黒崎組と結城組の舎弟たちが殴り合う混乱の中、卯月は右肩を押さえながら私を支えて車まで歩く。血がシャツを真っ赤に染め、顔色が悪いのに、卯月はいつもの冷静な笑みを浮かべる。私は声を震わせ、卯月を見上げた。「馬鹿…! 私のために無理するんじゃないって言ったのに…!」「……お嬢様が無事なら、それで......」その言葉を最後に卯月は意識を失い、私の背中に彼の温かな重みを感じた。けれどそれは徐々に熱を失い、顔色は青白く変わる。私は卯月を抱きかかえるように車に押し込み、運転席の若い衆に向かって叫んだ。「屋敷に急いで! 医者を呼んで!」◇◇◇屋敷の卯月の私室は、薄暗く静かだった。畳敷に障子から雨の音が聞こえてくる。卯月は布団の上に身を横たえ、眉間にうっすらと皺を寄せている。医者が応急処置を終え、「熱が出るかもしれませんが、命に別状はありません。安静に」と去った後、私は舎弟たちを全員下がらせた。部屋に残ったのは、雨の音と、二人の息遣いだけ。私は救急箱を手に、ベッドの傍に膝をついた。包帯に血が滲んでいる。「服、脱いで。……私がやるから」卯月がわずかに眉を寄せる。「……お嬢様、それは」「黙って! あなたが私のせいで撃たれたのよ? 責任、取らせてちょうだい」私の声は強がっていたが、指先は小さく震えていた。ゆっくりと卯月のシャツのボタンを外し、右肩を露わにする。新しい銃創が赤く腫れ、古い傷跡がいくつも刻まれているのを間近で見て、胸が締めつけられた。消毒液を染み込ませたガーゼで傷口を丁寧に拭う。卯月が小さく息を漏らした。額に汗が浮かび、微熱が上がり始めている。「……痛い?」「痛くはありません。ただ……お嬢様の指が、熱い」私は顔を上げ、卯月の目を見つめた。「熱いのは、あなたの方よ……バカ」新しい包帯を巻きながら、私は自然と卯月の左手を握っていた。離したくなくて、ぎゅっと力を込める。「……怖かったわ。本当に、怖かった。あなたがいなくなったら、私……どうすればいいの?」卯月が熱で潤んだ目で、私を見下ろした。普段は抑え込んでいる感情が、わずかに溢れ出している。「……私はお嬢様の影です。いつでも、どこにでも。お嬢様が望む限り、傍にいます」私は我慢できなくなって、卯月の胸——傷を避けた左側に額を押しつけた。体温が伝わってくる。心
최신 업데이트 : 2026-04-20 더 보기