現場に訪れてから、更に数日後。会議室で、資料を広げる。あまりにも、煩雑で。資料が多いから。一度、資料を印刷して整理することになった。「ここ」浅井さんが指す。「この数字」「……」助成金の配分。支出と報告。一見、整っている。「……合ってますよね」思わず言う。「もう一回見て」低く返る。視線が逃げられない。何かを見落としたのか。そんなはずはないと思いながら、見直す。「……」違和感。小さい。でも、引っかかる。「支出のタイミング」口に出す。「申請より早いですよね」「……」浅井さんが頷く。「普通じゃない」さらに見る。「この業者」指す。「全部同じ日に入ってる」「……」「でも現場はバラバラ」「……」繋がる。「……調整されてる」「数字が」「……」浅井さんが言う。「加工されてる」静かに。「……」空気が変わる。一歩、踏み込んだ。「こういう加工は」浅井さんが少し視線を外す。「5年前にもあった」「……」「そのときの、数字の動きに似てる」それだけ。たった、それだけなのに嫌な予感がした。「……」樹の顔が浮かぶ。あのときの。何も言えなかった表情。「……」全てが、繋がり始めた。「……」そのとき。「これ」手元に、資料を引き寄せられる。距離が自然と、近くなる。椅子も少し寄せられている。気づけば。完全に“同じ画面を覗き込む距離”。「……」近い。でも、この距離には少し慣れてきている。むしろ、集中しやすくて。居心地が良いとすら思えてしまう。「……」(慣れてきてるのかも)それが一番怖い。「ここ」浅井さんが指す。手が近い。触れそうで、触れてはいない距離。軽く、小指が触れた。「……」一瞬、意識する。でも、そのまま話が続く。「このズレ」「役所側で調整されてる可能性高い」「……はい」「現場の業者に、もう一回話を聞きに行く」「一緒に」「……はい」即答する。迷いはない。「……」そのまま資料を閉じる。「今日はこの辺で」浅井さんはそう言って、そのまま立ち上がる。そして、自然に。「送る」「……え?」「帰るでしょ」「……はい」断る余地がない。「……」車。そして、いつもの流れ。でも、最近。少しだけ様子が違う。「……」「バーベキュー
Last Updated : 2026-05-03 Read more