大学入学共通テストの結果が出て、蛍は希望通り東都中央大学の航空学部に合格した。入学初日、亮太が直接大学まで送ってくれた。背が高く凛々しい彼はキャンパスでひときわ目を引き、多くの女子大生が振り返っていた。大学の案内をしてくれた先輩たちが、興味津々に聞いてきた。「ねえ、今の彼氏さん?」蛍は亮太と顔を見合わせ、笑って答えた。「いえ、婚約者なんです」「お似合いね。すごく素敵なカップル!」先輩は羨ましそうな顔をした。その時、突然の騒ぎがキャンパスの和やかな空気を破った。蛍が怪訝そうにその場所を見ると、男子大生がぶつかって転んだ新入生を助けていたが、地面に座り込むその女の姿に覚えがあった。次の瞬間、空が慌てた様子で走っていく姿を見て、蛍の疑念は確信に変わった。彼は駆け寄って百合を抱き上げると、どこか怪我はなかったかと尋ねた。百合は強がったフリをして首を横に振った。先輩の女の子が一目見て言った。「あっちの2人も美男美女だけど……あの女の子、なんだかちょっと、わざとらしくない?」蛍は淡々と視線を外し、先輩に言った。「行きましょう」百合の実力では東都中央大学は不合格のはずだった。しかし、今年導入された特別推薦枠を利用したことで、なんとか定員割れしていた考古学科に入学したのだ。空は百合を抱きかかえて病院へ向かおうとしたが、視界の端にずっと想い焦がれていた後ろ姿がよぎり、思わず足を止めた。「どうしたの?空さん」空は行き交う学生たちの中を見渡したが、蛍の姿は見当たらず、首を振った。「いや、なんでもない」彼が無事に百合を女子寮の下まで送り届けた頃には、すっかり日が暮れていた。百合は彼を見上げ、甘えるように言った。「空さん、東都の新しい勤務地に行ったら、会いに来てくれるよね?」空は、目の前にいる幼い頃から見守ってきた女の子を見て、ふと複雑な感慨を抱いた。百合の父は村長で、昔、土砂崩れに巻き込まれた際、身を挺して空を守ってくれた。息を引き取る直前、彼は唯一の娘のことを案じ、涙ながらに空へ百合の面倒を見てほしいと頼んだのだ。空はそれを受け入れ、あれから10年以上の歳月が流れた。空の人生において、百合を保護し気にかけることはとうに習慣となっており、彼女が望むものは何でもどうにかして手に入れて与えてきた。だが、そんな骨
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