除夜の鐘が鳴り響く中、原田雅美(はらだ まさみ)に今年の最初のプレゼントが届いた。夫が他の女と親密にしている写真だった。10分前まで娘を抱いてパフォーマンスを見ていた夫が、今は別の女と寝ている。ほぼ同時に、原田グループの御曹司が新人女優と密会しているというゴシップが、SNSのトレンドを埋め尽くした。屋敷では、パーティーの参加者たちが一斉に雅美に視線を注ぎ、彼女の反応を待っていた。「奥様……」秘書の中村拓也(なかむら たくや)が早足で近寄ってきたが、どこか緊張している様子だ。「いつものやり方で、トレンドをさらに盛り上げ、火をつけてしまいましょうか?」雅美の声は淡々としていた。「ううん。広報部に連絡して、噂をもみ消して」拓也は呆然と立ち尽くした。周りのひそひそ話が一瞬止まったかと思うと、さらに大きなざわめきとなって爆発した。「……今の聞いた?揉み消す?聞き間違いじゃないわよね?」「昔なら、渉さんの顔を潰すために何でもやっただろうに」「本当よ。前に渉さんがモデルと車でいるのを撮られた時は、車をハンマーで壊してたわ」「前回だってそう。パーティーの最中にあの豪華なクルーザーを焼き払ったのよ」「毎度あの騒ぎぶりだものね。狂ったふりじゃ渉さんの心は留められないと気づいたのかしら?戦術を変えて、物分かりのいい妻を演じ始めたのね?」そんな陰口は、容赦なく雅美の耳にも届いた。雅美は聞き流し、何食わぬ顔でパーティーの進行を続けた。誰もが彼女は、ただ騒ぐよりも手段を変えただけなのだろうと思っていた。けれど2年間も続いて、雅美ももう疲れてしまったのだ。パーティーのあと、遊び疲れて寝入った娘を寝室に運ぶと、雅美は書斎に向かった。扉を叩くと、原田楓(はらだ かえで)がソファで眉間を押さえながら座っていた。「お義母さん」雅美がそっと呼びかける。楓は顔を上げ、隠しきれない申し訳なさを表情に滲ませた。「雅美、本当に辛い思いをさせたわね……今すぐあのバカ息子に電話するわ!」通話ボタンを押すとスピーカー越しに鋭い声が響いた。「渉!年越しに家にいないでどこにいるの?すぐに戻ってきなさい!」電話の向こうからは賑やかな音楽と、女の嬌笑が聞こえてくる。原田渉(はらだ わたる)の声はひどく投げやりだった。「母
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