高級セダンは、そのまま都心でも指折りの高級ショッピングモールへと向かった。すでに深夜だというのに、館内は昼間のように明るく照らされている。玲司は俊太のために、限定生産の豪華客船模型を購入した。その価格は、一般家庭なら半年は暮らせるほどの金額だった。「やった!パパ最高!」模型を抱きしめた俊太が歓声を上げる。その呼び方に、玲司は思わず目を瞬かせた。今まで自分は、「パパ」と呼んでいいと、俊太に言ったことはない。すると奈帆が、困ったように俊太の額を軽くつつく。「もう、俊太ったら。玲司おじさんは優しいけど、『パパ』と呼ぶのは――」「別に構わない」奈帆の言葉を玲司が遮った。「呼びたければ好きに呼べばいい」そう言って奈帆へ向けた眼差しは、どこまでも柔らかい。奈帆は感激したように微笑み、その胸元へそっと身を寄せた。寄り添う三人の姿は、誰が見ても幸せな家族そのものだった。三人が家へ戻った頃には、すでに午前二時を回っていた。家の中は真っ暗で、人の気配もない。玄関に立った玲司は、わずかに眉をひそめた。いつもなら千歌が家の中を整え、遅く帰る日でも明かりだけは残してくれていた。そのことを思い出した途端、なぜか胸の奥がさらに苛立つ。まただ。あの親子は、いつもこうして気を引こうとする。見つけたらきちんと言い聞かせなければならない。二度とこんな真似ができないように。その夜――玲司は寝室のベッドに横になっても、なかなか眠ることができなかった。天井を見つめていると、クルーズで真人が口にした言葉が何度も耳の奥によみがえる。――「いらない。そのプレゼント、ぼくはいらない。もう、みんなと一緒に誕生日を祝うこともないから」今日は真人の五歳の誕生日だ。これまで一度たりとも、息子の誕生日を祝ったことはない。今回も、本来なら誕生日パーティーを開くつもりなどなかった。だが、千歌たちを懐柔し、腎臓と角膜の移植を進めるため――その目的があったからこそ応じたに過ぎない。だが、ふと過去の光景が脳裏に浮かぶ。毎年真人の誕生日になると、千歌は手作りのケーキを持って会社までやって来た。そして、彼の分と真人の分を丁寧に切り分ける。「パパも食べてね、ママが作ったケーキ……すごく美味しいから」小さな真人が、遠慮がちに、それでも期待に満ちた
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