頭の中がぐちゃぐちゃに掻き乱され、正常な判断力などとうに失われていた。朔也は感覚の鈍った手で箱を受け取ると、ふらつく足元をどうにか堪えながら、麻痺したようにその蓋を開けた。目に飛び込んできたのは、無惨な光景だった。中に詰め込まれていたのは、かつて二人の愛情の証だった数々のペアグッズ――そのすべてが、粉々に叩き割られ、ハサミでズタズタに切り裂かれていたのだ。ガクッと膝から力が抜け、朔也は箱を取り落としかけ、あわやその場に崩れ落ちそうになった。「これが、杏からのプレゼントだと……?あり得ない!一体どこの誰がこんな悪趣味な嫌がらせを……! 杏が、俺たちの思い出の品をこんなにするわけがない……!」そこまで口走ったところで、ふと、ある最悪の可能性が脳裏を過る。まさか……栞奈との関係が、全部あいつにバレていたとでもいうのか?青ざめたまま硬直している朔也を見かねて、秘書がさらに言葉を重ねた。「社長、杏様からの『二つ目のサプライズ』は、上の披露宴会場に用意されております。すぐにご案内いたします」「……行かない」朔也は激しく顔を歪め、後ずさった。杏の用意したその「サプライズ」とやらを目にすれば、自分はもう二度と這い上がれない絶望の底に突き落とされる。本能がそう告げ、全身の細胞が拒絶していた。だが、秘書は伏し目がちに、どこまでも冷ややかなトーンで告げた。「杏様から伝言を預かっております。『もし朔也が会場へ上がるのを嫌がったら、こう伝えてください』と」そして、一切の感情を排した声で、杏の言葉を代弁する。「『――これがあなたに贈る最後のサプライズ。受け取るか受け取らないかは、あなた次第よ』」朔也は土気色になった顔を引きつらせ、数秒の逡巡の末、重い足取りでエレベーターに乗り込んだ。彼の背後に付き従った秘書は、ドアが閉まる直前、手元のスマホを操作して「あるもの」を一斉送信した。同じ頃、上の披露宴会場では、招待客たちのスマホがいっせいに震えていた。皆が何気なく画面を覗き込み、一様に目を見張る。「おい、なんだこれ。朔也と栞奈の結婚披露宴の招待状が送られてきたぞ?」「栞奈って誰だ?今日は杏ちゃんとの式だろう?」「……こりゃあ、とんでもない修羅場になりそうね」チーン、と音が鳴り、エレベーターが目的の階に到着
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