「柊馬、莉奈さんのお腹の子……あなたの子なの?」桐生柊馬(きりゅう しゅうま)を問い詰める上野柚希(うえの ゆずき)の顔は、血の気が感じられないほど、青ざめていた。7ヶ月前、柊馬の兄が事故で他界した。旦那を亡くし、さらには身重だった桐生莉奈(きりゅう りな)を、柚希は放っておけず、献身的に支えてきたというのに……こんなのは、あまりにも酷すぎる!ずっと自分を誰よりも大事にしてくれていたあの柊馬が、まさか他の女に走るなんて。そんなこと、柚希は思ってもみなかった。「はっきり答えて!」震える声で、ソファに座る男を睨みつける。部屋の明かりが彼の眉間に濃い影を落とした。いつもの余裕と気品に満ちた姿は消え、そこにあったのは、息苦しいほど張り詰めた重苦しい空気だけだった。柊馬が深いため息をつく。「柚希、少しは落ち着け。桐生家には……跡継ぎが必要なんだ」その言葉は、まるで刃物のように柚希の胸を貫いた。3年前、柊馬を庇った事故で、柚希は子宮に深い傷を負い、そのせいで、もう子どもを望めない身体になってしまっていた。あの時、柊馬は病院のベッドで誓ってくれたのに。「俺には、お前がいればそれでいい。子供なんて一生いらないから」と。「跡継ぎ?」柚希は引きつった笑いを漏らし、目からは涙が溢れてくる。「だから、莉奈さんを抱いたの?柊馬……あなたって、本当最低!」パシッ。柚希の頬に、突然痛みが走った。柊馬の母親である桐生洋子(きりゅう ようこ)が嫌悪に満ちた声で吐き捨てる。「育ちが悪いくせに、よくそんな口が利けるわね。兄がもういないのであれば、弟が穴を埋めるのは当然のことでしょ?あなたに口を挟む権利なんてないんだから。そもそもあなた、子供も産めない不良品でしょ?なのに、よくそんなこと言えたものね。柊馬に追い出されないだけでも、ありがたいと思いなさいよ!」子供が産めない不良品?頬を押さえながら柊馬を見た。信じられなかった。まさか、彼までそう思っていたなんて……それに、ありがたいと思えだって?柊馬が自分を見捨てないことは、そんなにも感謝すべきことなのか?そもそも、無理に結婚したがったのは自分の方だっただろうか?違う……何度も頭を下げて、必死に結婚を望んだのは、柊馬の方だったくせに!子供なんていらないと誓い続けたのも
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