同窓会の最中、学級委員長が当時それぞれ書いたタイムカプセルの手紙を取り出し、皆の前で読み上げ始めた。斉藤瑞樹(さいとう みずき)の番になると、彼の手紙にはこう書かれていた。【早く菊地瑠夏(きくち るか)を妻に迎えられますように】周囲の同級生たちは一斉に囃し立てた。「今頃とっくに結婚してるんだろ?どうして俺たちを結婚式に呼んでくれなかったんだよ」瑞樹が答えるより先に、彼の隣に座っていた女性が笑顔で口を挟んだ。「彼は今、うちの社長なのよ。起業で忙しいから、結婚する暇なんてないわ。これ以上変に結婚を急かして、社長の邪魔をしたら、ただじゃおかないからね」野村澪(のむら みお)。学生時代、瑞樹がひどく嫌悪していた、彼に異様なほど執着していた女性であり、現在は彼の秘書を務める女だ。瑞樹はそれを否定することなく、ただ私の肩を抱き寄せ、相変わらず優しく微笑んでいた。私はその腕をすり抜け、皆に向かって静かに微笑みかけた。「来月の初めに結婚式を挙げるの。みんな、ぜひお祝いに来てね」澪の顔色は瞬時に青ざめ、目を赤くして瑞樹を見つめた。瑞樹は眉をひそめ、うつむいてスマホを取り出した。次の瞬間、私のスマホが振動した。【体裁を気にして同級生に嘘をつく必要はないだろう。今は起業の重要な時期なんだ。結婚はもう少し待ってくれ】私は画面を消し、返信はしなかった。私は嘘などついていない。来月の初めに、私は間違いなく結婚する。ただ、花婿は彼ではないだけだ。私のその言葉で、場は一瞬にしてお祭り騒ぎになり、同級生たちは口々に祝福の言葉を浴びせ始めた。「おい瑞樹、結婚なんていう大ニュースを隠してたのかよ!」「そうよ。その時は私たちみんなで行って、学校のベストカップルから幸せのおすそ分けをもらわなくちゃね」「ほらな、瑞樹が瑠夏ちゃんをあれほど愛してるんだから、とっくに結婚を考えてたに決まってるさ。野村はしょせん部外者だから、情報が間違ってたんだな」その言葉が出た瞬間、すでに目を赤くしていた澪は、もういたたまれなくなったようだ。弾かれたように立ち上がると、「失礼」とだけ言い残し、出て行ってしまった。澪が去った後、話題は自然と彼女のことへと移った。「いやあ、学生時代は野村が瑞樹に異様なほど執着してたけど、これで
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