All Chapters of 婚約者を寝取られた夜、財閥御曹司に溺愛されました: Chapter 171 - Chapter 180

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第171話 まさか恋愛脳か?

第171話 まさか恋愛脳か? 「彼は有能な人なんでしょう? それなら、どうしてうちみたいなできたばかりの小さな会社に移りたいと思うの?」 十年の職歴は決して長くはないが、彼の能力を証明するには十分だ。 そんな人材なら、たとえ今の会社を辞めたとしても、いくらでも大企業に行けるはずだ。 恒はため息をついた。 「あの会社の若旦那が……彼の恋人を横取りしたんです」 「……?」美月は絶句した。 「つまり、その貿易会社の社長の息子が、彼と結婚を間近に控えていた女性に手を出したんです。それで彼は会社を辞めて、今も無職のまま三ヶ月以上が経っています」 その説明を聞いて、美月はすぐに事情を理解した。 「失恋したってこと?」 「まあ、そんなところです。彼は彼女と七年も付き合っていましたから、それなりに思い入れも深かったんでしょう」 「それでも、仕事を見つけるのは難しくないでしょう? それに、長年働いてきたんだから、貯金だってそれなりにあるはずよ。自分で起業するにしても、十分な資金はありそうだけど」 恒は気まずそうに笑った。 「彼は起業にはあまり興味がなくて……それに、お金にもあまり余裕がないのかもしれません。彼女がかなりの浪費家で、帝都にマンションまで買ってやっていますから……」 美月は言葉を失った。「……」 ようやく理解した。 この男、どうやら恋愛脳らしい。&nbs
last updateLast Updated : 2026-08-26
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第172話 自信を持って!

第172話 自信を持って! 美月は、戸田がまだ信じていない様子を見て、笑った。 「靖のことは気にしなくていいわ。あいつは私の中ではランク外よ。今はしっかり仕事に専念しなさい。ほかのことは気にしないで」 戸田は、彼女の表情があまりにも自然で、慰めているようにも見えないのを見て、ようやく思い出した。 そうだ。社長の背後には、蓮さんと神崎家がいる。 そう思うと、胸につかえていた重荷がようやく下りた。 「分かりました。それでは、仕事に戻ります!」 社長が自分たちのために盾になってくれるのなら、自分たちは仕事に全力を注ごう。 会社がある限り、自分たちもいる。 会社が潰れれば、自分たちも終わりだ。 美月は頷いただけで、それ以上は何も言わなかった。 三十分ほど経った頃、彼女のスマホが鳴った。 手に取って画面を見ると、蓮からの電話だった。美月はすぐに応答した。 彼女が口を開くより先に、蓮のやや苛立った声が聞こえてきた。 「靖の奴が会社に来たのか?」 美月は、それで恒が蓮に報告したのだと分かった。 「ええ、来たわ。よく分からないことを言って帰ったけど、無視したわ」 蓮は心の中で罵った。 あの畜生め。 喉元まで込み上げてきた怒りを抑え、彼は平静を装って言った。 「そうだな。無視でいい。あの白井の奴はロクな奴じゃない。また来たら、遠慮なく人を呼んで外に放り出
last updateLast Updated : 2026-08-26
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第173話 立て直し

第173話 立て直し 階下の警備室・中央監視室。 副長の園田正人(そのだ まさと)は、複雑な思いで電話を切った。 そして中央監視室の同僚たちを見回し、咳払いをしてから口を開いた。「銀光ビルの所有者が変わったことは、もう知ってるだろう? 今の社長は、十七階の橘さんだ」 すぐに誰かが尋ねた。「副長、さっきの電話は橘さんからですか?」 ほかの者たちも一斉に園田へ視線を向けた。 彼らはとっくにそのことを知っていた。 だからこそ、新しいオーナーから声がかかるのを待っていたのだ。 園田は頷いた。「ああ、橘さんがまさにそのつもりだ。身支度して、すぐに俺と一緒に上がるぞ」 園田は頷いた。「ああ。橘さんはそのつもりらしい。身支度を整えて、すぐ俺と一緒に上がるぞ」 ほかの者たちも、すぐに制服を整えた。 数分後、彼らは緊張した面持ちで十七階へやって来た。 オフィスに入り、本人を目の当たりにした瞬間、彼らは少なからず衝撃を受けた。 あまりにも美しい。 ビルに入っている芸能事務所の女優たちよりも、ずっと美しい。 そのとき、美月も顔を上げて彼らを見た。やって来たのは、全部で六人だった。 「隊長は誰?」 美月が尋ねると、園田はすぐに一歩前へ出て答えた。「橘さん、隊長は昨日辞めました! 私は副長の園田です」 美月は彼らに電話をかける前に、すでに名簿に目を通していた。だから、園田のことも把握していた。 ただ、彼
last updateLast Updated : 2026-08-27
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第174話 断りが分からないの?

第174話 断りが分からないの? 音は信じられない思いで目を見開いた。わざわざ自分から足を運んだというのに……この女は、それでも自分の顔を潰すつもりなのだ。 煮えたぎる怒りが、今にも抑えきれなくなりそうだった。 幸い、最後の最後でどうにか堪えた。 無理やり笑顔を作り直し、言った。「橘さん、会社はこの階のすぐ下ですよ。ほんの少し顔を出していただくだけですから!」 美月は顔を上げ、今度はまじまじと彼女を見た。 やはり、この人が売れているのか、売れていないのかには、それなりの理由があるらしい。 たとえば……厚かましくて、人の断りが理解できないところとか。 美月は手にした黒いペンをくるりと回し、ゆっくり口を開いた。「音さん、お誕生日おめでとうございます。でも、本当に時間がないの。どうか分かってちょうだい!」 またしても断られ、音の顔に浮かんでいた笑顔は、今にも引きつりそうになった。 「橘さん、本当にこの階のすぐ下なんです。ちょっと顔を出していただくだけでいいんです。そんなにお時間は取らせませんから……」 「音さん、どうして私を誕生日会に呼びたいのかは知らないけれど、はっきり言っておくわ。私は本当に時間がないの。それに……」 美月は口元に薄い笑みを浮かべ、まっすぐ音を見据えた。 「仮に時間があったとしても、どうしてあなたの誕生日会に行かなきゃいけないの? 私たち、別に親しいわけでもないでしょう?」 「もうお互いの時間を無駄にするのはやめましょう。音さん、帰ってちょうだい」
last updateLast Updated : 2026-08-27
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第175話 一人潰してほしい

第175話 一人潰してほしい 音は相手が出ていくのを見届けてから、ようやくスマホを取り出し、一本の電話をかけた…… 電話はすぐにつながった。 「音か、何の用だ?」 音はこの声を聞くと、前置きもせずに切り出した。「飛田さん、一人潰してほしい人がいるの……あの女を社会的に抹殺してやりたいの!」 電話の向こうの飛田竜(ひだ りゅう)は、わずか二秒ほど沈黙した。 やがて口を開く。 「また誰かに気に障ることでもされたのか?」 「橘美月よ。銀光ビルの新しいオーナー」 音は、飛田がこの人物について調べられないとは思っていなかった。 何しろ、これまで彼が自分の期待を裏切ったことは一度もなかったのだから。 今回は、飛田の沈黙が少し長かった。 音が苛立ち始めた頃、ようやく電話の向こうから声がした。 「二億だ」 その金額を聞いた瞬間、音は怒りを爆発させた。 「二億? ふざけた金額を吹っかけないでよ!」 「銀光ビルのオーナーだぞ。それに、蓮と関わりのある人間だ。俺が二億で引き受けるだけでも、かなりのリスクを負うことになる。高いと思うなら、それでいい。こっちだって、こんな金は別に稼ぎたくない――俺は蓮と敵対したくないからな」 音は飛田が電話を切ろうとしているのを察し、慌てて声を上げた。 「待って、分かったわ。二億で承諾する!」 二億――あの女に大恥
last updateLast Updated : 2026-08-28
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第176話 出くわした

第176話 出くわした 「ちょっと用事があるの!」美月はそれ以上、何も言わなかった。 蓮はその言葉から、彼女があまり話したくないのだと察し、それ以上深く追及することはなかった。 夫婦とはいえ、プライベートなことまで踏み込まず、嫁には十分なプライバシーを与えるべきだ。 「夜は何食べたい?」 「何でもいいわ。それに……」 美月は蓮のほうを向いた。 「村上さんが、いつも先に用意してくれてるんじゃない?」 厨房では、あらかじめ献立が決められている。 例えば煮込み料理なら、朝から火にかけていることもあるだろう。 「もちろん、追加だってできるぞ! 食べたいものがあれば、あとで厨房に言えばいい」 蓮は、今の彼女の表情があまりにも可愛らしくて、思わず手を伸ばし、美月の頭をわしゃわしゃと撫でた。 絹のように滑らかな髪の感触が心地よく、蓮の気分はすっかり上機嫌になった。 「何してるの?」 美月は頭を横にずらし、蓮の手を髪から払いのけた。 「女の頭を触るもんじゃないって、聞いたことないの?」 蓮は一瞬ぽかんとしたが、すぐに大笑いした。 「……お前、本当に可愛いな!」 それに、頭を撫でるときの言い伝えなら、それは逆だろ? 「男の頭は触るもんじゃない」――そうだろ? もちろん、蓮はそんなことを気にするような
last updateLast Updated : 2026-08-28
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第177話 なんて卑劣なの

第177話 なんて卑劣なの 美月に話しかけるときは笑顔を浮かべていたが、その目には隠しきれない嫉妬が滲んでいた。 「何か用?」 美月の声は淡々としていた。 「実は、大したことじゃないんだけど……」 「それなら、先に失礼するわ」 美月は遠慮することなく、そのまま歩き出した。 玉緒は呆然とした。 まさか、美月がこんなふうに返してくるとは思ってもいなかったのだ。 本当に行ってしまいそうなのを見て、玉緒は慌てて追いかけ、美月の前に回り込んだ。 「美月、待って!」 そして、再び笑顔を浮かべた。 「大したことじゃないんだけど、少しだけ話したいことがあるの」 「話して」 美月は淡々と言った。 その口調はまるで、上司が部下に話を促しているようだった。 玉緒はわずかに顔を引きつらせたが、すぐに笑顔を作り直し、何でもないことのように言った。 「美月、さすが今は社長ね。話し方まで、すっかりリーダーらしくなっちゃって!」 美月は冷ややかな目を向けた。 「私が社長だって言うなら、私が時間に追われていることも分かるでしょう? ほかに話したいことがないなら、もう行くわね」 さすがに玉緒の笑顔も、一瞬で消えた。 顔に怒りが浮かぶ。 だが、自分の表情がまずいこ
last updateLast Updated : 2026-08-29
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第178話 復讐したいか?

第178話 復讐したいか? 玉緒は、彼女が本当に通報すると聞いて、本当に慌てた。 彼女はあっさり折れた。「ごめんなさい!さっきは言い過ぎたわ。許して!」 美月は冷ややかに笑った。「今日のことは、ひとまず問わないでおくわ。次にまた、あちこちで好き勝手なことを言ったら、容赦しないからね」 そう言い終えると、玉緒の真っ青な顔も構わず、そのまま歩き去った。 一方、その場に立ち尽くした玉緒は、去っていく背中をじっと見つめていた……その眼底には恨みだけが満ちていた。 ちょうどその時、後ろから声がした。「復讐したい?」 玉緒はその言葉に驚き、勢いよく振り返った。 そこに立っていた女性を見て、玉緒は思わず息を呑んだ。 「詩穂……」 もちろん、目の前にいる桐生家のお嬢様を知らないはずがない。 何しろ、家柄も金も美貌も兼ね備え、学校でもひときわ目立つ存在だ。自分のような家柄では、とても気軽に近づける相手ではない。 「さっきの言葉をもう一度言うつもりはないわ。聞こえなかったわけじゃないでしょう? 一つだけ聞くわ。復讐したいの? したくないの?」 詩穂の表情には、高慢さだけでなく苛立ちも滲んでいた。 玉緒には、桐生家のお嬢様が美月とどんな因縁を抱えているのか分からなかった。 ――できることなら、巻き込まれたくない。 詩穂は、玉緒の迷うような表情を見ると、すぐに冷笑した。 そして、そのまま踵を返して立ち去ろうとした。
last updateLast Updated : 2026-08-29
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第179話 綾瀬と宇野

第179話 綾瀬と宇野 冴は握手を返し、新しい上司の手の力強さを感じ取った。 「ありがとうございます、社長!」 美月は一人目の採用を終えると、残りの五人を見渡した。 「社長、私は宇野行と申します!」 「こんにちは。入社を歓迎するわ。これからあなたが警備隊長よ。警備隊の全員をあなたが管理してちょうだい。私からの要求は一つだけ――ビルに入る人は全員、受付で記帳してもらうこと。出入りのルールを決めて、あとで私に見せて」 もともと美月は、自分の会社にも警備員を二人ほど置いておくつもりだった。 だが、今考えてみれば、その必要もなさそうだった。 一階の警備がしっかりしていれば、こちらにわざわざ人を配置する必要はない。 行はすぐに頷いた。 「承知しました、社長!」 美月は残りの者たちに目を向けた。 「皆さん、ようこそ。まずは宇野隊長と一緒に綾瀬さんとこで入社手続きを済ませて。それから下の総合監視室に行って、仕事に慣れてね。勤務時間は自分たちで調整していいわよ」 「それから、具体的なシフト表の作成は宇野隊長にお願いする」 美月は、こんな細かなことまで自分で手配するつもりはなかった。 それぞれの職位には、それぞれに相応の権限を持たせるべきなのだ。 行はすぐに答えた。 「承知しました、社長!」 「それじゃあ、まずは入社手続きを済ませましょう。綾瀬さんの席は、当面は隣に用意してあるわ。契約書の雛形はあとで送るから、あなたも自分の入社手続きを
last updateLast Updated : 2026-08-30
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