Todos los capítulos de 夫の子を産まされ、妹の身代わりとして死んだ私――今世では冷徹CEOに執着されています: Capítulo 481 - Capítulo 490

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華やかな結婚式

 絢子の結婚式は、都内でも格式の高いホテルで開かれた。 当日、佳苗は淡いブルーのドレスに身を包み、雄吾とともに会場へ向かった。「変じゃないかな?」 車の中で、佳苗は膝の上に置いたバッグを持ち直した。「何が?」「このドレス。ちょっと地味だったかも」「似合ってる」「本当?」「ああ。綺麗だ」 雄吾があまりに自然に言うので、佳苗は頬を赤くした。「……ありがとう」「さっきから三回目だぞ」「だって、こういう結婚式って緊張するんだもの」「俺と一緒なんだから、気楽にしてろ」 そう言って、雄吾は佳苗の手を握った。 ホテルに到着すると、広々としたロビーには美しい花が飾られ、着飾った招待客たちが行き交っていた。 受付を済ませたところで、聞き慣れた声がした。「雄吾さん、佳苗さん」 振り向くと、美佐子が立っていた。「あら、佳苗さん。素敵なドレスね」「ありがとうございます。お義母さんも、とてもお綺麗です」「まあ、ありがとう。絢子さんの花嫁姿、楽しみね」 美佐子は嬉しそうだった。 絢子とは長い付き合いがあるのだから、結婚を喜ぶ気持ちも大きいのだろう。 やがて挙式が始まり、佳苗たちはチャペルへ案内された。 純白のウェディングドレスをまとった絢子は、息を呑むほど美しかった。 ゆっくりとバージンロードを歩く姿は堂々としていて、以前のような刺々しさは感じられない。 新郎の久世直哉は、背が高く、端正な顔立ちの男性だった。 柔らかな笑みを浮かべて絢子を迎える姿は、絵に描いたような新郎に見えた。 佳苗は小さく息をついた。 よかった。 絢子は本当に、新しい幸せを見つけたのかもしれない。 挙式が終わり、披露宴会場へ移動すると、絢子と直哉が招待客を迎えていた。「雄吾さん。今日は来てくださってありがとう」 絢子が微笑んだ。「結婚おめでとう」「ありがとう。佳苗さんも、来てくださって嬉しいわ」「ご結婚おめでとうございます。とても綺麗でした」「ありがとう」 絢子は少し照れたように笑った。 その表情は以前よりずっと穏やかで、佳苗はほっとした。 ところが、その隣にいた直哉が口を開いた。「榊原。まさか本当に来てくれるとは思わなかったよ」 親しげな口調だった。 けれど、雄吾は表情を変えない。「招待されたからな。結婚おめでとう」「ありがとう
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笑顔の裏側

 披露宴が始まると、会場は華やかな祝福の空気に包まれた。 絢子と直哉の出会いを紹介する映像が流れ、招待客たちから温かな拍手が起こる。 佳苗も拍手を送りながら、壇上の二人を見つめていた。 絢子は幸せそうに微笑んでいる。少なくとも、遠目にはそう見えた。「絢子さん、本当に綺麗ね」 隣に座る美佐子が、目を細めた。「ええ。ドレスもよく似合っていますね」「小さい頃から知っている子だから、なんだか感慨深いわ」 美佐子は懐かしそうに言った。「直哉さんも立派な方だそうよ。久世家とはお仕事のお付き合いもあるみたいね」 佳苗はちらりと雄吾を見た。 雄吾はグラスを置き、静かに答えた。「仕事ができるのは確かだ」「あら、雄吾がそう言うなら間違いないわね」「それと人柄は別の話だが」 美佐子は不思議そうに息子を見たが、ちょうど料理が運ばれてきたため、それ以上は尋ねなかった。 しばらくして、新郎新婦が各テーブルを回り始めた。「皆さん、今日はありがとうございます」 直哉は朗らかな笑顔で挨拶し、絢子も隣で丁寧に頭を下げる。 佳苗たちのテーブルに来ると、直哉は真っ先に雄吾へ声をかけた。「榊原、料理はどうだい? ここのシェフには少し無理を聞いてもらったんだ」「うまいよ」「それはよかった。君は舌が肥えているからね」 直哉は満足そうに頷くと、今度は佳苗へ視線を向けた。「ところで、奥様はお仕事をされているんでしたね」「はい。会社勤めをしています」「ほう。榊原の会社で?」「いいえ、別の会社です」「それは意外だな」 直哉は目を丸くした。「社長夫人ともなれば、いろいろお忙しいでしょう。お勤めを続けるのは大変じゃありませんか?」「今のところ、問題なく働けています」「なるほど。ご自分のお仕事がお好きなんですね」
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花嫁のお願い

 直哉が絢子の肩から手を離すと、彼女はしばらくその場に立ち尽くしていた。「絢子?」 美佐子に声をかけられ、絢子ははっとしたように顔を上げた。「……あ、すみません。少しお願いがあるんです」「お願い?」 絢子は雄吾に視線を向けた。「雄吾さん、あとで直哉さんと少しお話ししていただけないかしら」「話?」「ええ。仕事のことで、相談したいことがあるそうなの」 雄吾は直哉を見た。「仕事の話なら、改めて時間を取ればいいだろう」「そうなんだけどね」 直哉は悪びれる様子もなく笑った。「せっかく顔を合わせたんだ。少しくらいいいじゃないか。絢子からも頼んでもらおうと思ってね」 佳苗は思わず絢子を見た。 自分の結婚披露宴で、新郎に頼まれて昔の友人に仕事の話を持ちかける。 それも、あまり気持ちのいい役目ではないだろう。「直哉さん、今日はお祝いの席だから……」 絢子が控えめに言うと、直哉は彼女の言葉を遮った。「だからこそだよ。こういう席での縁を大事にするのも、経営者の仕事だからね」 そして雄吾に向き直る。「君なら分かるだろう?」「分からんな」 雄吾は即答した。「今日はお前たちの結婚式だ。仕事の話をするために来たわけじゃない」 一瞬、直哉の口元が引きつった。 しかし、すぐに笑顔を取り戻す。「相変わらず融通が利かないな、榊原は」「必要なら会社を通して連絡してくれ」「分かったよ。そうさせてもらおう」 直哉は軽く手を上げた。「絢子、次のテーブルに行こうか」「ええ……」 絢子は佳苗たちに頭を下げ、夫のあとを追った。 その背中を見送りながら、美佐子が小さくため息をついた。
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招待の理由

「奥様にお願いしたいことって……何だろう?」 佳苗は雄吾のスマートフォンを見つめた。 結婚式で初めて会ったばかりの直哉が、自分に何を頼もうというのだろう。「さあな」 雄吾は短く答え、画面を閉じた。「返事しなくていいの?」「急ぐ話なら、向こうから用件を言ってくるだろう」「でも、絢子さんの旦那さんだし……」「それとこれとは別だ」 雄吾は佳苗の顔を見た。「気になるか?」「うん。私に何か用事があるみたいだから」「だったら聞いてみる」 雄吾はスマートフォンを操作し、簡潔な返信を送った。『妻への用件なら、先に内容を教えてくれ』 それを見て、佳苗は思わず笑った。「雄吾らしいね」「何が?」「回りくどいことをしないところ」「食事に誘う理由を聞いただけだ」 雄吾は当然のように言った。 けれど、佳苗にはそれが少し嬉しかった。 以前なら、雄吾に守られてばかりいることに戸惑ったかもしれない。今は、必要なときには頼っていいし、自分の意見もきちんと伝えられる。 そんな関係になれたことが、何より嬉しい。 自宅に着く頃になって、ようやく直哉から返信が届いた。『そんなに警戒しなくてもいいだろう。絢子が奥様と親しくなりたがっているんだよ。せっかくの機会だから、夫婦同士で交流したいと思ってね』「……絢子さんが?」 佳苗は首を傾げた。 結婚式では、絢子からそんな話は一度も出なかった。 むしろ帰り際には、直哉が食事会の話を持ち出したとき、何か言いかけていたように思う。「雄吾、これって本当なのかな」「分からん」「絢子さん、私と仲よくしたいって言ってた?」「いや。少なくとも俺は聞いてない」「だよね……」 佳苗は少し考えてから、雄吾を見上げた。「ねえ、私から絢子さんに聞いてみてもいい?」「連絡先は知ってるのか?」「前に交換したままだから。でも、ずっと連絡してないけど」「無理に関わる必要はないぞ」「うん。ただ、本人が本当にそう思ってるなら、ちゃんと返事したいなって」 雄吾は少し考え、頷いた。「分かった。ただし、嫌なことを言われたら付き合わなくていい」「分かってる」 佳苗は笑って答えた。 その夜、着替えを済ませてから、佳苗は久しぶりに絢子とのメッセージ画面を開いた。 最後のやり取りは、もうずいぶん前だ。 少し迷った末、短い文
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絢子の秘密

 佳苗は絢子から届いたメッセージを、もう一度読み返した。『直哉さんには、私から連絡があったことを言わないでくれる?』 ただ食事の誘いを断るだけなら、こんなお願いをする必要はないはずだ。「……何か事情があるのかな」 佳苗が呟くと、雄吾は隣に腰を下ろした。「かもしれないな」「でも、結婚したばかりなのに……」「結婚したからって、何もかも夫に話す必要はないだろ」「それはそうだけど」 佳苗は少し考え、絢子に返信した。『分かりました。こちらから久世さんにお話しすることはありません。ただ、何か困っていることがあるなら、無理しないでくださいね』 送信してから、余計なことを書いただろうかと思った。 絢子とは、決して親しい間柄ではない。以前のことを考えれば、むしろ距離を置いて当然の相手だ。 けれど、披露宴で見た彼女の表情が忘れられなかった。 しばらくして、返信が届いた。『ありがとう。でも大丈夫よ。おやすみなさい』 それきり、絢子からの連絡は途絶えた。「大丈夫だって」 佳苗が画面を見せると、雄吾は頷いた。「なら、今はそれ以上聞かなくていい」「うん」「それと、久世の誘いは断る」「絢子さんが嫌がってるから?」「それもあるが、俺自身、あいつと私的に付き合うつもりはない」 雄吾はスマートフォンを手に取った。「仕事なら会社を通せばいい。妻同士の付き合いまで持ち出す必要はないだろ」 佳苗はその言葉に頷いた。 雄吾が送ったのは、予定が合わないため食事は遠慮する、という簡潔な返事だった。 ところが翌朝、思いがけないことが起きた。 朝食を終えた雄吾のスマートフォンに、直哉から電話がかかってきたのだ。「久世か」 雄吾は画面を確認し、通話に出た。
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食い違う言葉

 佳苗は絢子から届いたメッセージを雄吾に見せた。「これ……どういうことだと思う?」 雄吾は画面に目を通し、眉を寄せた。「久世が絢子の名前を勝手に使っている、ということだろうな」「でも、どうして?」「それは本人に聞かないと分からん」 佳苗は少し迷ってから、絢子に返信した。『今朝、久世さんから雄吾に電話がありました。慈善パーティーに協力してほしいというお話でしたが、絢子さんも望んでいるとおっしゃっていました』 しばらくして、既読がついた。 しかし、返事はなかなか来ない。「……絢子さん、大丈夫かな」「心配なのか?」「うん。以前は苦手だったけど、だからって困っているのを見過ごしたいわけじゃないし」 雄吾は佳苗の隣に座り、静かに頷いた。「ただ、あいつら夫婦の問題に深入りするなよ」「分かってる」 ようやく返信が届いたのは、それから十分ほど経ってからだった。『やっぱりそうなのね。ごめんなさい。直哉さんには、私からもう一度話しておくわ』 佳苗はその文章を読み、ますます気になった。『絢子さんは、そのパーティーのことをご存じなんですか?』 今度はすぐに返事があった。『ええ。結婚前から準備している催しよ。でも、佳苗さんにお願いするなんて聞いていなかったの』 続けて、もう一通。『あの人、雄吾さんに負けたくないのよ』 佳苗は思わず画面を見つめた。 直哉が雄吾に対抗意識を持っていることは、結婚式での態度からも感じていた。 けれど、それが自分への誘いとどう関係するのだろう。『私が参加すると、雄吾に勝てるんですか?』 そう尋ねると、絢子から電話がかかってきた。「絢子さん?」『突然ごめんなさい。文章だとうまく説明できなくて』 絢子の声は、少し疲れている
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突然の電話

「久世さんの番号なの?」 佳苗が尋ねると、雄吾は頷いた。「ああ。仕事で何度か連絡を取ったことがある」 スマートフォンは鳴り続けている。 絢子との通話が切れた直後に、夫の直哉から電話がかかってくる。偶然とは考えにくかった。「……出たほうがいいかな」「無理に出る必要はない」「でも、何か用事があるのかもしれないし」 佳苗は少し迷い、通話ボタンを押した。「はい、朝倉……いえ、榊原です」『こんにちは、佳苗さん。久世直哉です』 電話の向こうから、聞き覚えのある明るい声が響いた。「こんにちは。昨日はお招きいただき、ありがとうございました」『こちらこそ。楽しんでもらえたかな?』「はい。素敵な結婚式でした」『それはよかった。ところで、さっき絢子と電話していたそうですね』 佳苗は雄吾と目を合わせた。「ええ、少しお話ししました」『そうですか。何を話していたんです?』 あまりに当然のように尋ねられ、佳苗は一瞬返事に詰まった。「……それは、絢子さんとの個人的なお話なので」『おや、夫の僕にも内緒ですか?』 直哉は笑った。『困ったな。新婚早々、妻に秘密を作られてしまった』「そういうことではありませんが……」『冗談ですよ。そんなに警戒しないでください』 佳苗は唇を結んだ。 冗談と言われても、少しも面白くない。『それより、慈善パーティーの件なんですが』「そのお話でしたら、雄吾からお断りしたと思います」『ええ、聞いています。でも、奥様ご本人のお気持ちはどうなのかなと思いましてね』「私も、今回は遠慮させていただきたいです」『どうしてです? お忙しい?』「それもありますし
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不穏な忠告

 佳苗は絢子から届いたメッセージを、雄吾に見せた。「ねえ、これ……」 雄吾は画面に目を通すと、わずかに眉を寄せた。「会社のことを聞かれても答えるな、か」「久世さん、何か企んでいるのかな」「分からん。ただ、絢子がわざわざ忠告してくるなら、気になるな」 雄吾はスマートフォンを佳苗に返した。「返事は?」「まだ。何のことなのか聞いてみようかと思って」「そうだな。ただし、無理に聞き出す必要はない」 佳苗は頷き、短い文章を送った。『分かりました。何か理由があるんですか?』 しばらく待っても、返信はなかった。「忙しいのかな」「新婚早々、いろいろあるんだろう」 雄吾はそう言って立ち上がった。「夕飯、何が食べたい?」「えっ、雄吾が作ってくれるの?」「今日は休みだろ。たまにはな」 その言葉に、佳苗は思わず笑顔になった。「じゃあ、パスタがいいな」「分かった」 雄吾がキッチンへ向かうのを見送りながら、佳苗はもう一度スマートフォンを確認した。 やはり、絢子からの返信はない。 これ以上考えても仕方がないと、佳苗は雄吾の手伝いをすることにした。 翌週の月曜日。 佳苗はいつもどおり出勤し、午前中の仕事を片づけていた。 高瀬課長から任された業務も順調に進んでいる。以前より責任は増えたが、そのぶん仕事の手応えも感じられるようになっていた。 昼休み、スマートフォンを確認すると、絢子から返信が届いていた。『ごめんなさい。昨日は返事ができなくて』 続けて、もう一通。『直哉さんが、雄吾さんの会社の新しい事業について気にしているみたいなの』 佳苗は首を傾げた。 雄吾の会社の新しい事業。 そういえば、最近も帰宅後に仕事の話をしていたが、具体的な内
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帰りを待つ夜

 その日から、雄吾の帰宅が遅くなった。 普段なら夕食を一緒に取れる時間に帰ってくるのに、ここ数日は九時を過ぎても姿が見えない。 佳苗が心配して連絡すると、必ず返事はあった。『今日は遅くなる。先に食べていてくれ』 けれど、何があったのかまでは書かれていない。 佳苗も、仕事のことを根掘り葉掘り聞くつもりはなかった。自分だって、会社で扱う情報を何でも夫に話せるわけではない。 それでも、心配なものは心配だった。 木曜日の夜、佳苗がリビングで本を読んでいると、玄関から鍵の開く音がした。「おかえりなさい!」 時計を見ると、もう十一時近い。 迎えに出ると、雄吾がコートを脱いでいるところだった。「ただいま。まだ起きてたのか」「うん。お疲れさま」「先に寝ててよかったのに」「眠くなかったから」 佳苗がそう答えると、雄吾は少し笑った。「夕飯は?」「会社で軽く食べた」「じゃあ、お茶でも淹れようか?」「ああ。頼む」 雄吾はリビングのソファに腰を下ろし、ネクタイを緩めた。 その仕草が、いつもより疲れて見える。 佳苗は温かいお茶を用意して、隣に座った。「……大変そうだね」「少しな」「久世さんの件?」 雄吾は湯呑みを手にしたまま、佳苗を見た。「心配かけてるな」「それは、心配するよ」 佳苗は素直に答えた。「でも、仕事の内容を教えてほしいわけじゃないの。ただ、雄吾が無理してないか気になって」「無理はしてない。多少面倒なことになってるだけだ」「そっか……」 佳苗が頷くと、雄吾は彼女の肩を抱き寄せた。「もう少ししたら落ち着く」「本当?」「ああ。だから、そんな顔するな」
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閉ざされた暮らし

「外出していいか、分からない……?」 佳苗は美佐子の言葉を繰り返した。『そうなの。私も驚いてしまって。結婚したばかりだから、旦那様の予定に合わせたいということなのかもしれないけれど』「そうですね……」 佳苗は曖昧に答えた。 夫婦で予定を相談するのは、ごく普通のことだ。けれど、絢子の言い方には引っかかるものがあった。 外出できるかどうかではなく、外出していいかどうか。 まるで、夫の許可が必要であるかのようだった。『佳苗さん、何か聞いていない?』「いえ、詳しいことは……」 佳苗は言葉を濁した。 絢子から届いたメッセージや、直哉とのやり取りを勝手に話していいものか分からなかった。『そうよね。ごめんなさい、変なことを聞いてしまって』「いえ。私も少し気になっていたので」『あの子、昔から気の強いところはあったけれど、言いたいことを我慢するような子ではなかったのよ』 美佐子は寂しそうに笑った。『幸せに暮らしているなら、それでいいんだけれど』 電話を切ったあとも、佳苗はしばらく考え込んでいた。 以前の絢子なら、誰かに遠慮して外出を諦めるなど、考えられなかった。 もちろん、結婚して生活が変わっただけかもしれない。 それでも、あの結婚式で感じた違和感が、少しずつ形になっていくようだった。 佳苗は思い切って絢子にメッセージを送った。『お久しぶりです。最近どうしていますか? お元気ならいいのですが』 返事はなかった。 その日の夕方、雄吾が珍しく早く帰ってきた。「ただいま」「おかえりなさい! 今日は早かったんだね」「ああ。少し区切りがついた」 佳苗はほっとして、雄吾の上着を受け取った。「よかった。最近、ずっと遅かったから」「心配させ
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