溺愛御曹司の恋愛指南♡ ~初恋女子はお坊っちゃまから愛されすぎる~ のすべてのチャプター: チャプター 21 - チャプター 25

25 チャプター

もっと近くに Page5

 ――その日の退勤後。会社のビルを出たところで美緒と別れ、駅へ向かって歩いていこうとしていると……。 「若菜ちゃん、お疲れ。家まで送っていくよ。乗って」  寛斗さんの車がすぐ側に停まり、運転席の窓が開いて彼がわたしを呼び留めた。多分、わたしと話したいから「送っていく」なんて言ってくれたのだと思うけれど、思いつきだけでそういうことをしないでほしい。こちらにも心の準備というものが必要なのだ。 「寛斗さん! あ……、お疲れさまです。それじゃ……、助手席に失礼します」  わたしは戸惑いの気持ちを隠し、今日は自分でドアを開けて、助手席に乗り込む。わたしがシートベルトを締めたのを確認してから、彼は車をスタートさせた。 「……若菜ちゃん、今日は急にあんな話をされてビックリしたろ? ごめん」 「いえ……。実はわたし、朝のうちに美緒からそういう話が出てるんだって聞かされてたんです。だから、お話の内容にはそれほど驚きませんでした。ただ、てっきり聞かされるのは荒木部長からだと思ってたので、寛斗さんから直接伝えられたことにビックリしました」 「そっか、藤崎さんから……。確か親友なんだっけ?」 「はい、高校時代からの親友です。大学も就職先も、彼女がわたしに合わせてくれた感じですね。『若菜が行くならあたしも!』って」  大学はともかく、就職活動の時には他に何社も内定をもらったと美緒は言っていた。にもかかわらず、わたしが〈連城ホールディングス〉から内定をもらうのを待って、それらを全部断って
last update最終更新日 : 2026-05-19
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新天地と試練の日々 Page1

 ――わたしが家に帰ると、先に帰宅していた母が夕飯の支度をして待ってくれていた。今日のメニューはわたしの大好物である煮込みハンバーグだ。 「――お母さん、昨日は話してなかったんだけどね。わたし、寛斗さんとお付き合いしてるの。昨日から」  一緒に食卓を囲みながら、わたしは寛斗さんからもらった勇気を振り絞り、母に打ち明けた。 「あら、そうなの? 若ちゃん、よかったじゃない! おめでとう。でも、どうして昨日のうちに話してくれなかったの?」 「それは……えっと、わたし、男の人と付き合うの初めてじゃない? それで、彼には練習台っていうか……恋愛レッスンをしてもらいたくて、それでお付き合いしてるようなところもあって……。ちょっと動機が不純かもしれないけど」  わたしは母の顔色を窺いながら、どうにか理由を話す。でも、母の顔に怒りの色は見えない。 「うーん、確かに動機は不純かもしれないわねぇ。でも、寛斗さんはそれでいいっておっしゃってるの?」 「うん。むしろ協力的っていうか、彼の方がわたしのこと好きみたいだから。どんな動機でも、わたしと付き合えるのが嬉しいみたいだよ。……わたしも、寛斗さんのこと好きになったみたいだし」 「あら、そうなのね。だったら、始まりがどんなふうであれ、若ちゃんに初めて恋人ができてお母さんも嬉しいわ。ホントによかったわね」 「ありがと、お母さん、わたしね、お母さんに叱られるんじゃないかってビクビクしてて、それで言い出せなかったの。でも喜んでもらえてよかった」  さて、寛斗さんとの交際スタートは母に
last update最終更新日 : 2026-05-21
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新天地と試練の日々 Page2

「――寛斗さん、おはようございます!」  翌朝、出勤したわたしは会社のビルの一階ロビーで出社してきた彼をつかまえ、自分から声をかけた。普段より五割増しで元気なのは、昨日のキスが照れくさすぎるのをごまかすためだ。  わたしは今日も身支度を頑張った。大人っぽくて色気漂う寛斗さんに釣り合いたくて、スーツに合わせるインナーも少し大人っぽいものを選んだし、メイクもちょっと背伸びをした大人っぽいメイクに挑戦したのだ。 「おはよう、佐々本さん。……昨夜はなんか、ホントにごめん。君を困らせてしまったみたいで。それに、怒らせちゃったかな、とかあの後考えて」  彼は挨拶もそこそこに、わたしに謝った。わたしがあんな状態で車を降りて行ってしまったので、機嫌を損ねてしまったと思っていたみたいだ。 「いえ……、困ってなんかいませんよ。ただ、初めてだったのでどうリアクションしていいか分からなくて。それに怒ってもいませんから」 「ああ、そっか。あれが君のファーストキスだったんだよね。ちょっとがっつきすぎたかなって、反省してる。ホントに、ホントにごめ――」 「だから、もう謝らなくていいですってば」  わたしはまだ謝り続ける彼が何だかおかしくて、ついには吹き出してしまう。この会話が恋人同士っぽい内容なのかそうかは分からないけれど、もしかしたら彼は『付き合ってますオーラ垂れ流し作戦』としてやっているのかもしれない。でも、周りにいる社員のみなさんはわたしたちのじゃれ合いになど関心も持たず、それぞれ自分が働いているオフィスへと急いで行く。 「
last update最終更新日 : 2026-05-22
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新天地と試練の日々 Page3

 ――二十八階で先にエレベーターを降り、経理部のオフィスに入ったわたしは、挨拶もそこそこに荒木部長に声をかけた。 「おはようございます、部長。――ちょっとお話があるんですけど、今お時間よろしいでしょうか」 「佐々本さん、おはよう。……ああ、あの件かな。じゃあ場所を変えて聞こう」 「はい」  わたしと荒木部長は、同じフロアーにある休憩スペースで話すことになった。ここは仕事の合間やお昼休みに、ドリンクを買いに来るための自動販売機が並んでいるだけの場所である。今は終業前だからなのか、あまり人が来ない。 「――で、あの話だが。どうするかもう決めたんだね」 「はい。わたし、異動のお話をお受けすることに決めました。先ほど、連城部長にもその旨をお伝えしたところです」 「そうか……、もう決めたのか。もっと悩んでくれると思っていたんだがね」  わたしの決意を聞いた部長は、やっぱり何だか淋しそうに見える。でも、それだけ惜しまれているということだろう。 「すみません。ですが、経理の仕事がイヤになったわけじゃないんです。ただ、荒木部長には申し訳ないですけど、連城部長のご期待にお応えしたいっていう自分の気持ちを大事にしたくて」 「いやいや、謝ることはない。昨日も言ったが、君がよく考えたうえで異動を決めたのなら、私は快く送り出すだけだ。新天地でも頑張るんだよ」 「はい。荒木部長、ありがとうございます。まだ辞令が下りるまでは経理部の一員として、精一杯部長の下で務めさせて頂きます」
last update最終更新日 : 2026-05-23
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