「我が軍は四倍の敵に対するのだぞ。どのようにして二度も勝つというのだ」 カイゼル王の当然の問いにアウグストはしばし口をつぐみます。 戦争の終結を予想したことで父王の権限を越えてしまったのではないかと危惧したからです。「あくまで可能性の話です。戦闘に勝つ方法については現地を見てみないことには何も言えませんが……」 そこで言葉が途切れます。 カイゼルには息子の考えていることがなんとなく予想できたので、声色も優しく尋ねました。「何か思うところがあるなら|忌憚《きたん》なく何でも言うがよい。お前は次の王になるのだ。何も遠慮することはない」 彼は父の言葉に深く頷くと、はっきりとした『指示』を出しました。「父上、次の戦闘に備えてですが。この休戦期を利用して我が軍は騎馬兵を徹底的に鍛えておいてもらえますか。馬という生き物の特性、扱い方、弱点まで全てを知り尽くした騎馬隊を組織してもらいたいのです」「騎馬だと? 敵の追撃や先行部隊として使う以外に用途があるというのか?」 当時の騎馬兵というのは貴族のみがその技能を有するものでした。馬の産地でもない限り、馬を養い乗りこなすという技能そのものが金銭的な負担の高いものであり、資金を持たない市民には取得が難しいものだったのです。 しかし、ハワード王国は違いました。 肥沃な平原と程よい森林地帯に恵まれたこの地方は野生馬が多く生息しており、牛よりも手軽に使える家畜として切っても切れない存在だったのです。それゆえハワード王国の騎馬兵は精兵揃いと評判でした。 アウグストはその騎馬兵をもっと鍛えるようにと進言したのです。「ふむ。わかった。騎馬兵の鍛錬だな。聞いていたな将軍、アウグストの言うとおり騎馬の鍛錬を重点的に行うように」 カイゼル王にはその真意までは分かりませんでしたが、類稀なる才能の片鱗を見せ始めているこの息子を全面的に信用し、言われた通りの事を将軍に命じました。「歩兵に関しては何もないか?」「そうですね」 アウグストは少し考えましたが、多くの注文
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