「早く東京に帰りたいのはホントだよ。でもなんか、貴方と二人きりの時間がもうすぐ終わっちゃうんだなぁって思うとさ、ちょっとしんみりしちゃって。この旅行が楽しすぎたから」 旅の終わりというのは、いつも淋しい気持ちになる。非現実的な時間から、もうすぐ現実の日々に戻るんだと思い知らされてしまうから。 これまでと違うのは、この旅行を終えて東京に帰ってもずっと貢が側にいてくれるということ。彼と一緒にいられることがこれからの「現実」になるのだ。でも、それと彼と二人きりの時間をずっと過ごせるかどうかはまったく別の問題なのだ。 「……確かに、旅先での時間って何だか特別な気はしますよね。あの家で、周りの人の目を気にしないでイチャイチャするっていうのは難しそうですし」 「う~ん、それはまた別の話かな」 彼の言う「イチャイチャ」の意味を理解して、わたしは赤面した。確かに、家の中で毎晩のように夫婦の営みをするのはちょっと……。いくらこれから先、夫婦の寝室として使う部屋の壁が防音だといっても。 ちなみに、わたしの部屋は今後、そのまま書斎として使うことにした。 それはともかく、毎晩あれだけ激しく求め合うというのは旅先での解放感が成せることかもしれない。 「でも、これからもたまにはこういう機会があったらいいよね。泊りがけの旅行がムリでも、お休みの日には今までみたいに二人で出かけたりしよう」 休暇が明ければ、お互い仕事に追われる立場となる。貢はもしかしたら専務に就任して、経営にも関わることになるかもしれない。だからこそ、二人きりで過ごす時間が今まで以上に必要になるはずだ。そうすれば、いつまでも新鮮な気持ちでい続けられるから。 母だって、新婚夫婦をジャマするような無粋な人ではないのだし。 「そうですね」 ――こうしてまたわたしの箸は進み、
Mehr lesen