Alle Kapitel von トップシークレット☆後日談 東京~神戸 新婚ラプソディ: Kapitel 41 – Kapitel 50

65 Kapitel

湯けむりと貴方とわたし。 PAGE2

 着替えその他を抱えて浴室へ行こうとしたわたしの背中に、貢の声が飛んでくる。 「絢乃さん、バスタオルと浴衣は脱衣所にありますから。持っていくのは着替えと洗面道具くらいでいいと思いますよ」 「分かった、ありがと」  本当は自前のバスタオルも持っていこうと思ったけれど、ホテルのアメニティがあるならそっちを使わせてもらおう。  ――着ていたものを全部脱ぎ、先に髪を洗ってから浴槽に浸かった。 「はぁ~~、いいお湯~~♪ 気持ちいい~~……」  ここ洲本温泉の泉質は〝美肌の湯〟らしい。この淡路島を創造したという古代神・伊弉冉尊も、この温泉でお肌を磨いていたのかな……。夫である伊弉諾尊のために。だとしたら、なんかロマンを感じる。 「わたし、これ以上お肌ツルツルスベスベになっちゃったらどうしよう。貢、困っちゃうよね……。フフフッ♪」  いい加減気持ちよく温まったところで、わたしは濡れた髪をヘアクリップでひとまとめに留めて、浴衣姿で入浴を終えた。 「あー、いいお湯だった~♪ お天気がよかったら、眺めも最高だったのにね」  ホカホカと湯気を立てながら貢の元へ。……そういえば、彼にわたしの浴衣姿を見てもらうのも初めてだ。さて、どんな反応をするかな? 「あ……、絢乃さん。浴衣いいですね。大人っぽくてステキです。……っていうか、和装の着付けもできるんですね」  彼は惚けたように、わたしの浴衣姿に見惚れている。凝視できないのは、照れているから? 
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湯けむりと貴方とわたし。 PAGE3

 その後、わたしは乾かしてもらった髪をもう一度ヘアクリップで結い上げ、あとは夕食が運ばれてくるのを待つだけとなった。「――篠沢様、失礼いたします。 お食事をお持ちいたしました!」 部屋の引き戸が少し開けられ、お料理を載せたお盆を傍らに置いた仲居さんが、両手をついてわたしたちに呼びかけた。「ありがとうございます。――わぁ、すごく豪華! 美味しそう!」 次から次へと運ばれ、座卓の上に並べられていくお料理は種類が多く、どれも豪勢で食欲をそそる。特に、魚介類がすごく新鮮だ。「さ、食べよう! いただきま~す♪」「いただきます。……で、どれから箸をつけようかな。迷っちゃいますね」 貢は箸を持って、お料理の数々に視線をさまよわせる。わたしも同じように迷った。 新鮮な鯛の姿造りにお刺身の盛り合わせ、川元さんは「旬じゃない」と言っていた三年トラフグの〝てっさ〟に、明石だこを使った炊き込みご飯、淡路牛の小鍋……などなど。確か二人分のはずだけれど、こんなにたくさん食べ切れるかしら? ……ともかく、お腹がペコペコだったわたしは、まず鯛の姿造りに箸をつけた。 これが動いていない鯛でよかった。活造りだったらどうしようかと思った。「…………ん! この鯛美味しい! 身がプリプリ♪」「三年トラフグも美味しいですよ。実は僕、フグ食べたの初めてで」 お料理はどれもほっぺたが落ちるほど美味しくて、ついつい箸が止まらなくなった。 そして気がついたら、わたしたちは全部平らげてしまっていた。「はぁ~~、幸せ~~♪ もう入らない……」「そりゃあそうでしょうよ。……それにしても、すごい食欲でしたね」「うん……、自分でもそう思う」 そういえば、わたしたちは昨日から美味しいものを食べまくっている。今日一日だけでも相当な量を食べた気がするけれど……。「――さてと。まだまだ寝るには早いですよね。絢乃さん、どうやって時間潰します?」 お腹もいっぱいになり、ヒマを持て余していたわたしたち。時刻は夜八時前、夜はまだまだ長い。「売店までお土産でも見に行きますか? 散歩がてら」「それは明日の朝でもいいじゃない。今日はもう部屋から出たくない……」 わたしは畳の上に寝転がっていた。我が家には和室がないので、畳のヒンヤリとした感じの心地よさを憶えてしまったら、もう動く気力が起きない。「この
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湯けむりと貴方とわたし。 PAGE4

「貢……、もう降参したら?」 「…………はい、そうですね……。もうやめます……」  彼は負け続けたのが相当悔しかったのか、もう泣きそうになっていた。 「オセロで一回も勝てなかったくらいで、そんなに落ち込まなくても……」  彼はこういうところが、まだ大人になりきれていない。子供っぽいというか。 時々、自分がこの人の母親になったような気がするのはそのせいかもしれない。ちょっと面倒くさいけど、放っておけないくらい愛おしくて。 「あー、楽しかった! ――さて。そろそろもう一回お風呂に入って、お布団敷いてもらおっか」 「…………ああ、ハイ」  わたしの示唆するところを察して、彼の顔が火を噴いたみたいに赤くなった。    * * * *  ――わたしたちはその後、湯上りの火照った体で愛を確かめ合った。  濃密なキスの後、彼がわたしの浴衣の帯に手をかけた。シュルッと帯を解かれ、はだけた浴衣の中には何も着けていない。二度目の入浴の後、全裸の上から直接浴衣を着たのだ。こうなると思っていたから。 「……絢乃さん、素肌に浴衣はエロすぎますよ」 「あんまりジロジロ見ないでよ。……あぁ……っ♡」  彼はわたしの脚を開かせ、すでに濡れそぼっていた秘部に手を伸ばした。わたしが胸よりも、こちらへの攻撃に弱いことを知って
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国生み伝説と夫婦の絆 PAGE1

 ――新婚旅行、四日目の朝。「――あー、やっぱり雨降ってる……」 一足先に目を覚ましたわたしは、まだ隣で寝ている貢を起こさないようにそっとお布団から出て、窓のカーテンを開けた。部屋の時計を確認すると、まだ朝の六時だ。 この部屋の窓からは、お天気がよければ一面オーシャンビューが楽しめるらしいのだけれど。しとしとと降りしきる雨のせいで眺めはあまりよくない。 体には昨夜の情事の余韻がまだほんのり残っていて、まだほんの少し体の芯が熱い。――三日連続の情事。これが新婚というものなのかな? ちなみに、下着は浴衣の下にちゃんと身に着けている。あの後脱衣所へ取りにいって、浴衣を着直す時に着けたのだ。さすがにあのままの格好では寝られなかったから。「……ま、雨に降られてのパワースポット巡りっていうのも乙なもんだよね」 さて、朝風呂に入ってさっぱりしよう。――わたしはそのまま室内浴室に向かった。髪が濡れないようヘアクリップでまとめて、三十分くらいで入浴を済ませる。 源泉かけ流しの浴槽で身も心もピカピカになり、浴衣から洋服に着替えて浴室から出てくると、昨夜から切ってあったスマホの電源を入れた。「……あ、里歩からライン来てる。昨夜のうちに送ってきてたのか」 メッセージアプリを開くと、一昨日の電話で言っていたランチをしようと思っているお店のリストが送られてきていた。 唯ちゃんと相談してリストアップしたというお店の候補は三件あり、オシャレなカフェが二軒とイタリアンレストランが一軒。それぞれのウェブサイトのURLも添付されているので、一軒ずつ見て回った。「……イタリアンは恵比寿か。価格もお手ごろだし、ここにしよう」〈里歩、返事遅れてゴメン! 昨夜は電源切ってたから…… 三軒ともよさそうなお店だけど、明後日のランチ、恵比寿のイタリアンがいいな。 唯ちゃんにもよろしく言っておいて。〉 返事を送信し終えた頃、やっと貢が起きた。「おはよ、貢」 わたしは貢にキスをしてから、まだ半分寝ぼけている彼に声をかけた。「……おはようございます、絢乃さん。早いですね」「うん、なんか早く目が覚めちゃって。朝風呂入ってきた」 まだスマホを持ったままだったわたしに、彼が首を傾げる。「そうですか。――で、朝早くからスマホで何を見てたんですか?」「ああ、コレ?
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国生み伝説と夫婦の絆 PAGE2

     * * * *  「――篠沢様、お気をつけて行ってらっしゃいませ!」 「行ってきます!」  美味しい朝ゴハンでお腹もいっぱいになり、ホテルの従業員さんたちに見送られてホテルを発ったのは午前九時半。  梅雨の時期らしく、しとしとと降り続く雨の中、貢の運転するレンタカーは淡路島を北西に向かって進む。 「まずは〝おのころ島神社〟ですか。南あわじ市の」 「うん。ご利益は……えーっと、『夫婦和合・良縁堅固・安産祈願など』だって! 新婚のわたしたちにピッタリだね」  わたしは淡路島のガイドブックとスマホで検索した神社の情報を照らし合わせて頷いた。  夫婦末永く仲良く幸せに、そして子宝にも恵まれる……。うん、まさに新婚カップルのわたしたちにはうってつけのパワースポットだ。 「その神社の周りにも、国生み伝説にまつわるスポットがいくつかあるみたい。そこも回ってみよっか」 「いいですねぇ、そうしましょう」  運転席で貢が頷いた。アクセルペダルを踏む彼の足元は、珍しくスニーカーである。  そういうわたしも、今日の靴はハイカットスニーカー。泥ハネしても大丈夫なように、カーゴパンツに七分袖のカットソー、そして今日は自前のパーカーというアウトドアスタイルなのだ。  ――それから車を走らせること十数分。〝おのころ島神社〟の真赤な大鳥居が見えてきた。   駐車場で車を降り、日本三大大鳥居の一つといわれている大鳥居をくぐるとそこはもう神社の境内。 階段を上がってすぐ右側に、紅白の長い縄が垂れ下がっている大きな石が鎮座している。パンフレットによれば、これは「鶺鴒石」というらしく、お目当て
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国生み伝説と夫婦の絆 PAGE3

 二人は社務所で絵馬をもらい、願いごとを書くことにした。この神社の絵馬はよくある五角形だけでなく、可愛いハート形もある。さすがは縁結びのご利益を授かれる神社だ。『わたしたち夫婦の絆が、永遠に続きますように。 絢乃』『永遠のおしどり夫婦でいられますように。 貢』 婚姻届を記入した時に初めて気づいたのだけれど、貢はなかなかの達筆なのだ。奉納した絵馬にも、読みやすく丁寧な文字で願いごとが認められていた。「――ねえねえ貢、〝夫婦守り〟っていうのがあるよ! 買っていこ♪」 授与所でお守りを眺めていたわたしは珍しいものを見つけ、貢のパーカーの袖を引っぱった。 そのお守りは「夫」と刺繍されている青いお守りと「婦」と刺繍されている赤いお守りが二つセットで真っ白な箱に収められた状態で売られている。一つずつお揃いで持っているというのが正しい持ち方なのだろうか。 「いいですねぇ、買いましょう。あと、子宝祈願のお守りも頂いておきます?」「あー…………、うん。そうしようかな」 わたしは「子宝」という単語に思わず赤面してしまった。こういうところ、わたしはまだまだ子供だなぁと思う。  そりゃまあ、わたし自身も子供はほしいけど。貢が望むなら、一人といわず二人でも三人でも産みましょうっていう気持ちではいるけど。 ……というわけで、夫婦守りと子宝祈願のお守りも授与してもらい、わたしたちは順路をさらに進んでいった。 周囲にあるパワースポットも制覇し、船で南あわじ市の東の沖に浮かぶ沼島に渡ると、ここにも「自凝神社」があった。「――ねえ貢。古い文献によると、国生み伝説の舞台になった〝おのころ島〟っていうのはこの沼島のことみたいだよ」 わたしは神社へ向かう道すがら、スマホの画面を見ながら貢に説明した。ここからは山道が続く。わたしよりは体力のある貢はともかく、運動オンチなわたしには、この山道はかなり堪える。  それにしても、ネットの情報って侮れない。自分が今まで知らなかったことも簡単に拾えてしまうんだもの。「へえ、そうなんですか。淡路島のことじゃなかったんですね」「うん。まぁ、諸説あるみたいだけどね」 〝おのころ島〟に関する伝承は、淡路島沖に浮かぶ別の島や、山陰地方にもあるらしい。さすがはこの「日本」という国を作った神様たち
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国生み伝説と夫婦の絆 PAGE4

     * * * *  ――昼食はわたしと貢の食べたいものの希望が一致して、淡路島バーガーに決まった。 沼島から淡路島本土に戻り、いちばん近いところで、福良港の近くに位置する〈道の駅うずしお〉のテラスにあるお店で頂くことにした。雨上がりのテラスで頂くのはちょっと難しそうなので、店内で食べようと思う。  淡路島バーガーというのは、淡路島の名産である玉ねぎと淡路牛を使用したボリューム満点のハンバーガーのこと。某有名バーガーチェーンのものよりもかなり大きいので、食べ応えはかなりありそうだ。その分、お値段も二倍くらいするけれど。  二人仲良く「あわじ島オニオンビーフバーガー」とポテト、飲み物に貢はアイスコーヒー、わたしはアイスカフェラテをオーダー。ソフトクリームも何種類かあったけれど、多分バーガーとポテトだけでお腹いっぱいになるので今回は諦めた。 「……ん~、美味しい♡ お肉がジューシーだね♪」 「うん、美味い! 玉ねぎが甘いんですね。それにしてもスゴいボリュームだ」  テーブルに向かい合って座り、大きな口を開けてバーガーにかぶりつく。あまり上品ではないけれど、こうして二人でハンバーガーを食べるというシチュエーション自体は付き合っていた頃から何度かあったのでもう慣れっこだ。そもそも、お腹ペコペコの時にムードもヘッタクレもあったもんじゃない。 「――あの、絢乃さん」 「……ん?」  ポテトをつまんでいたわたしに、アイスコーヒーで喉を湿らせた貢が真剣な顔でこんなことを訊いてきた。 「専務就任の件なんですけど……、ホントに断ってもいいんですね?」 「うん。貴方
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淡路島、最後の夜 PAGE1

 ――ホテルに帰ってきたのは夕方五時少し前。まだ夕食まで時間もあるし、二人とも小腹も空いていたので、昨夜は行けなかったティーラウンジを利用することにした。 「あ~~、生き返る~~♡ やっぱり甘いものっていいよね~♪」  美味しいケーキを味わい、温かいミルクティーを飲んでいると(実はわたし、コーヒーほどではないけど紅茶も好きなのだ)、一日の疲れが取れた。 「ええ、ホントに。特に僕は今日、ほぼ一日運転してましたから。沼島での山登りも正直キツかったです」 「そうだよね。貢、今日一日お疲れさまでした」  微糖好きなのに珍しく甘めのカフェオレを飲んでいた彼を、わたしは頭を下げて労った。 「いえいえ。さすがにこれだけの長時間ドライブは疲れましたけど、楽しかったですよ。やっぱり僕は運転が好きなんだなぁって思いました」 「そっか。それならいいんだけど……」  でもやっぱり、彼一人に運転させるのは酷だ。特に、今日みたいな長時間・長距離の運転となると、交代要員がいた方が絶対いいと思う。 「貢、わたしやっぱり免許取るよ。貴方一人に運転を任せるのはよくないから。あと、わたし用にクルマも一台買う」 「……絢乃さん、それは昨日」 「貢が反対っていうのは聞いた。けど、結局うやむやになってるよね。だったら、わたしもここは折れたくないな。何より、貴方のためだから」 「…………分かりました。そういうことなら、あなたの思うようにして下さい」 「えっ、いいの!?」  意外にもOKが出たようで、わたしは
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淡路島、最後の夜 PAGE2

「でも、連絡先は知ってるんでしょ? だったらさ、いい機会なんだし連絡取ってみたら? 『結婚した』って報告も兼ねて」  相手だって、貢からの連絡をずっと待っていたかもしれないのだ。結婚の報告は、友人関係を再開するちょうどいいキッカケになると思う。 「そう……ですね。東京に帰ったら、一度連絡してみます。でも、久しぶりの連絡が結婚の報告って、絶対に冷やかされるだろうな」   そう言いながらも、彼は嬉しそうだ。わたしと里歩、唯ちゃんとの関係が、彼にいい影響を与えられたのかもしれない。 「――絢乃さん。ケーキ、もう一つ注文しますか?」  お喋りを楽しみつつ、もうちょっとでケーキを食べ終える頃になって、貢がそう訊ねてきた。 「ううん、これでもうやめとく。これ以上食べたら、夕飯が入らなくなっちゃいそうだから。貢、足りなかったらもう一つ食べなよ」 「いえ、僕もこれでやめときます。その代わり、今日の夕食では久々にビールでも飲もうかな……なんて」 「あ、そういえば貢、ちょっとは飲めるんだっけ」  初めて出会った日、彼がそんなことをチラッと言っていたなと思い出した。もう一年半以上も前のことなのに、彼の一挙手一投足をわたしはちゃんと憶えている。……中には記憶がごちゃ混ぜになってしまっていて、わたしは憶えていなくても貢の方が憶えていることもあったりするけれど。 「じゃあわたし、お酌してあげるよ」  「いいんですか? ありがとうございます。絢乃さんのお酌で飲めるなんて恐縮です」 「そういうの、もういいから」  彼が冗談で言っているのが分かるから、わたしも冗談で返した。
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淡路島、最後の夜 PAGE3

「楽しかったらこそ、かな。そっちがわたしたちの帰るべき場所なんだなぁって思えたの。やっぱりわたし、東京の街が好きなんだと思う」   川元さんにとってこの島が故郷であるように、わたしにとっては生まれ育った東京こそが故郷なのだ。そりゃもう、生まれて十九年も住んでいるところだもの! 『そう。じゃあ明日、気をつけて帰ってらっしゃい。土産話もいっぱい聞かせてね』 「うん。じゃあね、ママ」  そうしてわたしの方から電話を終えた。たった四日しか離れていなかったけれど、母の声が聞けてホッとした自分がいる。わたしにはちゃんと帰る場所があるんだという安心感。 「……ねぇ貢、わたし、自分にとっての〝ふるさと〟がどこなのか分かったよ。わたしにとっての〝ふるさと〟は東京だった」 「そうですか。でも、どうしてそう思ったんですか?」 「東京はわたしと貴方が生まれ育った街で、わたしたちが出会って恋に落ちた場所だから。それに、これから先もずっと貴方と一緒に生きていく場所でもある」 「……はい」  多分それだけじゃなくて、里歩や唯ちゃんと友情を育んでいる場所でもあって、他にも東京にいたから築いて来られた人間関係がいくらでもある。 「だから貢、これからも東京で……あの家で、家族として一緒に生きていこうね。――わたしの家に婿入りしてくれてありがとう」 「いえ。こちらこそ、こんな僕を迎え入れて下さってありがとうございます。これからも家族として、よろしくお願いします」  お互いに家族になれた喜びを再確認したところで、わたしたちは腕を組み、客室へ向ってまた歩き始めたのだった。 「――淡路島、まだまだ回り
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