あたし、見ちゃったの。 夜遅くに、お母さんがお兄ちゃんの部屋に入って行くのを。 それだけじゃないわ。 お母さん、お兄ちゃんがお風呂に入っているときに、わざと入って行っていたでしょう? ……何をしていたのよ。 お母さんのお兄ちゃんを見る目。 あたしはずっと分かっていたの。 お母さんは、お父さんよりもお兄ちゃんが好きなんだって。お母さんは、貧乏が嫌だったからお父さんと再婚したのよ。お父さんだって、そうでしょう? 自分では家事が出来ないからお母さんと再婚した。愛情とかじゃないのよ。初めから。そんなの、分かっていたわ。 ねえ、お兄ちゃん。 お兄ちゃんは、お母さんのことが嫌だったんでしょう? ほんとうは迷惑だったんでしょう? そうでしょう? お兄ちゃんが好きなのは、あたしでしょう? あたしには優しかったもの。 ねえ、あたしがお父さんに言ってあげる。 お母さんのこと。 だから、家に帰って来て。 お兄ちゃんが中学校にいたとき、大変だったことも知っているのよ。部活の先輩から教えてもらって。ジャージとかが盗まれたり隠し撮りされたりしていたって。すごい人気で。……すごい人気だったのは、あたしも知ってるわ。一年生のとき、お兄ちゃん三年生だったもん。あたし、自慢だったの、お兄ちゃんが。 お兄ちゃんはでも、彼女を作ったりしなかった。むしろ、女の子たちを遠ざけていた。……だけど、あたしのことは特別だったじゃない。先輩にも言われたの。聖羅ちゃんは千颯先輩にとって、特別なんだねって。 ねえ、お兄ちゃん。 もう心配しなくてもいいの。 あたしたち、一緒にいられるわ。 お母さんのことは、あたしが何とかする。 それに、大学では中学校みたいなこと、ないんでしょう? あと、あたしがいれば、きっと女除けになっていいと思うの。そうでしょう? あたしはお兄ちゃんの特別な女の子なんだから。一緒によく二人で話をしたじゃない。 …&h
Read more