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All Chapters of 冷たい唇に紅と熱: Chapter 21 - Chapter 30

43 Chapters

21話

「今のトキさん、すごく可愛い……」「あぁ、クソ……! 調子狂う……。すっげぇ悔しいのに、気持ちいい……。感じながら楽しそうにしてるお前見てると、幸せな気持ちになる……」 悔しそうな顔をしながら感じるトキを見ていると、サクにも限界が見えてくる。(もっと……)「あ、あ、あぁっ♡ いい、気持ちいい♡」 更なる快楽を求め、貪欲に腰を振る。1滴残らず搾り取るつもりで、トキを締め上げる。「今激しく動かれたら、すぐに果てちまう……!」「私も、もう、んあああっ♡」「はぁ、もうダメだ……。んっ、くっ……!」 再び同時に果て、中出しされる背徳感に背筋が震える。「はぁ……♡」 絶頂の余韻に、うっとりしていると、トキのうめき声が聞こえた。「はぁ、はぁ……。なぁ、これ、解いてくれよ……。もう、いいだろ?」 涙目で懇願してくるトキに、再び加虐心を煽られる。サクは繋がったまま、トキに覆いかぶさり、顔を近づける。「おい、何を……んんむぅ!?」 トキを口に舌をねじ込み、彼がしているように歯列をなぞり、舌を絡める。「んんっ、ふ……」 一瞬口を離し、油断したところでまた塞いでやれば、苦しそうな声が聞こえる。「んぐぅ……!? ふ、んんぅ!」 ねっとり舌を舐め上げ、甘咬みしてから解放すると、トキは肩で息をする。酸素を求め、口をはくはくさせる姿が、なんともいじらしい。「ぷはぁ……! 随分積極的だな……」「嫌?」「嫌じゃ、ねぇけど……、少し、休ませてくれ……」「ダメ。まだできるでしょ?」「んぐ!?」 締め上げると、ゆるゆる勃起していく。「今日は、まだ満足できないの。最後まで付き合って頂戴」「ここまでされる日が来るなんてな……。いいよ、今日はお前の好きにするといい。誘ったのも、俺だしな」 力なく諦めたように降参するトキを見て、気持ちが高揚する。トキが自分をいじめるのも、分かる気がする。(好きな人を困らせるのって、こんなに楽しいんだ) 小さく息を吐くと、再び腰を動かした。「あ、あ、ああっ♡」「くっ……!」 果てたばかりの体は敏感で、感じやすい場所に擦れる度に、果ててしまいそうになる。(このままじゃ、まずいかも……) サクは腰を浮かせ、いいところに当たらないところで落ち着けると、息を整える。「あ、おい……。なんで止まるんだよ」「だって、すぐ終
last updateLast Updated : 2026-05-07
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22話

 昼時前、サクは上機嫌でトキの家に向かっていた。手には化粧箱。「トキさん、してくれるかしら」 いつからか、サクはトキの元に運ばれてくる遺体を羨ましいと思うようになった。彼の手で死を彩られるのは、幸せなことだと思う。別に希死念慮があるわけではないが、トキに化粧を施してもらえるのなら、死んでもいいとさえ思ってしまう。もちろん、そんなことを言ったらトキが悲しんだり怒ったりするので、口にすることはないが。「トキさん。サクです」 名乗りながら戸を叩くと、間延びした返事が聞こえ、戸が開けられる。「いらっしゃい。戸の叩き方で、お前だって分かったよ」「じゃあ、もう戸を叩く時に名乗らなくていい?」「お前の声聞きたいからダメだ。さ、上がりな。ちょうどお茶を淹れようと思ってたところなんだ」 トキは台所に引っ込み、サクはちゃぶ台の上に化粧箱を置いて彼を待つ。 誰かからもらったのか、ちゃぶ台の上にはまんじゅうがある。トキは甘いものを好むが、自分で買うことは滅多にない。本人が出不精というのもあるだろうが、トキと仲の良い町人が、時折差し入れをするからというのが大きいだろう。 サク自身も、トキの家に向かう途中、「トキに持っていってやってくれ」と、秋刀魚や野菜、菓子などを渡されることがある。トキが町人達に慕われているのは嬉しいが、同時に少し寂しくもある。「さ、お飲み。そのまんじゅうも、一緒に食べよう。向かいの婆さんの荷物を持ってやったら、その礼にもらったんだ」「トキさんは優しいのね」「寂しがりなだけだ。ところで、その箱はなんだ?」 しげしげと化粧箱を見るトキに、頬が緩む。「見てのお楽しみ」「てことは、開けていいのかい?」「えぇ、開けてちょうだい」 トキが化粧箱を開けると、ふわりとおしろいの香りがした。「これは……、化粧品? こんなの持ってきて、どういうつもりだ?」「化粧して」(なんだよ、覚えてたのかよ) にっこり微笑みながらお願いをするサクに、トキは呆れ返る。「お前なぁ……。この前言っただろ。死人に化粧すんのと、生きてる人間に化粧するのは別物だって。それに、考えとくと言っただけで、やるとは言ってないだろ」「お願い」 サクは胸の前で両手をあわせ、上目遣いで見てくる。この顔には弱いが、今回は簡単に折れてやるつもりはない。「嫌だ」「ね、1回だけ、お願
last updateLast Updated : 2026-05-07
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23話

「くどいようだが、死人と生きてる人間は別物だ。失敗しても、笑うなよ?」「分かってる。笑わないから」 にこにこした顔で言われても、説得力に欠ける。疑いの目を向けても、サクはにこにこしたまま。「イマイチ信用ならねぇな……。まぁいい。これっきりだからな」 改めて道具を一通り見ると、化粧品も化粧道具も一通り揃っている。普通の化粧では、普通に使わない道具まであった。こんなに揃えられると、プレッシャーを感じてしまう。「道具は一通り揃っているな……。おしろい、水でといてくる」 トキは数種類あるおしろいからひとつ選ぶと、台所へ行く。その後ろで、サクは鼻歌を歌っていた。(ったく、人の気も知らないで、いい気なモンだ) トキが普段化粧を施している相手は、死人だ。いくら死人に使われていない道具が揃っていても、生きた人間に化粧を施すのは気乗りしない。それはサクに言ったように、必要な技術の違いだけが理由ではない。自分が化粧を施したら、相手は死ぬんじゃないかと思ってしまうからだ。 なんの根拠もない迷信じみた、馬鹿げた話ではあるが、職業柄、迷信もある程度信じているトキには、気が重い話だ。 器に入れたおしろいを、だまがなくなるまで丁寧に水で解いていく。死人に施すのに使用する化粧品は、専用のものではなく、その辺に売っているものだ。だから準備に手こずることはない。「こんなもんかね」 おしろいをとき終えると、サクが待つ居間に戻り、彼女の前に座る。「おしろい塗るから、目、閉じてくれ」「はーい」 サクが目を閉じたのを確認すると、トキははけにおしろいをつける。「いくぞ」 はけでサクの頬におしろいを塗ってみるが、肌があまりにも柔らかくて、手元が狂いそうになる。「想像以上に難しいな……。肌が柔らかすぎる……」 少しでもムラをなくそうと、はけを持つ手に力を入れると、サクが顔をしかめる。「痛い」「あ、悪い。力加減分からなくて……」「大丈夫。もう少し優しくお願い」「あぁ、分かった」 今度は優しくするのを意識しながら塗るが、やはり力加減が分からず、ムラが出来てしまう。くすぐったいのか、サクは時折笑いを堪えるように口を一文字にする。「あー、クソ……。均一に塗れない……。目元に塗るの、怖いな……」 時々舌打ちをしながらも、なんとかおしろいを塗り終え、はけを置く。体を少し後ろ
last updateLast Updated : 2026-05-07
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24話

「続けて」「続けるのか? この時点でもう、落としたほうがいいくらいだけどな」「お願い」「鏡見てから決めな。本当に酷いんだ」 トキの言葉に、サクは目を閉じたまま首を横に振る。酷い化粧をしているというのに、何故か凛としているように見えた。「鏡を見るのは、化粧が終わってから。お願い、最後までして」「分かったよ……。やるって言っちまったしな……。次は紅を塗るから、軽く口を開けてくれ」「ありがとう」 サクはにこりと笑い礼を言うと、薄く口を開けた。 トキは紅を筆につけ、サクの唇にそっと当て、線を引く。だが、想像以上に筆に紅がついていたのか、サクの体温のせいか、紅がゆっくり垂れてしまった。「はぁ、筆に紅をつけすぎたな……。あー……、口端から垂れちまった……。あぁ……、やっぱり生きてる人間に化粧するのは、難しい……」 垂れた紅を拭ったが、おしろいと混ざってしまう。隠そうと上におしろいを塗り直すも、不自然な薄桃色になっただけで、隠しきれていない。 他にも様々な試行錯誤をしてみたが、良くなることはないと悟り、筆を置く。「本当にすまない……。幽霊にしちまった……」 横を向きながら、鏡面を下に向けた鏡を渡す。申し訳なくて、サクの顔をまともに見れない。「ぷ、あははははっ! なにこれ、すっごい! あはははっ!」「わ、笑うなよ! これでも精一杯やったんだからよ!」 恥ずかしくて思わず抗議するのにサクを見ると、彼女は涙を流しながら、大きな口を開けて笑っていた。こんなに無邪気に笑っているのを見ると、怒るに怒れない。「ありがとう。笑わないって約束したのに、笑っちゃってごめんね」「よく礼なんて言えるな……。ほら、落とすぞ。誰かにその顔見られたら、変な噂が流れそうだ。死化粧師の家に、ついに幽霊が出てきた、とかな」「うらめしや~」「馬鹿、やめろ。この手ぬぐい綺麗だから、これで落としてこい」「はーい」 サクは手ぬぐいを受け取ると、化粧を落としに台所へ行く。「はぁ、困った奴だ」 ぬるくなったお茶をひと口飲み、一息つく。サクに化粧をするのは、緊張して疲れた。仰向けに寝そべると、自分の体にどれだけ力がこめられていたのかが、よく分かる。「お待たせ」 しばらくして、化粧を落としたサクが戻ってきた。やはり彼女は、すっぴんでいるか、紅をひくだけの簡単な化粧の方が似合う
last updateLast Updated : 2026-05-07
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25話

 数カ月後の朝。サクはいつものようにトキの家に向かう。一昨日、トキに朝から来るように言われていたのだ。行きたい場所があると言っていたが、未だに教えてもらっていない。 声をかけながら戸を叩くと、ちょうど彼も出るところだったのか、すぐに戸が開けられた。トキは大きめの行李を持っている。「待ってたぞ。今日はお前を連れていきたい場所があるんだ」「どこに行くの?」「楽しみはとっておくものだ。それと、泊まりになる」「えぇ!? それなら事前に言ってくれないと困る……。父さんの許可ももらわないといけないし、着替えだって……」「安心しろ。着替えは俺が用意しておいたし、お前の親父さんには、前もって言ってあるから問題ない。行くぞ」「ちょっと……!」 トキはサクの手を引いて歩き出す。途中、人力車を捕まえ、行き先が書かれているであろう紙を渡す。「どこに行くの……」「損はさせないから、そんな顔するな」「はいはい、任せますよ」 こういうトキは、何回聞いても答えてくれない。ふたりは目的地に着くまで、他愛のない会話を楽しむ。人力車は町を出て、人気のない森を走り抜け、ようやく止まる。「ついた。ここだ」 自然に囲まれたその場所には、3棟の家が並んでいた。サクが呆気にとられている間、トキは車夫に代金を払う。「トキさん、ここって……」「お前はすぐ顔に出るから、分かりやすいな。最近、お互い忙しかったし、たまにはふたりでゆっくりしたいと思って、隠れ宿をとっていたんだ」「嬉しい……」 隠れ宿という言葉に胸がときめく。たまには宿でのんびりしたいと思っていたというのもあるが、何よりもトキの気遣いが嬉しい。「その顔が見たかった。けど、喜ぶのはまだはやい。ここの料理はどれも絶品だし、知る人ぞ知る秘湯もある」「秘湯まであるの? 楽しみ」「今日から3日間、存分に楽しんでくれ」「3日も?」「最近、仕立て屋の修行で忙しかっただろ? うちの手伝いまでしてるんだから、尚更だ。お前に直接死体を触れさせないとはいえ、どうしても見えちまう。時にはにおいも発生する。精神的な負担は大きい。そんなのが、たった1日で癒えるわけない」 今時の男性にしては、トキは気遣いができる方だが、ここまでとは思わなかった。大事にしてもらっていることを実感できて、嬉しさ半分、くすぐったさ半分。「ありがとう、トキさん
last updateLast Updated : 2026-05-08
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26話

「ありがとう、トキさん。私、すごく嬉しい……!」「はは、まさかこんなに喜んでくれるとはな。湯上がりに来てくれるかい?」「はいっ!」「ん、いい返事だ。さて、湯に入るにはまだ早いし、少し楽しむか」 トキは虫籠窓を開ける。少し離れたところに小川が流れ、花々が咲き乱れている。花の甘い香りと小川で冷やされた風が室内に入り込み、心地よい。「素敵……」「来た道と反対方向にしばらく歩くと、小さな村があってな。そこにここの主人の奥さんがやってる茶屋と、美味い蕎麦屋がある。ここで出されるメシも美味いが、そっちの蕎麦も美味い」「ふふ、トキさんは本当にお蕎麦が好きね」「うどんより食べやすいんでね。どれ、村まで歩くか? それとも、その辺歩くか? ここでゆっくり、茶を飲むのもいい」 トキの提案はどれも素敵なものではあるが、サクの答えは決まっていた。「ここでお茶を飲みましょう」「あぁ、分かった。じゃあ、湯を沸かそう。この宿は個人の空間を大事にする代わりに、自分でできることは自分でするんだ」 トキは左側の戸を開ける。そこにはこじんまりした台所があった。「水は小川の水を使うんだ」「へぇ……! なんかちょっと面白い」「はは、それじゃ一緒に汲みに行こうか」「はい」 トキは薬缶を持ち、ふたりで台所から外に出る。室内でも充分気持ちよかったが、やはり近くに来たほうがひんやりした風を感じられて気持ちがいい。小川のせせらぎも、鳥達のさえずりも、耳触りがよく、気を抜いたら眠ってしまいそうだ。「部屋に花瓶がある。何本か摘んでくかい?」「まぁ、そんなこともできるの?」「あぁ、結構自由なんだ、ここ」「それじゃあ、お言葉に甘えて、何本か摘んでくる」「気を付けてな」「はーい」 トキは水を汲み、サクは数輪ほど花を摘む。彼女が選んだのは、名前も知らない白く小ぶりな花。他にも黄色や薄桃色の花があったが、この白い花に妙に惹かれた。 台所で湯を沸かし、お茶を淹れると、ふたりで窓際に座る。「昨日もらったまんじゅうを持ってきたんだ。せっかくだから食べよう」「えぇ」 ふたりでまんじゅうを食べながら景色を眺め、お茶を啜る。ゆったりとしたこの時間が愛おしい。できればずっと、この穏やかな時間が続けばいいとさえ思うほどに。 昼は山菜を中心とした食事が運ばれ、午後は村まで歩き、トキが美味いと
last updateLast Updated : 2026-05-08
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27話

 言われるがままに箱を開けると、中には簪が入っていた。艶やかな赤の平打簪で、桜の花と鶴が描かれている。桜は愛情を、鶴は永遠を象徴するもの。つまり、桜と鶴が描かれた簪には、永遠の愛という意味が込められている。「トキさん、これって……」 期待に胸が膨らむ。交際している男性から女性に贈られる簪には、特別な意味があるからだ。「男が女に簪を渡す意味、分かるだろ?」「はい……」 喜びで声が震え、目頭が熱くなる。男性が女性に簪を贈るのは、今で言う婚約指輪のようなもの。ちなみに、女性から離婚を申し立てる際は、この時に贈られた簪を投げ捨てた。「俺と、夫婦になってほしい。お前の優しさと笑顔に、これまで何度も救われてきた。お前と支え合って生きていきたい。受け取ってくれるか?」 初めて見る、真剣で、不安そうな顔。その表情を見るだけで、トキがどれだけ自分を想い、大事にしてくれているのかが伝わってくる。(そんなの、決まってる……) すぐに答えたいのに、感極まって声が出ない。この喜びを少しでも伝えたくて、トキに抱きついた。トキは咄嗟にサクを抱きとめ、彼女の背中に腕を回した。「っ!? いきなり抱きついてくるとは……。受け取ってくれるってことで、いいのか?」「当たり前でしょう。結婚するつもりなんてなかったら、死化粧師の仕事を手伝ったりなんかしない。泊まりって言われて、着いてきたりしない」「そうかよ」 言い方こそぶっきらぼうではあるが、その眼差しはとても優しく、愛と喜びに満ちあふれている。 抱きつくだけでは満足できなくなったサクは、触れるだけの口づけをする。唇を離すと、トキは呆気にとられて固まっていた。数秒経つと、みるみる間に頬が赤くなっていき、耳まで染まっていった。「この状況で口づけてくるか……? 我慢できなくなるだろうが。襲うぞ?」 照れを誤魔化すような言い方をするトキが可愛くて、再びサクから口づけをする。「いいよ」「恥ずかしがり屋が、言うようになったじゃねぇか」 トキは優しくサクを押し倒す。畳の感触に、以前昼から抱かれた日のことを思い出した。あの日は自分でも驚くほど積極的になったっけ。「やめてって言っても、やめてやらねぇからな」「分かってる。そんなこと、言わないよ」 小さく微笑むと、手を伸ばしてトキの頬に触れる。トキは一瞬目を丸くするが、いつものよう
last updateLast Updated : 2026-05-08
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28話

 熱い唇が重なる。いつもはされるがままだが、サクなりに舌を絡めたりする。自分がどれだけトキを求め、愛しているのかを感じてほしかった。「んっ、ふ、はぁ……」 唇が離れると、銀の糸がふたりの間に伝う。糸はぷつりと途切れ、それぞれの口端を濡らした。「いつもは受け身のクセに、舌を絡めてくるとはな……。積極的なお前も悪くない」 トキは再び唇を重ねる。彼女の愛に応えるように強気抱きしめながら、何度も深く口づけていく。以前よりましになったとはいえ、サクは口づけがあまり得意ではない。そのため、すぐに息が上がってしまう。「はぁ、はぁ……。ま、待って……。息が……」「成長したとはいえ、まだ口づけは苦手みたいだな」 からかうように笑うトキに、サクはむっとする。子供扱いされているみたいで、気に食わない。「だって、息できなくなるんだもの」「鼻ですればいいだろ」 そう言って再び唇を重ねてくるトキ。サクは言われた通り鼻で呼吸しようとしたが、とろけるような口づけに夢中になり、結局息を止めてしまう。「はは、そんなに難しいか?」「笑わないでよ……。余裕がないの」「俺だって、余裕がない。その浴衣、すごく似合っていて、もう少し着てるところを見てたいのに。はやくお前に触れたいって気持ちの方が強くてな……。浴衣、脱がすぞ」 トキはサクの浴衣の帯に手を伸ばす。いつもはするする脱がせるのに、今日は珍しく手間取っていた。「あぁ、クソ。みっともねぇ。気が急いて、うまく脱がせられねぇ」「ふふ」「何笑ってるんだよ」「それだけ私を求めてるって分かって、なんだか嬉しいの」「小っ恥ずかしいことをわざわざ言葉にするなよ……」 恥ずかしそうにしながらも、なんとかサクの浴衣を脱がせていく。秘湯のおかげか、いつもより肌艶がいいのは一目で分かる。「綺麗だ……」「んんぅ……♡」 指先でそっと体をなぞれば、サクは甘い声を零しながら、小刻みに震える。「肌、いつも以上に触り心地いいな。秘湯の効果か」 今度は手のひらで撫で回す。サクの肌はしっとりなめらかで、ずっと触っていたくなるような手触りだ。「ふふっ、ねぇ、くすぐったい。トキさんも脱いで」「脱いでほしいなら、脱がせてくれよ」「もう、仕方ない人」 そう言いながらも、サクは恥じらいながら浴衣を脱がせてくれる。「お互い邪魔な浴衣は脱ぎ去っ
last updateLast Updated : 2026-05-08
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29話

「あぁ、たまらないな……」 トキはサクの乳首に吸い付き、もう片方を指先で弄ぶ。「んあ、ああぁっ♡」「少し乳首を吸っただけで、そんな甘い声で鳴いてくれるのか。お互い、気持ちも感度も高ぶってるらしい。こんなに幸せなんだから、無理もないか」「あぅ、んんっ♡」 指先でくりくりと転がしながら引っ張れば、甘く切ない声が零れる。「指先で乳首いじられるの、嫌いじゃないだろ? でも、物足りないって顔……。俺を求めるその目、ずっと見てたい」 責めをゆるめると、サクは潤んだ瞳でトキを見上げる。「焦らさないで……」「焦らしたつもりはないんだがな」「あ、ああっ♡ んっ、はぁ……」 焦らしたお詫びと言わんばかりに吸い上げ、つまみあげると、サクの体が小刻みに震える。これはサクの癖のひとつで、感度が上がってくると、こうやって震えるのだ。「甘咬み、好きだろ? 今日はお前が好きなこと、たくさんしてやるからな」「ひああっ♡」 わざと音を立てて吸い上げると、ひと際大きな声が出る。そんな声を聞いていると、限界が近くなってくる。「あぁ、今日は本当に駄目だ……。お前はもう俺のなのに、もっと欲しいって急いちまう……」 ついに我慢できなくなったトキは、サクの足を大きく開かせる。「きゃっ!?」 サクの秘部は、愛液が溢れかえり、布団をじっとりと濡らしていた。「お前も、欲しくてたまらないみたいだな。すっげぇ濡れてる……」 愛液を掬い上げるように舐め上げ、舌先で赤真珠を転がすと、サクの体は面白いくらいビクビク震え、淫らな声が止まらなくなってくる。「ひゃうんっ♡ あ、ああっ♡ そこ、だめ……♡ んああっ♡」 サクの愛液は、飲んでも飲んでも溢れてきて、きりがない。自分の愛撫でここまで感じてくれてるのが嬉しくて、赤真珠をちゅっと吸い上げる。「きゃふっ♡」 愛らしい悲鳴と共に、とくんと溢れた。「本当に感じやすい体だ。蜜が溢れて止まらないな……。飲みきれそうにないし、いっそ掻き出してみるか」「あぅ、んんっ♡」 指を入れると、抵抗なくすんなり飲み込まれていく。感じる場所に当てることを意識せず、広げるようにくるくる回すと、熱く柔らかな膣肉が、ぴったり指についてくる。「はぁ、んんっ♡ あぁ……♡ 広がっちゃう……」「ちゃんと慣らさないとな」「きゃふっ……♡」 指を増やすと、サ
last updateLast Updated : 2026-05-08
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30話

「なぁ、もう入れたいんだけど、いいか?」 「うん、私も……、もう欲しい……」 「それじゃ、遠慮なく」  サクの足を持ち直し、陰茎を蜜壺に押し当てる。それだけでも感じるのか、サクは小さく喘いだ。 「力、抜いてろよ」 「はい……」 「ゆっくり入れるから、俺を見て、誰のものになったか噛み締めてくれ」「ふ、あぁ……♡」  見つめ合ったまま、ゆっくり挿入されると、熱い視線に背筋が震える。幸福感で涙が溢れそうだ。「はぁ……、いつもより、熱いな……!」 律動が始まり、快楽の波が押し寄せては引き返す。その中でも確実に快楽は積み上がり、理性が少しずつ溶けていく。「あ、ああぁっ♡ トキさ、んあぁっ♡」 愛しい名を呼べば、彼は悩ましげに唸る。 「あぁ、好きだ、好きだ……! こんな言葉、普段滅多に口にしようと思わないんだがな……。気持ちが高ぶって、恥が逃げてったらしい」「はぁ、トキさん、あぁっ♡ 私も、好き……」 繋がっているが、彼との距離が遠く感じて手を伸ばす。 「腕なんか伸ばしてきて、どうした?」 「んんぅ♡ はぁ、抱きしめて……」 「抱きしめてほしかったのか、可愛いヤツめ。もちろんだ」 トキは動きを止め、サクに覆いかぶさり、力強く抱きしめる。いつもより熱い体温が心地よく、安心する。 「悪い、意地悪した」 トキは口づけをひとつ落とすと、バツが悪そうな顔をする。 「え?」 キョトンとトキを見上げる。意地悪されたと言われても、心当たりがない。 「本当は、お前が抱きしめてほしいの、分かってた。俺も抱きしめたいと思ってたしな。けど、お前が求めてくる姿を見たくて、わざと分からないフリした」 (なんだ、そんなこと) 可愛らしい反省の理由に、頬が緩む。トキの子供っぽい考えなど、サクにはお見通しだ。 「そんな気がした」 「はっ、俺の幼稚な考えはお見通しってわけかい」 再び口づけをすると、律動を再開させる。引いていった快楽が再び押し寄せて夢中になり、トキの背中に爪を立ててしまう。 「っ!?いってぇ……!」 「ご、ごめんなさい! 私、また……」 「謝んなよ。これだけ愛し合ってるのに、爪痕ひとつないってのも寂しいモンだからな。お前が爪を立てるのなら、俺は歯を立てる」「はうぅ♡」 肩に歯を立てられ、甘い声が零れてしまう。それは感じたというよ
last updateLast Updated : 2026-05-09
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