彼女がドアを開けた瞬間、身を切るような冷気が真正面から吹きつけてきた。大きな温度差に、さっきまで体に残っていたわずかな温もりまで一気に奪われ、吐き気を覚えるほど気分が悪くなった。莉奈は薄い書類袋を握り潰さんばかりに抱え込み、柚希への憎しみを胸の中で限界まで膨らませていた。柊馬は、いつになく焦った様子の彼女を見て眉をひそめた。「それは何だ?」莉奈は目を泳がせ、後ろ手に宅配便を隠した。「……な、何でもないわ。女のちょっとした小物よ」「そうか?」柊馬は疑うような目で、彼女が隠した荷物を見た。……その夜、莉奈は倒れた。重い風邪を引き、高熱まで出したのだ。病床に横たわった莉奈は、意識が朦朧とするほど熱に浮かされ、全身の節々が痛んでいた。もう起き上がって、自分で玄関まで出て危険な宅配便を止めに行く力は残っていなかった。仕方なく、彼女は地下室を見張っていたボディーガードの中から、ひそかに五人を抜き出した。そして病床の前に呼びつけると、弱り切った声に凄みを滲ませて命じた。「あなたたち五人は、今すぐこの住宅地の出入口を全部見張りなさい。宅配便が邸宅の敷地内に入る前に、必ず回収するのよ!一通たりとも見逃さないで!」リーダー格のボディーガードは困った顔をし、不安げに答えた。「莉奈様、今夜地下室へ突入して、中にいる者たちを救出する手はずはもう整っています。ですが、もともと人手が足りず、成功する見込みも高くありません。そこからさらに五人を割くとなると、救出はほぼ不可能になります……」「じゃあ、私にどうしろっていうの!?」莉奈は苛立ちを爆発させ、掠れた声を張り上げた。「親子鑑定のことだけは、絶対に、絶対に柊馬くんに知られてはいけないの!宅配便は一通残らず止めなさい!地下室の連中は……」彼女の目に、毒を含んだ冷たい光が走った。「もう救わなくていいわ。プランBを実行して、全員始末しなさい。生き残りは一人も出さないで!」ボディーガードたちは一斉に息を呑み、顔に恐怖を浮かべた。「莉奈様!あの者たちはあなたに忠誠を誓い、あれほどの拷問を受けても、今まで何も漏らしていません。あなたが助けに来てくれると信じて耐えているのです……」「忠誠を誓っているのなら」莉奈は激痛の走るこめかみを押さえ、氷のように冷酷な声で言った。
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