柚は慎吾の公開声明を見た。ネット上では、慎吾と蛍に対する非難が殺到している。【蛍さん、研究室にすら入ったこともないくせに、どうしてそんな厚かましいことができたんだろ?しかも、柚さんに自分を見習えなんて言ってさ】【厚顔無恥ってこのことだよね!】【西村社長みたいな夫や上司を持つって、柚さんは一体どれだけ災難なんだ?】【私、A大学卒業生です。もともとは西村グループを受けようと思っていましたが、今は別の企業から内定をもらいました。いつこんな社長に理不尽な理由で目をつけられて、成果を愛人に奪われるなんて思ったら、怖くてやってられませんから!】ネット上には、慎吾と蛍への議論以外にも、西村グループの巨額の赤字や、大野家が破産に直面しているというニュースで持ち切りだった。しかし、柚はちらりと見ただけで、すぐに自分の結婚式の準備に戻った。慎吾たちがどうなろうと、もう自分には関係のないことだ。梨花と一緒にウェディングドレスショップへ向かう道中、慎吾に遭遇してしまった。「柚、話をしよう」慎吾の頬はげっそりと痩せこけ、以前の自信に満ち溢れた面影は消えていた。柚は冷ややかに見つめる。「話?いいよ。じゃあ、まず死んでくれる?そうすればあの世で『柚』と心ゆくまで話ができるはずだから」梨花も目を思い切り見開いて呆れていた。「まだ柚に執着してるの?厚かましいにも程がある!柚、もう行こう!こんなやつ、無視無視」梨花は柚の腕を組んで、二人でドレスショップの方へ向かった。それでも慎吾は諦めず、追いかけてきた。「柚!ネットニュース見たか?西村グループに大損害を与えてまであんなことをしたのは、すべてお前のための復讐で、改心の意志を見せるためだったんだよ!」柚は慎吾の叫び声にうんざりした。その時、車が脇に止まり、弘樹が降りてきた。「出張は半月のはずじゃなかったの?どうしてこんなに早く戻ってきたの?」弘樹を見るなり、柚はさっきまでの苛立ちを忘れて目を細めた。弘樹は柚の手を取り、甲に優しくキスをした。「ウェディングドレス選びに付き合いたくて。君が俺のために着るウェディングドレスだろ?どうしても見ておきたかったんだ」「そんな無理をしなくてもよかったのに」「やる必要はないのかもしれないけど、俺がこうしたいから。それじゃ駄目か?」
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