まだ中出しはしてないのにさぁ。あーあ、なんかめっちゃむかつきすぎて笑えるんだけど」 すると、ポケットからまた俺のスマホを取り出すと、外カメで佐伯が鏡を映す。「や、やだっ、それ――」 俺の言葉も虚しく、佐伯はシャッターボタンに親指をかざす。 シャッター音が鳴る前に、俺は咄嗟に顔を横に背けた。「これ、中屋元紀に送信してもいい?」 佐伯がラインの画面を開いて、トーク画面を見せる。 そこには中屋から『急に切れたけど、大丈夫?具合悪い?』とメッセージが届いていた。「ほっ、ほんとにやめて。澄人、いうコトなんでも聞くから……!」「そんなん、どうでもいい。自分が誰の恋人か自覚し
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-23
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第35話 もう怒らせないでね

「あームカつく。どうせどいつもこいつも、家で南緒のこと考えながらシコってんだよ。下心隠して、お前がニコニコ笑う顔みて『この子なら俺でもオトせそう~』ってチンコ脳で物考えてんの。Fランだから」 とんでもない罵詈雑言だ。インカメにして、俺の乳首をアップで撮ったり、後孔を指で押し広げて「ピロン」と撮影しながら佐伯が言った。「これ、木村と中屋に送ったらおかず決定だね。……他にも送んなきゃいけない男、いる?」 ぶんぶんと頭を振ると、鼻で笑われた。 ぐに、ぐに、と押しつけながら再び佐伯は俺を脅す。「南ー緒ー、早く言って。早くしないと、うっかり手が滑るかもー」 ねっちっこい。本当にやだ。でも、今の佐伯なら本気でやりかねない。 俺は下半身に熱が集中して、せり上がるのを感じながら息も絶え絶えに言った。「ほ、他の男に……っ! 媚びてぇ、ごめ……なさい、お詫びにっ、素股とご奉仕フェラします……!♡」「あはは、バカ丸出しでかわいい。家に帰ったらこの動画見よーっと」 その言葉のあと、佐伯は俺自身を扱いて、鏡を白濁で汚させた。 とろ……と垂れたそれを見て目を逸らす。「こっち見て、咥えて」 スマホを向けられたまま、俺は涙目でレンズを見ながら、佐伯の硬くなって血管の浮き出ているソレを口いっぱいに含んで、舌を這わせた。「ごめんなさいのご奉仕フェラ出来て偉いねぇ。お利口さん……」 「っ、うん…っ」 髪を撫でながら、佐伯が画面を近づける。「お口でもちゃんとお勉強しようね、恋人のザーメンの味」 とんでもない卑猥な言葉を言われてるのに、普段とは全く違う佐伯の雰囲気を感じ取りながら思った。 こんな風に嫉妬するんだ、佐伯って。 行動が極端すぎて怖いくらいなのに、ただ俺のことを独占したいだけなんだと思うと、不思議と胸がぎゅっとなる。 謝らせたいわけでも、感情的に縋られたいわけでもない。 佐伯が欲しいのは「確認」だけ。 俺が自分のことを見てくれて、ちゃんと返事してくれるか――それを確かめたいだけなんだ。「……バカだからちゃんと分かりやすく教えてあげるね? 俺がいない時の飲み会は禁止。当たり前だけど、他の奴と出かけんのも、泊まりも絶対禁止。隠れてコソコソ行ったら、もう一回頭じゃなくて……体に分からせるから、ね?」 子どもっぽい、と言えば子どもっぽい。
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-23
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第36話 呑ませないで

呑ませないで。ほんとに。バイトの飲み会って、なんでこんなに楽しいんだろう? 死ぬほど忙しかった年度末を、俺たちはどうにか走り抜けた。 バレンタインのチョコアイス地獄、イースターの謎ウサギ祭り、あの戦場みたいな日々を越えた俺たちの店は、まさかの“優秀店舗賞”。 全国一位。そりゃ祝いたくもなる。『飲酒禁止』を佐伯に言い渡された後から、俺は友達やサークル仲間と飲みに行くことは無かったんだけど、今日は店長が職場のみんなを連れて行くというのもあって。佐伯は渋々、打ち上げに参加することを了承してくれた。 一次会は焼肉、二次会はカラオケ、三次会は──女子全員をタクシーで帰したあと、男だけの居酒屋。 俺、佐伯、店長、副店長。それに男バイト四人で、計八人。 気付けばもう日付がもうすぐ変わる時間。 …けど、俺のテンションはむしろ右肩上がりだった。「横山さぁん、その話マジでウケる〜!!」 机に突っ伏しそうになりながら爆笑しては、今日何杯目かわかんない酒をくいっと飲む。 頬はじんわり熱く、身体はふにゃっと脱力して、誰かに寄りかかってないと保てないくらい。 いや、もうすでに寄りかかってた。 気づいたら横山さんの肩に手を置いて、俺はそこに凭れながら笑っていた。「でも俺ぇ、いつも横山さんがフォローしてくれるの、ほんと助かってて……ずっとありがたいって思ってたんですよ〜」 酔ってると、気持ちも言葉も止まらない。 横山さんはケラケラ笑いながら、でかい手で俺の頭をガシガシ撫でる。「小瀧は可愛いな〜!弟に欲しいくらいだわ!」 その言葉が嬉しくて、俺は尻尾振りそうな勢いだった。 今日の俺、完全に人懐っこい犬。わんわん。「てかね、店長も好きなんですよぉ。 俺のこと採用してくれたの店長だし〜、分かんないとこ10回聞いても怒んないし〜」 今度は店長の腕を掴んで揺らす。 店長はほぼ酔い潰れで、「う~……んあ~……?」 って宇宙語を漏らしつつ、虚空を見つめていた。 それすらも可愛いと思えてる俺、酔いの末期。 正面のバイト仲間が呆れたように笑って言う。「小瀧、今日飲みすぎだろ。……可愛いけど?」「ん〜? じゃあ止めてよ〜。ほら、そう言ってすぐ意地悪するじゃん」 頬杖をついたまま、へらっと笑った俺の前に、また一杯、また一杯とビールが追
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-23
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第37話 初めてのホテル

拳の主は——佐伯 澄人。 俺の彼氏。文句なしの超絶イケメン。 ただしバイトのやる気はゼロ、デートも気まぐれ、冷たくて嫉妬深くて、 性欲だけは人の三倍……いや、四倍ある。 歪んでて、扱いづらくて、それでもどうしようもなく好きな、俺の恋人。 佐伯はゆっくり俺を見つめる。 その目は一切笑っていなくて、むしろ殺気を孕んでいた。「……ね? 小瀧」 そう言いながら、俺の腕を支えて立たせ、顔をじろっと覗き込む。 ガチで怒っていることは、一秒で分かった。「いや……もっと飲んでたいなぁ~、なんて……」 悪あがき。このまま帰ったら殺されそう。 俺が引きつった笑みを浮かべると、佐伯は逆に——にっこりと、優しい笑顔をつくった。「今にも吐きそうな顔だから、まずはトイレ行こうか。ね?」 そう。キレると口元だけ笑うのが、佐伯のクセ。 俺はほぼ半強制的に、引き摺られながらトイレへ拉致された。 * 個室のドアを閉めると、腕を組んだまま佐伯が俺を見下ろす。「何杯飲んだ?」「え〜……わかんない……みんな優しくてぇ……俺もなんか、嬉しくなっちゃって〜……」「嬉しくなって、あんなに男に絡むの?」「……あんなにって、どんくらい……?」 佐伯はしばらく黙ったあと、低く落ち着いた声で答えた。「……覚えてねーんだ?」 俺は酔った勢いで、意味不明の言い訳をはじめる。「でもさぁ……店長も横山さんも好きだし〜……山田くんも好きだしぃ……」「ふーん。じゃあ俺いらないじゃん」「いらなくない!!」 反射で叫んだ自分にびっくりした。 でも止まらない。「澄人が一番すきだよぉ……でもみんな、いい人で……たのしくて……つい……」「つい、抱きつく?」「……抱きついたっけ?」 その瞬間、佐伯は片眉を上げた。 え、何その顔。付き合って初めて見るんですけど。「澄人……?」「……記憶ないの?」「うっすら……?」 一拍。 佐伯は深く息を吐いて、俺の襟首をつまむ。「お前な、いい加減に――」「……う、えっ」 急に口を押さえて横を向く俺。 やばい……来た……。 それを見た佐伯が、本当に嫌悪感丸出しの顔で俺を見る。「……なに、吐きそう?」 こく、と頷く俺。 佐伯は「お前もかよ」と盛大にため息をついた。 * 俺はしばらく便器にしがみ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-24
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第38話 傷つけてごめんね

シャワーのお湯が頭に落ちると、ぐらぐらだった意識が少しずつ戻っていく。 扉の向こうから佐伯の声が響く。「五分浴びて。出るとき呼んで」 その声音は低くて、乾いてて、ちょっと怖い。 怒ってるのに、突き放しはしない。 そういう優しさが逆に胸に刺さって、シャワーを浴びながら俺はじわじわと後悔の波を浴びる。「あ〜……やらかした……」 酔いが薄れてきてようやく、今日の自分の行動のヤバさを自覚していく。 キレてるけど、優しくはしてくれてる。 ギリセーフだったりすんのかな……。 五分ほどして、おそるおそる声をかける。「澄人〜……出た……」 扉を開けると──佐伯は壁にもたれて腕を組み、ずっと待っていた。 俺の髪から滴る水を見て、ほんの一瞬だけ眉が下がる。 言葉にはしないけど、愛情のある視線に感じられて、その一瞬の表情だけで胸がぎゅんぎゅんする。「……タオル貸して」 渡されたタオルを佐伯が受け取って、黙ったまま俺の髪をわしゃわしゃ拭き始めた。 乱雑なんだけど、不思議と痛くない。むしろ気持ちいい。 優しさが隠しきれずに漏れてるみたいな手つき。 完全に拭き終えると、佐伯はタオルを横に置いた。 静かに息を整えるみたいな間があって、そのあと、ゆっくりと俺の顎を指で持ち上げた。 その仕草は驚くほど落ち着いていて、優しく見えるわけじゃないのに、胸の奥のどこか柔らかいところをぎゅっと掴まれたみたいになる。 喉がひく、と鳴った。「──質問に答えて」「え……?」 目が合った。 暗い照明の中で、佐伯の瞳はひどく澄んで見える。 酔いのせいなのか、本能的に後ずさろうとしたけど……動けない。 逃げ道が、ない。「誰に“好き”って言った?」 心臓がドクッと跳ねた。 聞いてたんだろうと思ったけど、実際に指摘されると足の裏から冷える。「え、えっと……その……い、色んなひと、に……?」「“色んなひと”って何」 語尾のない静かな声。その低さが、めちゃくちゃ胸に刺さる。「だってぇ……助けてくれるし……酔ってて……なんか気分よくて……」 佐伯は視線をそらさず、一拍置いてから薄く笑った。 怒ってるとき特有の、あの乾いた笑いだった。「で? あいつらのどこがそんなに“好き”なの?」「え、えっと……笑ってくれるし……褒めてくれるし
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-24
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第39話 ピンクのベビードール

「……なんで南緒が泣いてんの?ホント馬鹿だわ……笑えないし、救いようがない」 呆れたように吐き捨てるくせに、 その声の奥には、ちゃんと俺を取り戻したみたいな安堵があった。 佐伯がぐっと俺の腰を引き寄せて、胸に俺の額を押し当ててくる。 怒ってるくせにあったかい。 ぎゅうっと抱かれて、背中に大きな手が回る。 佐伯に抱きしめられるたび、心臓がずっと求めていた場所に戻ってきたみたいになって、俺はしばらく動けなかった。「……反省してるなら、一個お願い聞いてくんない?」 佐伯がそう切り出したとき、声は淡々としてるのに、どこか逃がさない気配があった。 胸の奥がぎゅっと縮む。まさかこの流れで“お願い”とか言われるとは思ってなかったから、反射的に返事してしまう。「……え、いいよ。何でも聞く」「じゃあ、これ。どれ着たいか教えて?」 その言葉と同時に、目の前に“並べられたもの”の破壊力がすごすぎた。「な、なにこれ……」 ひとつは、高校の制服を思わせる紺のブレザーと、ひらりと広がるスカートセット。 もうひとつは、丈の概念をどこかに置き忘れてきたみたいな白いナース服。 そして最後。薄いピンクで、フリルがこれでもかと盛られたベビードール。 着ている自分を想像しただけでゾッとして、秒で手が引っ込んだ。 俺はしばらく、声も出ないまま固まる。 酔いはだいぶ醒めてきたけど、これは別の意味で頭が回らない。 よく見れば、一番奥の棚に他にも何着かコスプレが置いてあって、その……大人のおもちゃも大量に、それはもうえげつないやつが置かれていた。無料で貸し出し、なのかな。「佐伯澄人にこんな趣味があったとは……」 半ば諦めてつぶやくと、佐伯は即座に首を横に振った。「や、全然趣味じゃない。南緒のお仕置き用だから、これ」 にっこり笑う。背筋がぞわっとした。 お仕置き用とか言うけど、この前更衣室で裸エプロンしたじゃん。 絶対嘘、これは佐伯の趣味というか、性的嗜好なんだと俺は確信する。「……まぁ、この辺なら……ぶっちゃけ高校の時とか、文化祭でやったし……ナースもサークルの夏合宿で……」「え?」「いや、なんでもないです。」 言った瞬間、脳内で警報が鳴った。 あっぶねぇ、地雷を踏み抜くところだった。 佐伯は少し首を傾け、俺の顔をまっすぐ覗き込
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-24
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第40話 バカ丸出しで可愛い

「うわー……バカ丸出しで可愛い」「言い方!!」「いや、ほんと。肌白いから薄ピンクめっちゃ映えてるし。 髪の色とも合ってる。……なんか、想像以上」「褒めてる風に言うなよ……!! 嫌味すぎる……!」 立ち上がった佐伯の指が、俺のベビードールの裾をちょんとつまむ。 その軽い仕草すら、こっちは恥ずかしくて全身が熱い。「イヤミじゃないよ?普通に褒めてるし……」「も〜〜ヤダ……やめて……! はずい……! てか澄人ってさ……こーゆーの、興奮するの?」 恐る恐る訊いた途端、「いや、全然興味ない」 即答だった。「は??」「でも──南緒が嫌がってるの見ると、興奮する」「歪んでる〜〜!! 意味わかんない!サイコじゃん最早!!」「うん。そうかもね」 普通に認めた。 あまりの無造作さに、逆にぞくっとする。「俺、ガキの頃からちょっとそういう気質あるし」「えっ、どういう?」「“普通”とちょっとズレてんの」 佐伯はさらりと言って、俺のベビードールを指先で弄んだ。 「まぁ……そんな男に引っかかった自分を呪うしかないよねー……」 佐伯はベッドに座って足を組み、俺の二の腕をツー……となぞりながら言った。「……呪わないよ」「なんで?」 佐伯は不思議そうに目を丸くして、俺の頬にすっと指を触れさせた。 視線を落としながら、ぽつりと呟く。「……澄人がちょっと歪んでても……俺、澄人のこと好きなんだもん……」 その言葉に反応するように、佐伯はベビードールの胸元から覗く俺の肌をじっと見つめ、深く息を吸った。「……じゃあ、その好きな人のシたいこと、叶えてくれる?」 甘くて、少し低くて、背筋に震えが走る声で。 身体がビクッと跳ねて、佐伯は俺の透けた薄い布を持ち上げると、ぺらりと捲った。 でも脱がせる気配はなくて、そのまま軽く反応している乳首をぐい、と引っ張られた。「ひゃ、うっ……!」 乳首を引っ張りながら、もう片方を舌で捏ねくり回される。 じゅ、じゅ、と音を立てて吸われて、それが終わると、またこれでもかと言うくらい、先端を口に含んで吸われる。「ん、もう……吸うのしつこい……!」「好きなくせに」「そんな、吸っても何も……っ、出ないから…ぁっ」 そう言うと、甘噛みに切り替えられて、腰まで甘く疼くような快感が走る。 佐伯はベッドサ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-25
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