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第5話

Penulis: ミントソーダ
母はひどく驚き、すぐに電話をかけてきて理由を問い詰めた。

心配をかけたくなかったので、詳しい事情は伏せておいた。

母は電話の向こうでしばらく沈黙していたが、やがてそれ以上追及することはなかった。

「わかった。お母さんから岡本さんに伝えておくわ。

瑠夏、覚えておきなさい。何があろうと、お父さんとお母さんの最大の願いは、あなたが幸せになってくれることだけなのよ」

母の友達である岡本蘭(おかもと らん)の対応は早く、翌日にはその甥とのお見合いがセッティングされた。

実際に会ってみて初めて知ったのだが、その甥というのは、大学の先輩である小山翔太(こやま しょうた)だった。

話はトントン拍子に進み、双方とも異存がないことを確認すると、すぐに結婚の話へと移り、日取りは来月の初めに決まった。

準備期間は短かったが、翔太は自ら進んで結婚式のすべての準備を引き受けてくれた。

ウェディングフォトの撮影、式場の決定、招待状の作成、ゲストのリストアップ……

翔太はどの工程も、実にてきぱきとこなしていった。

その時になって初めて分かったのだ。本当に誰かと結婚したいと思うなら、実体のない口約束だけでは足りないのだと。

大切なのは、その人と結婚するために実際に何をしてくれるかを見ることなのだ。

「ほら瑠夏、半月ぶりに会えたんだ。楽しくない話はこれくらいにしよう?」

瑞樹の声に、私は我に返った。

彼を見ると、その顔には相変わらず、昔と何一つ変わらないような優しい笑みが浮かんでいた。

だが、私だけが知っている。その優しさの仮面の下は、とうの昔に腐りきっているということを。

私は立ち上がり、彼の手を避けた。

「ちょっと、お手洗いに行ってくる」

記念日の夜に喧嘩別れをして以来、瑞樹はずっと会社に寝泊まりして家に帰ってこず、メッセージ一つ送ってこなかった。

私も翔太と結婚式の準備に追われ、瑞樹のことなどすっかり忘れていた。

半月近く顔も合わせず、連絡すら取らない。私の中では、すでに瑞樹とは自然消滅したも同然だった。

今回の同窓会は、元々同級生に招待状を渡すために参加したものだったが、まさか瑞樹まで来るとは思っていなかった。

トイレから出て気持ちを整理し、皆に招待状を渡すために会場へ戻ろうとした。

廊下の角まで来たところで、澪が目を赤くして瑞樹に詰め寄り、震える声で何かを訴えているのが見えた。

「起業して最初の5年間は絶対に結婚しないって言ってたじゃない!どうして私を騙したの?」

瑞樹の瞳には私には理解できない複雑な色が浮かんでいた。彼はため息をつき、困ったように答えた。

「騙してなんかない。さっきのは、瑠夏が同級生の手前、見栄を張って俺と結婚すると嘘をついただけだ。

知ってるだろう。半月前に瑠夏からプロポーズされた時、俺は断ったんだ。

5年は結婚しないというお前との約束を、破るつもりはないよ」

その言葉を聞いて、澪はようやく涙を引っ込めて笑みを浮かべ、勢いよく彼の胸に飛び込んだ。

澪は彼の腰に腕を回し、その胸に顔を埋めた。

「あなたが愛しているのは菊地さんだって分かってる。でも、あなたの心の中に私の居場所があることも知ってるわ。

あなたとの結婚なんて望まない。30歳になるまで、私のそばにいてくれるだけで満足よ。それに会社では、あなたの隣に立てるのは私だけ。菊地さんじゃない、私だけなんだから」

瑞樹の両腕は、無意識に力が入ったように見えた。

だが、最後まで澪を突き放すことはなかった。

少し離れた場所で固く抱き合う二人を見て、私はふっと自嘲気味に笑った。

そういうことだったのね。瑞樹は澪に「5年間は結婚しない」と約束していたのだ。

私だけが、蚊帳の外だったというわけだ。

幸い、私はもう別の人と結婚する。

瑞樹が澪とどんな約束を交わそうと、それが5年であろうが10年であろうが。

もう、私には何の関係もない。

私は視線を外し、きびすを返した。

会場に戻ると、私は持参した招待状を同級生たちに一人一人配って回った。

受け取った皆は、驚きと喜びを顔に浮かべた。

「招待状まで用意してあったなんて!こりゃ来月のご祝儀の準備をしとかなくちゃな」

「式場はどこだ?当日は絶対にお前と瑞樹の式に行って、奮発してご祝儀を包むからな!」

だが、招待状を開いた彼らの目に飛び込んできたのは、瑞樹の名前ではなかった。

全く見知らぬ男の名前が記されていたのだ。

場は一瞬にして水を打ったように静まり返り、皆が顔を見合わせた。

一人が恐る恐る口を開いた。

「これ……瑠夏ちゃん、冗談だろ?」

私は静かに微笑んで答えた。

「冗談じゃないわ。私と瑞樹はもう別れたの。だから、花婿が彼じゃないのは当然でしょ。

私と主人の結婚式、皆さんのお越しをお待ちしているわ」

その言葉が終わるや否や、入り口でガシャンと鋭い音が響いた。

瑞樹が落としたグラスが床に砕け散り、彼の顔は血の気を失い、真っ青になっていた。

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