溺愛御曹司の恋愛指南♡ ~初恋女子はお坊っちゃまから愛されすぎる~ のすべてのチャプター: チャプター 11 - チャプター 20

25 チャプター

わたしに恋を教えて下さい! Page4

 ――そして、デート当日の月曜日がやってきた。  『――ねえ美緒。わたし……、もしかしたら寛斗さんに恋……しちゃってるかもしれない』   一昨日のメイクレッスンの時、わたしは美緒に素直に打ち明けた。寛斗さんのことが気になって頭から離れなくなっているけれど、理由が分からない。そう母に言ったら、「それは恋なんじゃない?」と教えてもらった、と。 「おばさんの言うとおりだとあたしも思う。それって間違いなく恋の初期症状だね。そっか……、若菜は初めてだから分かんなかったのか」  買ったばかりのコスメを使って〝魅力がアップするメイク〟をわたしに伝授しながら、美緒はそう言ってくれた。恋愛経験者の二人がそう言うのなら、この感情は間違いなく「恋」なんだろう。 「うん。でも美緒、『初期症状』ってなに? 恋って病気と一緒なの?」 「まぁ、似たようなものでしょ。『恋の病』ともいうしねー。あと、『恋煩い』とか。他のことが手につかなくなるくらい気持ちが浮ついちゃうなら、それは病気みたいなものじゃん」 「…………はぁ、なるほど」  美緒の言ったことはよく分かったような、分からないような……。でも、確かに今
last update最終更新日 : 2026-05-08
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わたしに恋を教えて下さい! Page5

「寛斗さんくらいステキな人なら、わたしの他にもお似合いな女性っていっぱいいそうなのにね。どうしてわたしなんだろ? なんかその理由、ウチのお母さんには心当たりあるみたいなんだけど。わたしが物心つく前に、彼とは接点があったってことなのかな? 全然記憶にないんだけど」 「……それ、お母さんに確かめてみた?」 「ううん。それがもしお父さん絡みだとしたら、お母さんは話したがらないと思うから」  両親が離婚した理由をわたしは知らない。母が一度も話してくれたことがないからだ。でも、大学入試の時に戸籍で父の名前だけは知った。もしかしたら悪い人かもしれないので、どこの誰かは調べる勇気もないけれど。 「そっか……、もしかしたらそうなのかもね。若菜のお父さん繋がりで、接点あった可能性はあるかも。だから部長は若菜にこだわってるんだ、って思えば納得はいくよね。あくまで仮定の話で、まだハッキリそうだって決まったわけじゃないけど」 「あー、そうだね。ってことは、わたしにはライバルって呼べる人はいないってこと?」  他に寛斗さんに好きな女性がいないのなら、わたしには明確な恋敵はいないということだろうか? それならちょっと安心かも。 「いや。それが
last update最終更新日 : 2026-05-09
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わたしに恋を教えて下さい! Page6

 ――そして今日も一日無事に仕事を定時で終え、いよいよ寛斗さんとの待ち合わせ時間が迫ってきた。 わたしはロッカールームの鏡で服装に乱れがないかチェックし、念のためメイクも少し直した。これでお仕事モードからデートモードに気持ちも切り替えられ、ご帰宅ラッシュにぶつからないよう少し遅らせてエレベーターで一階まで下りていく。 「――おっ、若菜! お疲れ! いよいよ部長とのデートだね。大丈夫? 緊張してない?」  エントランスで美緒が声をかけてくれた。彼女はわたしより先に下りてきていたはずなのに、わざわざわたしを待っていてくれたのだろう。 「うん、お疲れ。……はぁーっ、どうしよう? 美緒に言われて急にドキドキしてきちゃった」 「そっか、ごめん。あたし、先に下りてきてたんだけどさ、若菜のお見送りしてあげようと思って下りてくるの待ってたんだ」 「わざわざありがとね。じゃあ、外に出たところで待ち合わせだから、寛斗さんが来るまで付き合って」 「オッケー」  エントランスの外で、美緒と二人でしばらく待っていると、約束の時間より少し早く寛斗さんはやってきた。地下駐車場から、彼の愛車であろうセダンを運転して。 「――佐々本さん、お疲れさま。待った?」  彼は一旦車を降りて、わたしに声をかけて下さった。声をかけるだけなら、わざわざ降りなくても窓を開けるだけでもよかったのに。きっとそういうマメなところが女性からモテているんだろうなと思う。 「いえ、わたしも少し前に来たところなので……。お疲れさまです。美緒がわたしたちをここで見送りたいって言ってくれたので、二人で待ってました」  わたしがそう言うと
last update最終更新日 : 2026-05-10
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わたしに恋を教えて下さい! Page7

「……えっと、佐々本さ――」「せっかくのデートなんで、『若菜ちゃん』でいいですよ。こないだ、そう呼んで下さいましたよね」 わたしは寛斗さんが本当はそう呼びたいのだと理解し、名前で呼ぶことを提案してみた。「ありがとう。じゃあ……若奈ちゃん、それって相手が俺でいいの? もしかして、他に好きな男が――」「そんな人いません。わたしは寛斗さんがいいんです。まだハッキリと恋だって自覚したわけじゃないですけど、わたし、寛斗さんに生まれて初めての恋をしてるみたいなんです」「俺が……、君の初恋なのか?」 ちょうど赤信号に引っかかったタイミングだったので、彼がわたしの方を向いて目を大きく見開く。このリアクションはただ驚いているだけなのか、それとも引いているのか、わたしにはどちらかまだ判断がつかない。「はい。……二十五にもなって初恋なんて、引きますよね。でも事実なんです。わたし、さっきも言いましたけど、今まで恋とは縁のない人生を送ってたんです。母子家庭で育って、大学までずっと共学だったのに恋愛どころじゃなくて」「……いや、引かないし笑わない。でも、別に初恋が何歳だって別に構わないんじゃないかな。俺はむしろ、君の初恋の相手が俺で光栄だし嬉しいよ」「ホント……ですか?」「ああ、もちろん。俺、本気で君のことが好きだし、付き合えるなら絶対に大事にする自信があるよ。君が恋愛のしかたを知らないなら、その指南役も喜んで引き受ける」「はい……。あの、……嬉しいです。ありがとうございます、寛斗さん。これからご指導のほど、よろしくお願いします」 男の人とお付き合いするのも初めてなわたしは、こういう時にどう言っていいのか分からず、何だか妙に堅苦しい返事になってしまった。でも、彼は笑いながら「若菜ちゃん、カタいカタい!」と受け入れてくれた。「でも、君のそういうところも可愛いよ。……うん。こちらこそ、これからよろしく。若菜ちゃん」「……はい」 とりあえず、これでわたしたちは付き合うことになった……ということでいいのだろうか? でも、まだわたしの寛斗さんへの気持ちが〝恋〟だとは断言できないのに、こんな形で交際が始まっていいいのかな……? 男性との交際経験がないわたしには、「これでいいのか」という不安ばかりが付き纏う。「まあ、とりあえず今夜は難しいことは抜きにして、食事を楽
last update最終更新日 : 2026-05-11
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わたしに恋を教えて下さい! Page8

 ――寛斗さんが連れてきて下さったのは、フレンチのお店だけれど気軽に入れそうな明るい雰囲気のお店だった。 「ここはコース料理だけじゃなくて単品でもオーダーできるから、何でも好きなもの注文していいよ」 「はい、ありがとうございます。えーっと……、ん?」  わたしは店員さんから手渡されたメニュー表をめくって、お料理を選ぼうとしたけれど。フランス語ではなく日本語で書かれているはずなのに、書いてある単語の意味がまったく分からないので盛大に首を傾げた。これはお料理の名前なの? それとも調理法とか食材の名前なの? カタカナの羅列じゃ分からないよ……。 「……ごめんなさい、寛斗さん。わたし、こういうお店に来るの初めてで、ここに書かれてる意味が全然分からなくて……」 「ああ、そっか。ごめんごめん! そこは俺の配慮が足りなかったな。じゃあ……若菜ちゃん、嫌いな食材とかアレルギーはある?」 「いえ、特にはないですけど」 「それじゃ、俺がこの店のおすすめ料理をオーダーするから、君も同じものでいいかな? 安心してよ、ヘンなものは頼まないから」 「はい、それで大丈夫です。ありがとうございます」
last update最終更新日 : 2026-05-12
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わたしに恋を教えて下さい! Page9

「――寛斗さん、デザートも注文していいですか?」  最初こそ遠慮していたわたしだけれど、だんだん彼に気を許せるようになってきたので自分から言ってみた。このお店で出されるようなデザートは、今日という機会を逃したらもう二度と食べられないかもしれない、と思うとなんだか頼まないともったいないような気がしたのだ。せっかく寛斗さんがごちそうして下さるというのに。 「どうぞどうぞ! 何でも食べたいもの、頼んでいいよ。メニューの見かたは覚えた?」  積極的になったわたしに、寛斗さんはすごく嬉しそうだ。 「いくら何でも、デザートの名前くらいは分かりますよ。……ところで寛斗さん、今日はここ、寛斗さんが支払って下さるってことでいいんですよね?」 「もちろん、全額俺持ちだよ。誘ったの俺だし、君には一円も払ってもらうつもりはないから安心しなよ」 「ありがとうございます。――すみません。ショコラのジェラートと、イチゴのタルトをお願いします」  支払いは全額彼持ちということが分かり、安心したわたしは遠慮なくデザート二品を追加でオーダーした。そのついでに、彼もミルクティーを二人分注文して下さった。 「若菜ちゃん、君の恋愛指南役としてひとつ言わせてもらうとね。恋愛が上手くいくコツは、相手に気を遣わせないこと。そういう点では、君は合格だな」 「えっ、そうなんですか? よかった。実は自分の言動一つ一つが『これでいいのかな? 合ってるのかな?』って不安だったんです」 「まぁ、初めて男とデートしてるんなら不安になって当然だよな。でも、君はこの店に来る前からずっと俺に気を遣わせるような言動が一つもなかった。『ホントに恋が初めてなの
last update最終更新日 : 2026-05-13
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もっと近くに Page1

「――美緒、おはよ!」  初デートから一夜明け、汐留のオフィス街にある会社のビルのエントランスに出勤してきたわたしは、ちょうど同じタイミングで出社してきた美緒に元気いっぱい声をかけた。 「あ、若菜。おはよ。昨夜はよかったね、連城部長と付き合えることになって。デートも楽しかったって?」  寛斗さんとのお食事デートについては、昨夜メッセージアプリでも彼女とやり取りしていたのだ。彼女からは「おめでとう!!!」とエクスクラメーションマークが三つもついた祝福のメッセージも届いて、いかに自分のことのように喜んでくれたのかが分かる。 「うん、すごく楽しかった。帰りも団地まで送ってもらったし。……ただ、不満を言えば別れ際のキスがなかったことくらいかな。ファーストキスはそういうシチュエーションがいいなって、ちょっと憧れてたから」 「それはさ、部長が遠慮したんじゃないの? 女性と付き合うのは初めてじゃないと思うけど、付き合い始めたその日にキスするほどがっつくような人じゃないし。きっと若菜とは少しずつ距離を縮めていくつもりなんじゃないかな。それだけあんたが大事な存在だってことだよ」 「そっか。わたし、寛斗さんから大事に思ってもらえてるんだ……。でも、部署が違うから会社の中ではなかなか顔を合わせる機会がないのは淋しいな」  ついこの前までは、寛斗さんと顔を合わせると仕事に集中できなくなって「
last update最終更新日 : 2026-05-14
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もっと近くに Page2

 ――午前の業務が始まって一時間くらい経った頃、経理部長に内線電話が入った。どうも人事部からの呼び出しらしく、部長は慌ただしくオフィスを出て行った。「――部長、人事部からの呼び出しだったみたいだけど、何かあったのかな? 佐々本さん、何か知ってる?」 隣のデスクにいる男性の先輩から訊ねられ、わたしは「……さあ?」と首を傾げて見せた。 でも、何となく検討はついている。多分、さっき美緒から聞かされたわたしの引き抜きの件と何か関係があるんじゃないか、と。(……まさか、あの話はホントだったってこと? ってことは、人事部には寛斗さんも……) 気もそぞろで仕事が手につかなくなったわたしは、デスクの下でスマートフォンを操作して美緒にメッセージを送ってみた。〈美緒、仕事中にごめん! 今、寛斗さんってそこにいる? もしかして、人事部に行ってたりしない?〉〈その「もしかして」だよ。 連城部長、いま人事部に行ってる。社長も一緒らしいよ。 若菜、何かあった?〉〈経理部長がさっき、人事部に呼び出されて出て行ったの。 多分だけど、わたしを異動させるって話と関係あるのかも〉〈あたしも同感〉「……やっぱりか」 美緒とのやり取りを見つめながら、わたしはポツリと呟く。どうやら、わたしの経営戦略部への転属はほぼ決定事項みたいだ。 この社内で社員が部署を異動する時、転属する前の上長と転属先の上長、そして人事の決定権を持つ社長と役員一人の四人で話し合いの機会を設けるのがこの会社の決まりになっている。今回はこの異動を提案したのが彼だから、そこに寛斗さんが入ることになったのだろう。 もちろん、社員本人の意思を無視して強制的に異動させることできないので(そんなことをしたら立派なパワハラにあたる)、この話し合いの後わたしにもこの話は正式に伝えられるはずだけれど……。わたしは正直まだ迷っている。(寛斗さんのすぐ近くで働けるなら、それは嬉しいけど……。経理の仕事も好きだしなぁ。返事を考える時間ってもらえるのかな? こんな大事なこと、すぐには決められないし)「――佐々本さん、『やっぱりか』って何が?」「……えっ!? わぁっ! なな何でもないですっ! こっちの話でっ」 さっきの呟きを聞かれていたらしく、先輩から詰め寄られたわたしは慌ててごまかし、スマートフォンを後
last update最終更新日 : 2026-05-15
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もっと近くに Page3

「……あの、寛斗さん。そのお話は大変ありがたいですし、わたしもお受けしたいとは思うんですが……。正直迷っていて。できればお返事を少し待って頂けないかと……」  彼もまっすぐに伝えて下さったのだから、わたしも素直な気持ちを答えるのが誠意というものだ。そう思い、慎重に言葉を選んで返答した。 「もちろん、すぐに決めてほしいわけじゃないから、じっくり考えて返事をしてくれればいい。経営戦略部に来るとなれば、毎月の給与額も変わるわけだし、仕事内容もだいぶ違うからね。迷うのもムリはないよ。お母さんとも相談して、それから決めてくれ。……日数はどれだけあれば足りるかな?」 「そうですね……。一週間以内には、お返事できると思います」 「分かった、一週間以内だね。俺は本当に君の経理としての有能さを必要としてるから、いい返事を期待してるよ」 「……はい」  わたしの返事には、戸惑いの感情が混じっていた。彼が必要としているのは、本当にわたしの有能さだけなんだろうか? もちろん経理部長の前なので、個人的な気持ちはここで言えないのも分かっているけれど。それでもやっぱり、彼は恋人としても、わたしを今よりもっと自分の近くに置いておきたいんじゃないだろうか……。そんな気がしてならないのだ。 「それじゃ、俺の用件はそれだけだから、もう仕事に戻って」 「はい。失礼します」 「|荒《あら
last update最終更新日 : 2026-05-16
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もっと近くに Page4

「――あー、やっぱり来たか。異動の話」 お昼休み、いつものように美緒と一緒に社食でお昼を食べながらその話をすると、彼女はそうコメントしてきた。 ちなみに今日はわたしもお弁当ではなく、この社食イチの人気メニューである唐揚げ定食を食べていて、美緒も同じだ。 母譲りで料理は得意な方のわたしも、唐揚げだけはあまり上手くできないので、お弁当に入れているのはもっぱらスーパーのお惣菜か冷凍食品、もしくは母が作ってくれたもの。だから時々、この食堂の美味しい唐揚げが食べたくなるのだ。……母お手製の唐揚げも美味しいけれど。「うん。話自体は美緒から先に聞かされてたからそんなにビックリしなかったけど、まさか寛斗さんから直接聞かされるなんて。そっちの方がビックリしたよ」「連城部長、よっぽど若菜に会いたかったんだね。でなきゃ、直接伝えに行くなんてことしないもん。これ、めちゃめちゃイレギュラーなことなんだからね」「ああ、わたしが彼女……だから?」 まだお付き合いを始めて二日目なので、自分で「彼女」というのにも恥じらいを感じてしまう。そもそも、この単語自体言い慣れていないのだ。「そうそう。……でさ、あんたはどうするつもりなの? この異動の話、受けるの? 断ることもできるけど」「とりあえず、すぐには返事できないから一週間くらい考える時間をもらった。わたしも、断る気はないよ。もっと寛斗さんの近くで働きたいって気持ちはあるし、わたしの経理としての能力が必要とされてるなら、その期待には応えたい。……けど」「けど?」「表向きは、お母さんとも相談したい。……実はね、寛斗さんとお付き合いすることになったって、まだお母さんに話してないんだ。だからね、その話も一緒にしなきゃいけないなって思ってて」 母には昨日、寛斗さんとデートしてきたことは話したけれど、その後お付き合いすることになったことまではまだ話せていない。その理由は、「わたしに恋愛を教えてほしい」というお願いを叶えてもらうため、という実験台のような動機で交際が始まったからだった。「そんなの、相手の方に失礼なんじゃないの?」と母から叱られそうで、打ち明ける勇気が出ないのだ。「えっ、まだ言ってないの? ……まあいいや。表向きの理由は分かったけど、じゃあホントの理由は?」「野田美咲さんに会うのが怖いんだよね。わたし、その
last update最終更新日 : 2026-05-18
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