翌日の公演後、琉生は凪を避けるようにホテルを出て、一人でショッピングモールへ向かった。彼はレディースファッションのフロアに入ると、並んでいる服を眺め始めた。このブランドは、普段美優が気に入って着ているものだ。美優は凝ったデザインを好まないため、店員が薦めるものはスルーし、新作のシンプルで体にフィットするワンピースの前で足を止めた。そして琉生は目を見開いて店員に包んでもらうよう頼み、それから他の服もいくつか選んだ。しかし、サイズ選びで彼は悩んでしまった。店員に聞かれても、普段美優が何サイズを着ているのかすら分からなかったからだ。思えば、最後に服を選んであげたのは、もう5年も前のことだったから。すると、琉生の胸の奥から急に罪悪感が湧き上がった。自分は美優のことを長年放っておき、冷たくあしらっていたのかもしれない。そう思って琉生が諦めようとしたその時、凪が歩み寄ってきて、自分のサイズを告げた。「美優さんと私は同じくらいの体型だから、私が入るなら彼女も大丈夫よ」しかし、凪が自ら助け舟を出したにもかかわらず、琉生は無表情で素っ気なく礼を言った。それはかつての二人の関係に比べれば、明らかに距離感があるように感じさせた。極めつけは支払いを終え、プレゼントの箱を手にして立ち去る彼の姿が、凪など眼中にないという様子だった。「琉生さん、ごめんなさい。昨日は美優さんのこと悪く言ってごめんなさい。もう二度と言わないから、許してくれない?」凪はハイヒールを鳴らしながら追いかけてきた。だが、琉生は凪が腕に乗せていた手を振り払った。表情には変化はなく、唇を引き結んだままだ。それを見た凪は、歩き出すと不意に足をもつれさせた。すると、琉生は慌てて彼女の腰を支えた。一方、凪はその勢いで、ここぞとばかりに涙を流しながら訴えた。「私は幼い頃から父がおらず、母からも愛されなかったの。愛情を知らないまま育つのは本当につらくて。琉生さんのことを大切に想っているから、幸せになってほしいと思ったの」そして、琉生の表情が少し和らいだのを見て、凪は畳みかけるように「琉生さんと美優さんのことには、もう二度と口出ししないわ」と言った。そう言いながら、凪は滝のように涙を流した。彼女は昨日、哲平から、美優が荷物を持って家を出て行ったという連絡を受けてい
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