All Chapters of 婚約者を寝取られた夜、財閥御曹司に溺愛されました: Chapter 161 - Chapter 170

196 Chapters

第161話 どうしてこんなに早く結婚したんだ?

第161話 どうしてこんなに早く結婚したんだ? 美月は家の中から出てきた女性を見ると、すぐに駆け寄った。 「おばさん! 会いたかった!」 その甘えた声を、ちょうど外のおばさんたちから解放された蓮が聞いてしまい、足取りが一瞬乱れた。 いつもの身体能力と反射神経がなければ、今頃は転んでいただろう。 ――なんてこった! あんなふうに甘えて駄々をこねる女が、自分の知っている、しかも入籍までした妻だというのか? こんな美月の姿は、今まで一度も見たことがなかった。 だからこそ、蓮は驚きのあまり呆然とするしかなかった。 「美月、来るなら先に電話してくれればよかったのに。そうすれば、おばさんもあなたの好きな料理をもっとたくさん用意しておけたのに」 橘千恵(たちばな ちえ)は、そう言って美月を軽く睨んだ。 「だって、おばさんを驚かせたかったんだもん! だから、わざと言わなかったの!」 その口調はとても甘く、蓮が一度も聞いたことのないものだった。 ベッドの上でさえ、彼女はこんなふうに甘えた話し方をしたことはない。 その瞬間、蓮はなぜか嫉妬してしまった。 ――ああ、もう! どうして俺の嫁は、俺にはこんなふうに甘えてくれないんだ? 腹立たしい! 「確かにサプライズね!こちらが叔父さんから聞いていた、ご主人?」千恵の視線が蓮に注がれた。 彼を見た瞬間、その目がキラキラと輝いた。 何しろ、本当に目を見張る
last updateLast Updated : 2026-08-21
Read more

第162話 いったいどれほどの魅力があるのか

第162話 いったいどれほどの魅力があるのか 「彼女の酷い仕打ちは、今に始まったことじゃないわ。ただ、私が疲れただけ。もう彼女と揉めたくなくて、親子の縁を切ったの!」 美月は淡々と言った。 「おばさん、あの人のことはもう終わった話よ。もういいの」 千恵は、美月がこれ以上話すつもりがないのを察して、その話題を切り上げた。 「それで、二人は子どもを作るの?」 あまりにも突然話題が変わったため、美月は危うく唾にむせそうになった。 子ども? ――いや、考えたことすらない。 「……今はそのつもりはないわ。卒業してからね」 「それもいいわね! 卒業してからにしましょう。あなたもまだ学校に通わないといけないんだし。そういえば、確か大学院にも進むつもりだったわよね? そっちも受けるの?」 「受けるわ」 実のところ、美月はそこまで気にしていなかった。何しろ、今は仕事を始めたばかりなのだ。 大学院に進んだところで、仕事に支障が出るわけでもない。 ただ、その分忙しくなるだけだ。 千恵はその答えを聞いて、嬉しそうに頷いた。 「それでいいのよ。知識っていうのはね……一度身につけたものは、全部自分の財産になるの。それがあなたをもっと優秀な人にしてくれる」 美月の夫は確かに容姿がよく、条件も申し分ない。家柄だって悪くない。 けれど、それだけで恋に浮かれて、自分を見失ってはいけない。
last updateLast Updated : 2026-08-21
Read more

第163話 それは全部、嫁に上納しなきゃな

第163話 それは全部、嫁に上納しなきゃな その頃、蓮は自分が誰かに狙われていることなど、知る由もなかった。 二人は墓参りを終えて山を下り、帰る準備をしていた。 「もう帰るの? おじさんたちに、一応挨拶していかなくていい?」 美月は蓮を横目で見てから、遠くの山へ視線を向けた。 「先におじさんたちに挨拶して、それから出発しましょう」 「それならいい」蓮に異論はなかった。 早く帰るに越したことはない。何しろ、ここは空気がきれいなこと以外は……どうしたって帝都には敵わない。 何より、あの宿のベッドが家のベッドに敵うはずもない。 それに蓮は、指を折りながらひそかに計算していた。 美月の「あれ」は、昨夜で終わったはずだ。今日には完全に終わっている。 ここ数日ずっと我慢していたから、もうたっぷり溜まっている。 ――それは全部、上納しなきゃな。 環境が良ければ、楽しみも倍増する。 車は再び叔父の家の前に停まった。 正人たちは外には出ていなかったが、車の音で二人が帰ってきたことに気づき、家の中から出てきた。 ちょうど、美月と蓮が車から降りるところだった。 「美月、墓参りは終わったのか? もう帰るのか?」 美月は頷いた。 「はい、おじさん、おばさん。向こうで用事があるので、そろそろ帰ります。また今度、時間があったら会いに来ますね」 
last updateLast Updated : 2026-08-22
Read more

第164話 事故じゃない

第164話 事故じゃない 美月は彼の言葉を聞いて、思わず眉をひそめた。 「私は悲しんでなんかいないわよ。ただ、さっきよりずいぶん空が曇ってきたなって思って……大雨が降るんじゃないかって」 「……?」蓮は絶句した。 胸いっぱいに詰め込んでいた慰めの言葉が、喉元でつかえて出てこなくなった。 「悪かった。俺の早とちりだった」 その言葉に、美月はぷっと吹き出した。 「あなたって、本当に面白い人ね」 彼女の心に残っていた陰鬱な気分は、あっという間に吹き飛んでしまった。 蓮はニヤリと笑った。 「美人の笑顔のためなら、命を懸けたって惜しくない」 美月は一瞬で額に青筋を浮かべた。 ――そこまでしなくていいわよ。 「ほら、お前も疲れただろ。ゆっくり寝てろ。着いたら起こしてやるから」 昼間に寝ておけば、夜はゆっくり休める。 いい考えだ。 「うん」美月は頷いて、目を閉じた。 もともと彼女は、蓮とあまり話したくなかった。また彼の口から、答えに困るようなことを言われるのが嫌だったからだ。 ところが、目を閉じて間もなく、本当に眠ってしまった。 蓮は、美月の呼吸が次第に穏やかになっていくのを聞きながら、運転手に車内の温度を快適な設定に調整するよう合図した。 それから、美月の寝顔をじっと見つめた。
last updateLast Updated : 2026-08-22
Read more

第166話 さすがにこれは腹が立つ

第166話 さすがにこれは腹が立つ 蓮たちが家に帰り着いたのは、夜の七時半を過ぎた頃だった。 村上は二人が帰ってきたのを見るや、すぐに口を開いた。「夕食の準備ができております!先にダイニングへどうぞ!」 蓮は頷いた。「ああ!それじゃあ先にご飯にしよう!」 二人は一緒にダイニングへ向かった。 テーブルの上の料理は、相変わらず豪華だった。 何しろ、二人とも空腹だった。 今回は食事のペースも、明らかに速かった。 食後、蓮は珍しく美月にまとわりつかなかった。 「俺は用事があってちょっと出かけてくる。戻りは遅くなるかもしれない。お前が疲れていたら、先に休んでいてくれ。俺のことは待たなくていい」 美月は、彼が何をしに行くのか分かっていた。 何せ、昼間のあの追撃の件を、蓮がそのままにしておくはずがない。 そう思い、彼女は頷いた。 「わかったわ」 蓮は時間を無駄にしなかった。 美月に別れを告げると、すぐに出て行った。 美月も二階へ上がった。 一方、蓮はクラブのオフィスへやって来た。 彼が入って間もなく、秘書の恒も入ってきた。 恒は足を踏み入れた瞬間、オフィスに漂う重苦しい空気を感じ取った。 とはいえ、無理もない。 何せ社長は、白昼の高速道路で襲われたばかりなのだ。 しか
last updateLast Updated : 2026-08-23
Read more

第167話 疲れてなんかない

第167話 疲れてなんかない 深夜十一時半。蓮はようやく車を運転して家に帰ってきた。 この時の彼の気分は、決して良いものではなかった。何せ、これだけの時間が経っても、手がかり一つすら掴めていない。さすがに気分が悪かった。 この黒幕は一体、誰なのか。 自分の行動を把握しながら、しかも尻尾を一切掴ませずに逃げおおせた。 この二点だけでも、蓮が気にしないわけにはいかなかった。 だが、階段を上る頃には、彼の陰鬱な表情はすっかり消えていた。 代わりに浮かんでいたのは、いつもの気だるげで余裕たっぷりな表情だった。 主寝室の前まで来ると、彼はためらうことなく扉を押し開けた。 すると、真っ暗だった部屋が一瞬で明るくなった。 蓮はすぐに大きなベッドへ目を向けた。 「こんな時間になっても、まだ寝てないのか? もしかして……俺がいないと眠れなかったのか?」 美月は彼の言葉を聞くと、思いきり白い目を向けた。 こんな時になっても、相変わらずふざけたことばかり言っている。 「あなたが調べていた件は、どうなったの?」 「……」 蓮は、美月がこのことを聞いてきたのは、昼間の出来事で怖い思いをしたからだろうと思った。 彼は彼女のそばに寄り、慰めるように言った。 「警察に任せてある。あとは結果を待てばいい」 そう軽く言ったのは、何より彼女に心配をかけたくなか
last updateLast Updated : 2026-08-24
Read more

第168話 和解しましょう

第168話 和解しましょう 美月が階下へ降りても、蓮の姿は見当たらなかった。 すると、村上が近づいてきた。 「若奥様、おはようございます。若様でしたら、クラブに用事があるとのことで、朝食をご一緒できず申し訳ないとおっしゃっていました」 美月は頷いた。 「若奥様、朝食はすぐにご用意いたしましょうか?」 「ええ、お願い」 彼女はそのままダイニングへ向かった。 席に着くと、すぐに使用人たちが朝食を運んできた。 もともとかなり空腹だった美月は、目の前に並べられた豪華な朝食を見て、ますます食欲が湧いてきた。 朝食を済ませた後、彼女は自ら車を運転して会社へ向かった。 自分の会社のフロアを出たところで、どこか見覚えのある人物が目に入った。 ――あれは、下の階にある芸能事務所の、あのスターのアシスタントじゃない? あの日、確か「宝生」という姓を名乗っていたはずだ。 「ここで何をしているの?」 どうやら、受付やフロアの警備も早急に整えたほうがよさそうだ。 そうでなければ、誰でも簡単に自分の会社へ出入りできてしまう。 宝生美咲も、まさかここで美月と鉢合わせするとは思っていなかった。 少し速くなった鼓動を落ち着かせながら、彼女は一枚の美しい招待状を取り出した。 「橘さん、こんにちは。私は音さんのアシスタントをしております。今日は音さんの誕生日で、夜に誕生日パーティーを開くんです。それで、橘さんにもぜ
last updateLast Updated : 2026-08-24
Read more

第169話 興味が湧いた

第169話 興味が湧いた 「特に用事がないなら、出て行ってください!」 美月は、自分の会社のフロアに警備員と受付を置くことが、今何よりも急務だと感じていた。 明日には人員を揃えなければならない。 それに、もともとビルに配置されている警備体制も、一から見直す必要がある。そうでなければ、誰でも簡単に中へ入れてしまう。 靖は眉を上げ、美月をじっと見つめた。 「そんなに焦ってるのか?」 美月はその言葉を聞いても、表情を変えなかった。 「白井さん、あなたがどこで好き勝手しようと勝手です。でも、私の会社まで来て好き放題するのは、いくらなんでもやりすぎですよ」 その一言で、靖の表情が一瞬で固まった。 細長い狐のような目には、信じられないという色が浮かんでいる。 彼は反対の手で自分を指さした。 「俺が好き勝手してるって?」 何ということだ。 この人生で、こんなふうに言われたのは初めてだ。 美月はただ彼を見返した。肯定も否定もしない、淡々とした表情だった。 「……?」靖は言葉を失った。 この女には、美的センスというものがないのか? そうでなければ、どうしてこんなにも嫌そうな顔で自分を見る? 靖は怒りを通り越して、思わず笑ってしまった。 口元を引きつらせ、目に宿る邪気がさらに濃くなる。 
last updateLast Updated : 2026-08-25
Read more

第170話 白井家の三男

第170話 白井家の三男 恒が入ってくると、靖に一瞥もくれず、そのまま美月のもとへ歩み寄り、恭しく尋ねた。 「若奥様、何かございましたか?」 美月は、恒のこういう気の利いた対応が気に入っていた。彼女も遠慮なく言った。 「ええ!この白井さん、どうやら少し耳が遠いみたいで、何を言っても話が通じないの。だから、この人を外までお連れしてもらえる?」 「……」靖は絶句した。 ここまで面と向かって自分を罵る女は、本当に初めてだった。 恒は靖に向かって、慇懃に手を差し出した。 「白井様、どうぞお引き取りください」 靖は彼を横目で見た。 「恒、昨日の午後、神崎が襲われたらしいな。無事だったのか?」 恒は営業スマイルを浮かべた。 「白井様は、ずいぶん情報がお早いですね。もしかして、何かご存じなのではありませんか? それでしたら、いっそ警察にお話しいただけますか?」 さすが神崎の専属秘書を務めるだけあって、対応は手際が良かった。反応も実に早い。 美月は黙って恒に親指を立てた。 靖は眉を上げた。 「恒、それは言い過ぎだろ。お前たちの神崎が襲われたって話くらい、この業界じゃ誰でも知ってる。もちろん、神崎が助けを必要としているなら、俺は喜んで力を貸すぞ」 恒は変わらぬ笑顔で言い返した。 「ありがとうございます。もし白井様が何か手がかりをお持ちでしたら、警察にご連絡いただけると大変助かります」 
last updateLast Updated : 2026-08-25
Read more
PREV
1
...
151617181920
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status