愛人に夢中のクズ夫へ。実は私、インフルエンサーなの ~離婚カウントダウン開始よ、首を洗って待ってることね~~ のすべてのチャプター: チャプター 61 - チャプター 70

131 チャプター

居なくても回る

翌朝。彩花は目覚ましが鳴る前に目を開けた。眠った気がしない。天井を見つめたまま数秒。やがて重い体を起こす。客室の窓から見える空は曇っていた。まるで今の気分みたいだ。そんなことを考えてしまう自分に苦笑する。以前ならこんなことはなかった。もっと前向きだったはずだ。◇◆◇出社後。彩花はデスクへ座るなり、メールを確認した。未読メール。会議予定。調整依頼。いつも通りだ。だが、その中に一つだけ気になるものがあった。役員会議の準備担当者一覧。以前まで自分の名前があった場所に、別の秘書の名前が記載されている。彩花は画面を見つめた。間違いではない。修正漏れでもない。正式に変更されている。指先が冷たくなる。監査中だからだろうか。それとも――。そこまで考えて、彩花は慌てて首を振った。違う。考えすぎだ。そう言い聞かせる。◇◆◇午前中。秘書室では慌ただしく準備が進んでいた。以前なら中心で指示を出していたのは彩花だった。だが今は違う。「この資料、こちらへお願いします」「会議室の準備終わりました」「来客対応いけます」周囲は問題なく動いている。誰も困っていない。彩花は資料整理をしながら、その様子を眺めていた。不思議だった。自分がいなければ回らないと思っていた。少なくとも、そう信じていた。なのに現実は違う。何事もなかったように回っている。それが少し悲しかった。◇◆◇
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呼ばれない名前

翌朝。彩花は自席でスケジュール表を確認していた。以前なら真っ先に目を通していた資料。だが最近は違う。確認するたびに、自分の担当が減っている気がする。気のせいかもしれない。そう思いたかった。そのとき。秘書室の内線が鳴った。若い秘書が受話器を取る。「はい、秘書室です」彩花は何気なく聞いていた。「はい、承知しました」電話を切る。そして若い秘書は立ち上がった。「社長室へ行ってきます」彩花は思わず顔を上げる。社長室への呼び出し。以前なら真っ先に自分へ回ってきた仕事だ。だが今は違う。若い秘書は資料を持ち、そのまま部屋を出ていく。彩花は何も言えなかった。◇◆◇社長室。弘人はデスクで資料を確認していた。ノック。「失礼します」入ってきたのは彩花ではない。別の秘書だった。弘人は特に気にする様子もない。「こちら、ご依頼の資料です」「ありがとう」受け取る。必要な確認を済ませる。数分後には秘書は退室していた。滞りなく終わった業務。何の問題もない。だが部屋を出た秘書と入れ替わるように、弘人の視線がふと秘書室へ向いた。ガラス越しに見える執務スペース。そこに彩花の姿があった。俯いたままパソコンへ向かっている。弘人は一瞬だけ視線を止めた。だが次の瞬間には資料へ戻る。考えるべきことが多すぎた。今は仕事が優先だった。◇◆◇昼休み。彩花は自販機の前に立っていた。何を買うでもなく、ぼんやり飲み物を眺める。そのとき。後ろから声が聞こえた。「最近大丈夫?」彩花は振り返る。別部署の女性社員だった。以前、何度か一緒にランチへ行ったことがある。久しぶりだった。「え?」思わず声が漏れる。女性社員は少し困ったように笑った。「顔色悪いから」たったそれだけの言葉。なのに彩花は泣きそうになった。心配されたのは久しぶりだった。「……大丈夫」反射的にそう答える。「そう?」女性社員はそれ以上聞かなかった。「無理しないでね」飲み物を買い、そのまま去っていく。短いやり取り。それだけだった。けれど彩花はしばらくその場から動けなかった。◇◆◇夜。須藤家。食事の時間。弘人はまた仕事の電話をしていた。麻衣子はいつも通り食事を並べている。変わらない光景。彩花はその二人を見ていた。
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終わらない確認

朝から秘書室は慌ただしかった。監査対応。追加資料。過去案件の確認。次々と依頼が飛び込んでくる。彩花はデスクに座ったまま、大量のファイルを広げていた。「辻本さん、この案件の契約書ありますか?」経理部の社員が声を掛ける。彩花は顔を上げた。「いつの案件ですか?」「三月です」三月。彩花は眉を寄せる。最近のことのはずなのに、妙に遠く感じた。フォルダを開く。メールを探す。共有サーバーを確認する。だが、すぐには見つからない。「少し待ってください」そう答えるしかなかった。◇◆◇十分後。今度は別の社員がやってくる。「監査部から確認です」まただった。彩花は思わず目を閉じる。「こちらの経費申請の経緯を確認したいそうです」書類を受け取る。見覚えはある。だが詳細までは思い出せない。当時は通常業務だった。毎日のように処理していた。それを今になって一件ずつ確認される。彩花は資料を抱えたまま立ち上がる。「調べます」その声には疲労が滲んでいた。◇◆◇昼過ぎ。社長室。弘人のデスクにも資料が積み上がっていた。監査部からの確認依頼。取引先からの問い合わせ。役員向けの説明資料。終わりが見えない。コンコン。ノック。「入れ」彩花だった。腕には大
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準備

午後。いつものカフェ。麻衣子は窓際の席で書類へ目を通していた。向かいには霧島が座っている。少し離れた席では、天野がノートパソコンを開いて作業をしていた。必要なときだけ資料を持ってくる。そんな距離感だった。テーブルの上には財産関係の資料が並んでいる。預金。保険。証券。離婚協議に必要な書類。一つずつ整理が進んでいた。「こちらは問題ありません」霧島が書類を確認しながら言う。麻衣子は頷いた。「ありがとうございます」「須藤さんがきちんと整理していたおかげです」事務的な口調。だが評価すべきところは評価する。それが霧島だった。◇◆◇しばらくして。霧島が別の資料を開く。「須藤さん」「はい」「離婚後の住居については、そろそろ具体的に考えておいた方がいいでしょう」麻衣子は少し考えた。「そうですね」離婚後。その言葉に違和感はなかった。以前なら想像もできなかった未来だ。だが今は違う。現実として目の前にある。「成立後に探すことも可能ですが、候補だけでも絞っておいた方が動きやすくなります」麻衣子は小さく頷いた。「探してみます」霧島もそれ以上は言わなかった。急かすつもりはない。ただ必要な準備を伝えているだけだった。◇◆◇その後。天野が資料を持ってやってくる。「こちらです」追加の書類だった。麻衣子は目を通す。離婚後の手続き一覧。住所変更。口座。保険。思った以上にやることが多い。「大変そうですね」思わず苦笑すると、天野も少し笑った。「そうですね」それだけだった。余計な言葉はない。だが、その穏やかな空気に麻衣子は少し肩の力が抜けるのを感じた。◇◆◇打ち合わせが終わったあと。麻衣子は一人で街を歩いていた。スマートフォンを開く。May宛てのメッセージが並んでいる。企業案件。広告相談。取材依頼。以前より確実に増えていた。麻衣子は画面を見つめながら小さく息を吐く。離婚後も生活には困らない。そう思えるだけの仕事がある。少し前までは考えられなかったことだった。弘人に頼らなくても生きていける。その事実は、思っていた以上に心を軽くしてくれていた。◇◆◇同じ頃。須藤グループ本社。弘人は社長室で資料を確認していた。監査対応。取引先対応。役員会議。相変わらず仕事
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思わぬ報告

翌日。須藤グループ本社。弘人は朝から機嫌が悪かった。監査対応。取引先への説明。確認依頼。次から次へと仕事が増えていく。社長室の机には資料が積み上がっていた。コンコン。ノック。「入れ」入ってきたのは経理部長だった。表情が硬い。弘人は嫌な予感を覚える。「何だ」経理部長は手にした資料を差し出した。「監査部から追加の確認依頼です」またか。弘人は資料を受け取る。ページをめくる。数秒後。眉が動いた。「……これか」そこに記載されていたのは、以前から問題になっている外部コンサル契約だった。監査部は契約経緯を詳しく確認したいらしい。添付資料。承認経路。担当者。確認項目が増えている。弘人は小さく舌打ちした。◇◆◇その頃。秘書室。彩花は過去のメールを探していた。例の契約案件。監査部が確認しているものだ。共有フォルダ。メール履歴。印刷資料。何度も確認しているのに終わらない。そのとき。内線が鳴った。彩花は受話器を取る。「はい」『社長室へ』短い連絡。彩花の心臓が跳ねた。◇◆◇社長室。入室した瞬間、空気の重さが分かった。弘人の表情は険しい。机の上には監査資料。経理部長も同席していた。「辻本」名前を呼ばれる。久しぶりだった。仕事以外の感情は含まれていない。
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広がる波紋

翌朝。須藤グループ本社。弘人は朝一番で取引先とのオンライン会議に参加していた。画面の向こうには長年付き合いのある企業の担当役員が映っている。本来なら三十分で終わるはずの打ち合わせだった。だが今日は違った。「須藤社長」相手が慎重な口調で切り出す。「例の件ですが……」弘人の表情は動かない。「何でしょう」「現在進行中の案件について、一部判断を保留したいと考えています」弘人は数秒沈黙した。理由は聞くまでもない。「監査の件ですか」相手は曖昧に笑う。否定しなかった。それだけで十分だった。◇◆◇会議終了後。弘人はデスクへ資料を投げるように置いた。二社目だった。契約保留。監査終了待ち。表現は違う。だが意味は同じだ。コンコン。ノック。「入れ」経理部長が入ってくる。顔色は良くない。「社長」「何だ」「先ほど営業本部から連絡がありました」嫌な予感しかしない。「言え」「取引先一社から契約時期の延期要請が来ています」弘人は無言になった。一社。二社。偶然では済まない。監査の影響が外へ出始めている。それだけは間違いなかった。◇◆◇同じ頃。秘書室。彩花は資料整理をしていた。そのとき。隣の席から声が聞こえる。「また契約延期だって」「本当?」「営業が大変らしいよ」彩花の手が止まる。「監査の影響かな」「だろうね」小さな会話。それだけだった。だが彩花の胸は強く締め付けられた。最近ずっと監査対応をしている。資料も探している。確認もしている。だからこそ思ってしまう。——私のせいなんじゃないか。もちろん誰もそんなことは言っていない。けれど不安は勝手に膨らむ。◇◆◇夕方。社長室。彩花は追加資料を届けに来ていた。弘人は机の上の資料を見たまま言う。「そこに置いてくれ」声は低い。疲れているのが分かる。彩花は書類を置いた。そのまま出ようとして。少しだけ立ち止まる。何か言いたかった。けれど言葉が出てこない。弘人も顔を上げない。やがて彩花は小さく頭を下げた。「失礼します」ドアが閉まる。弘人はその音にも気付かないまま資料を読み続けていた。◇◆◇夜。須藤家。彩花は客室で一人、スマートフォンを見つめていた。今日も連絡はない。会社では監査。社内では噂。取引
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積み重なったもの

翌朝。須藤グループ本社。社長室。弘人は監査部から届いた資料へ目を通していた。机の上には付箋が貼られた書類の束。確認事項は増える一方だった。コンコン。ノック。「入れ」入ってきたのは経理部長だった。表情は硬い。弘人は資料から顔を上げる。「何だ」経理部長は数枚の書類を差し出した。「監査部から追加の確認です」弘人は受け取る。ページをめくる。そして眉をひそめた。「……またこれか」そこに並んでいたのは、社長室関連の経費処理だった。会食費。接待費。外部コンサル費用。一件一件は大きくない。だが数が多い。◇◆◇同じ頃。秘書室。彩花は呼び出しを受けて社長室へ向かった。入室すると、弘人と経理部長が資料を広げている。空気は重かった。「辻本」弘人が資料を差し出す。「これ、覚えているか」彩花は書類を見る。見覚えはあった。自分が処理した案件だ。だが内容を見た瞬間、顔色が変わる。「これ……」「監査部から確認が来ている」弘人の声は低い。「正式な申請理由と実際の内容が違うそうだ」彩花は慌てて資料をめくる。だが途中で手が止まった。思い出したからだ。当時。弘人から言われた。『細かいことはいいから通しておけ』そういう案件だった。一件だけではない。何件もあった。「どうなんだ」弘人が尋ねる。
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私だけ?

翌朝。彩花は重い気分のまま出社した。昨夜はほとんど眠れなかった。監査部の資料。社長室でのやり取り。思い出すだけで胃が痛くなる。デスクへ座る。パソコンを立ち上げる。そのとき。経理部からメールが届いた。件名は短かった。『追加確認のお願い』彩花は目を閉じる。まただった。◇◆◇午前中。会議室。監査対応のため、経理部と秘書室の担当者が集められていた。彩花もその中にいる。机の上には資料の束。経理部の担当者が静かに説明する。「こちらの案件ですが、本来の申請内容と実際の処理内容に差異があります」ページがめくられる。また別の案件。そしてまた別の案件。どれも見覚えがあった。彩花が処理したものだ。「この処理について経緯は分かりますか」質問される。彩花は答えられない。分からないのではない。覚えている。だが説明しづらかった。当時は、『急ぎだから』『社長案件だから』『先に通しておいてくれ』そんな言葉が飛び交っていた。だから処理した。それだけだった。◇◆◇会議終了後。彩花は廊下を歩いていた。胸の奥がざわつく。自分が処理した案件。自分が提出した書類。自分が対応した経費。次々と確認を求められる。そのとき。ふと頭をよぎる。——弘人さんも知っていた。いや。知っていただけじゃない。急がせたのも。優先させたのも。特例扱いを認めたのも。全部。それなのに。今、資料を探しているのは自分だった。◇◆◇午後。社長室。弘人は監査部への回答資料を確認していた。コンコン。ノック。「入れ」彩花が入ってくる。資料を持っていた。「こちらです」弘人は受け取る。数秒だけ目を通す。そして眉をひそめた。「足りない」短い言葉。彩花の表情が固まる。「監査部が求めているのはその前の資料だ」「確認しています」「急げ」またその言葉だった。彩花は唇を噛む。何か言いたかった。けれど言えない。ここで、『弘人さんが言ったんですよね?』そう言えたらどれだけ楽だろう。けれど言葉は喉で止まる。弘人は資料へ視線を落としたまま、それ以上何も言わなかった。彩花は静かに頭を下げる。「失礼します」ドアが閉まる。弘人は顔も上げなかった。◇◆◇夕方。秘書室。彩花は机へ向かっていた。
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言えなかった言葉

翌朝。彩花は寝不足のまま出社した。鏡を見なくても分かる。顔色は最悪だった。それでも休むわけにはいかない。今休めば、余計なことを言われる気がした。デスクへ座る。メールを開く。また監査関連の確認依頼が届いていた。彩花は小さく息を吐く。もう驚きもしない。◇◆◇午前中。監査対応の資料をまとめながら、彩花は何度も社長室へ視線を向けていた。ガラス越しに見える弘人。今日も忙しそうだった。電話。会議。資料確認。休む暇もない。分かっている。分かっているのに。胸の奥には別の感情が残っていた。——少しくらい、話を聞いてほしい。それだけだった。◇◆◇昼過ぎ。追加資料を届けるため、彩花は社長室へ向かった。ノック。「失礼します」弘人はパソコンへ向かったまま答える。「ああ」彩花は資料を置いた。本来ならそれで終わりだ。だが今日は違った。足が動かない。弘人が顔を上げる。「どうした」彩花は迷った。言うべきか。言わないべきか。数秒。沈黙が続く。「最近……」やっと声が出る。弘人は黙って待った。「監査の件で、少し困っていて……」そこまで言ったところで。机の上の電話が鳴った。弘人はすぐ受話器を取る。「須藤だ」彩花の言葉は途切れた。電話は長かった。取引先との話
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信頼

翌朝。須藤グループ本社。弘人は社長室で監査資料を見ていた。机の上には付箋だらけの書類。確認依頼。追加提出。取引先対応。どれも終わっていない。コンコン。ノック。「入れ」入ってきたのは経理部長だった。「社長」「何だ」経理部長は一枚の資料を差し出す。「監査部から追加確認です」弘人は受け取る。そして眉をひそめた。また例の案件だった。◇◆◇「この案件ですが」経理部長が続ける。「添付資料が不足しています」「まだ見つからないのか」弘人の声が低くなる。「はい」経理部長は頷いた。「当時の担当者に確認していますが……」弘人は資料を閉じた。苛立ちが募る。ここ数週間、同じ話を何度も繰り返している。監査部は待たない。取引先も待たない。それなのに必要な資料だけが出てこない。◇◆◇昼過ぎ。彩花は再び社長室へ呼ばれた。入室すると、弘人の表情は険しかった。「例の資料は」彩花の肩が揺れる。「まだ確認中です」弘人は沈黙した。数秒。重い空気が流れる。「辻本」低い声。彩花は顔を上げる。「本当に残っていないのか」一瞬。言葉の意味が分からなかった。「え……?」「見落としているだけなのか」弘人は資料を指で叩く。「それとも別の理由があるのか」彩花の顔色が変わる。別の理由。その言葉に含まれた意味を理解したからだ。「私を疑ってるんですか」思わず声が出た。弘人は答えない。ただ視線を向ける。それだけだった。彩花は唇を震わせる。「私は……」言葉が続かない。怒りなのか。悲しみなのか。自分でも分からなかった。◇◆◇しばらくして。彩花は社長室を出た。足早に廊下を歩く。胸が苦しい。弘人は知っていた。自分がどれだけ動いてきたか。どれだけ無理をしてきたか。全部知っていたはずなのに。それでも今は疑われる。その事実が何より辛かった。◇◆◇同じ頃。社長室。弘人は窓の外を見ていた。別に彩花を犯人だと思っているわけではない。だが。資料が出てこない。説明できない案件が増えている。状況が悪すぎた。そして初めて。ほんのわずかに。弘人の中にも疑念が生まれていた。本当に全部把握できているのか。彩花は。そして自分は。◇◆◇夜。客室。彩花はベッドへ座ったまま動けな
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