All Chapters of 暴君幼女は愛されたい!: Chapter 11 - Chapter 20

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第一章 第11話 アリシア、Sランクスキルを手にする

「さあ、スキルを解放しなさい。これが、あなたの人生を豊かで刺激のあるものに変えてくれることでしょう」 ミィシェリア様の手の中にあるスキル玉が、より一層強い光を放ち出す。  わたしはそれを落とさないように両手で受け取った。 わたし、今度こそ楽しい人生を送りたい。 人並みで良い。恋愛もしてみたいし、誰かの役に立つような仕事がしてみたい。  まずはママに楽をさせてあげたい。 それとあわよくば不労収入で田舎に大きな家を建てたりして、悠々自適に暮らしたい。お金にものを言わせて美男美女を集めたハーレムを作りたい。わたしにかしずかないヤツは公開処刑じゃー! 絶対王政を復活させるのじゃー!「豊かで刺激のある人生……」「いや、最後のところは違いますよ? 田舎で悠々自適に過ごすところまではギリギリ許します。絶対そこまでですからね⁉ そしてくれぐれもハーレムの想像の中に私を入れないように!」 うーん。だって知ってる美女はミィシェリア様とワーウルフのシールケちゃんとバンパイアのルースちゃんくらいだし……。美男は……今のところちょっと心当たりないや。「早くスキルを解放しなさい。かなり時間も押してますから」「はーい。どんなスキルかな、と」 スキル玉解放っと! うぉぉぉぉぉ! これは⁉「レア度S『創作Lv1』……レア度Sだと……」 存在したんかワレェ⁉「スキルがすべてではありませんが、このスキルがあれば、生活に困ることはないでしょう」 ミィシェリア様がわたしの頭にそっと手を乗せてくる。  いや、生活に困るとか困らないとか……レア度Aでも100年ぶりなのに、レア度Sっていったい⁉「転生者の中にはレア度Sのスキルを所有する者はいます。ただ、基本的には転生者は目立たないように生きるため、その事実が明らかにはなっていないのです」 ふーん。そういうものかあ。  田舎に引っ込んでスローライフを送っておけば安心安全ってことなのかな?「レア度Sのスキルを所有していて最も目立った人物といえば、パストルラン王国初代国王のカイランド=パストルランでしょう」 マジ伝説の人じゃん……。  どこからともなく突然現れて、数百年も内乱状態だったこの島をあっという間に1つにまとめ上げて王国として成立させたという伝説の国王様。勇者カイランド。「ほ、ほかには……?」「そう
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第一章 第12話 アリシア、お宝をゲットする

 そっかそっか。  創作する前に構造を把握するのね!  確かにその使い方のほうが良さそう! えーと、まずは木のほうを把握してみましょうかね。  材質はニセアカシア。別名ハリエンジュ。……ハリエンジュって何? 別名とか言われてもまず本物のアカシア持ってこい!  それと……パストルラン王国内に広く分布している。加工しやすい材質のため、家具や食器等、幅広く利用されている。  なるほどね。加工しやすい木ってことね。なんとなく理解。 続いて羽根ー。  女神ミィシェリアの翼の一部。ミィシェリアと常に接続されており、永続する女神の加護を有する。加工方法は参照不可。  また参照不可かあ。レベル上げないとなあ。  しかしこの「常に接続されている」ってなんだろ。無線LANみたいなものかな? もしもし、ミィちゃん。聞こえますか?    小声で羽根に話しかけてみる。「なんですか? くすぐったいので羽根に息を吹きかけないでください」 ほう? 無線LANじゃなくて感覚までつながってるんだ?  ならば、コチョコチョコチョー。「きゃふっ! や、やめなさいって言ってるでしょっ!」 ミィシェリア様が身をよじってくすぐったがっている。  ふむ……なるほどね。  ということは、ここかな? ここがいいのかな? それともこのあたりかなー? ママを5秒で寝かせるわたしの超絶マッサージテクニックをフル活用しませう!「なひゅっ……はぁふっ……あはぁはぁ……やめ……もうやめ……てっ……んっ」 ふーむ。なかなか寝ないな。  なんだか気のせいか、吐息がエロい……。汗をかいてテラテラしてきてる。……ちょっと記録しておきたいな。そうだ、カメラとか作れないかな……。レンズがあれであれして、んー、だいたいの構造はわかるんだけど、屈折とか専門じゃないからなあ。うー、わからないところは良い感じに魔法制御とかにならないかな。うん。最終結果が印画紙で出るようになればそれでいいや。 なんとなくいけ! スキル:創作! お、おお? それっぽいのができた。  インスタントカメラ(謎の魔力駆動)の完成だー!  ……あ、やば。めまいがする……。うぉ……MP1500も持ってかれてる。材料なしで構造もあいまいだとこうなるのか……。  でもちゃんと撮影さえできれば、
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第一章 第13話 アリシア、神殿を出る

 他に何か話題ー、話題ー。メガネメガネー。あ、レンズ、カメラ!「このカメラって持ち歩くの邪魔だなー。なんか異世界ファンタジーの定番のアイテム収納ボックスってないかなー。ミィちゃーん、ギフトスキルの壺っていかにも『別空間につながってて無限に収納できます』って構造表記だよね」 ミィシェリア様の追い出し攻撃が一時的に止まる。  やったかっ⁉「そうですね。アリシアの想像しているものに近いと思います。構造把握のレベルが上がって、正しく構造を理解することができれば創作することも可能でしょう」 いつかはわたしでも創作できるってこと?  だけど今すぐにこのカメラをしまいたいんだよねー。どう見てもこのカメラって、この世界ではオーパーツ的な何かじゃない? 持ち歩いて目立ちたくないなー。チラチラ。「つーん」 あ、露骨に無視してくるんだー。  ミィシェリア様ってば、冷たいんだー。  ほーほー、それならこちらにも考えがありますよーだ?「わかりましたー。ではここに取り出したる現像済みの1枚の写真。これをハゲとほかの信徒の皆様にも見ていただきましょう。そしてみんなで、エロかわいいミィちゃんを崇め奉ることにしますね。ではお世話になりましたー。ありがとうございましたー」 ふーんだ。「ちょっとお待ちなさい……。それはなりません。わたしは断じてそのような顔はしていません。捏造です」 ミィシェリア様、肩つかまないで?  力強すぎ。めっちゃ痛いよ。「でもー、写真って前世の言葉だと、真実を写すって書くんですよね。つまり、これがミィちゃんの真の姿! ミィちゃんはエロ女神様だぁぁぁぁ!」 でもちょーっとエロ過ぎて刺激が強いから、男性にはその顔を見せちゃダメだよ? あのハゲに見せたら……襲われるよ?「エロ女神って言うんじゃありません! ……わかりました、もう、わかりましたから。このアイテム収納ボックスを差し上げるので、さっさとカメラを収納してお行きなさい」 ミィシェリア様は渋々といった表情で、壺の中から革製の小さなショルダーバッグを出してくれた。その壺、ギフト玉以外も入ってるんだ?「おお、これがアイテム収納ボックス! ありがとー!」 わーい、わーい。  異世界チート主人公の9割が所持している(当社調べ)便利グッズだー!  ねえねえ、収納中は中の時間も止まる
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第二章 第1話 アリシア、トラブルに巻き込まれる

「フハハハハ。わたしは仮成人様だぞー!」 街を出て家に帰る途中。街道に敷かれた砂利道を歩きながら、ちょっと叫んでみたりした。もちろん、周りに誰もいないか確認したけどね。 やあやあみんな、アリシア様がご帰宅なさるぞよ! むむ? この草は復活草かな……。  スキル:構造把握! なんだ、ただの雑草か。あ、でもこれは薬草だ! こっちは毒消しに使えそう。ほかにもいろいろ使えそうな草があるから集めておこう。お? もしかしてこの光る石コロはオリハルコン……じゃなくてただの花崗岩か……。 うんうん。仮成人ともなると、見える景色が違ってくるね。 わたしにわからないことなど何もないのだよ! ミィシェリア様にいただいたスキルは『交渉Lv1』『構造把握Lv2』『創作Lv1』の3つ。それとアイテム収納ボックス付きステキなショルダーバッグ。さらにさらに、ミィちゃんの羽根! あとはー、勢いで作ったインスタントカメラとミィちゃんのちょっとエロい写真もあるか。もう何枚か撮っておけば良かったなー。今度こっそり撮ろう。 んー、これを使って何しようかなー。 パストルラン王国って、前世の文明基準で言うとかなり遅れているっていうか、戦前くらいだと思うんだよね。特殊なスキルや魔法があったり、人間以外の種族もいたりするけど、カメラみたいな電子機器はぜんぜんない。手動の機械はちらほらあるけどー、自動の機械はまったくないから、電子機器どころか科学や数学もまだまだって感じ? たぶんそっちの知識を活かして発明みたいなことをしちゃうと、目立ちすぎてやばいんだろうなってことはわかる。目立たず楽してお金稼ぐには何が良いかなー。 ん、おや? あれはなんだろか? 街道の先で何やら声が聞こえてくる。 時々叫び声というか、怒っているというより嘆いているというような。うーん、どっちにしてもトラブルの臭い。事情はわからないけど。 正直関わりたくないなあ。 でもこの街道はしばらくずっとまっすぐな一本道なんだよね……。うまいこと愛想笑いで通り抜けられるかな。子供だし、なんとかなるかな?「だから事前にチェックしおいてくれと頼んでおいただろう……」「いいえ、旦那様。わたくしはお言いつけ通り、積み荷のリストを3度確認いたしました。間違いございません」「そうは言ってもだな。ないものはないんだ……。不測の事態
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第二章 第2話 アリシア、女神の加護を受ける

「その破れたコート。わたし直せますよ」 ちょっと破れた程度ならまあ、創作スキルでちょちょいとね。「いやしかし……魔物から逃げる折にどこぞに引っかかけてしまってな……。破れただけではなく、この通りなのだ……」 閣下が青いコートを脱いでわたしに見せてくる。「これはなかなか派手に破きましたね。しかも大きな穴が開いてるー」 あちゃー。引っかけた時に割けただけじゃなくて一部欠損しちゃってるね。だけど、めちゃくちゃ凝った刺繍が施されているわけじゃないし問題なし!「直せますよ」「そんな、まさか……」 バカなことを言うな、と言ったところかな? 驚きつつも奇異の目で見られている感じだ。こんな子供が何を言い出すんだと思ってるでしょー。「ええ。わたし、この度仮成人となりまして。女神様よりギフトスキルをいただいております。もともと『裁縫』は日常的に教育されておりましたので、この程度の繕いものであればすぐにでも」 ということにしておこう。 さすがにレア度Sの『創作』スキルで作り直しますとは絶対に言えないからね。「『裁縫』のスキル持ちか。それは心強い。さっそくコートを持って街に――」「この場で修復可能ですよ」「バカなっ! 設備も材料もないこの場で、だと⁉」 とうとうバカなって言っちゃったよ。マジウケるー。まあ、そこは深く考えなくてもいいじゃないのよ。緊急事態なんでしょ? おじさんちょっと理屈っぽいよ?「少し馬車の荷台をお借りしますね。集中して対応しますので、できれば覗かないでいただけますと」 まるでケンファーの隠れ宿ってところね。前世風に言うと鶴の恩返しってやつかな? 『創作』スキルの発動中は見られたくないもんね。見ただけでいきなりレアスキルだってバレることはないとは思うけれど、念には念を、ね。ミィちゃんの言いつけ通り、ひっそり生きないといけないし?「お、おう。わかった……アリシアにすべてお任せしよう。セルフィも荷台には近寄らないように」「承知しております」 うむ。セルフィおば……おねえさん、大変けっこうな巨乳なのに聞き分けが良くて助かりますわ。デスノートから名前を消しておきますね。「では、コートをこちらへ。閣下たちはそちらの木陰でお休みになっていてください」 閣下からコートを受け取ってから、荷台へ登る。 さて、コートを直すのは簡単なんだけど、
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第二章 第3話 アリシア、やり過ぎたのをごまかす

「閣下。コートの修繕できましたよー」 馬車の荷台を下りつつ、閣下に声をかける。その声に反応し、閣下が木の陰からこちらに向かってくる。「なんと手際のよい! して、繕いは成功したのか⁉」「はい、こちらに。欠損部分はスキルで補っておきましたので、一応デザインに間違いがないかなど、ご確認いただきたいです」 わたしは恭しく頭を下げつつコートを差し出した。 まあ、自信あるけどね。ふふん♪「こ、これは……」 そうつぶやいたまま、閣下がコートを手にしてかたまってしまった。 あれ、なんか間違った⁉「何か問題がございましたでしょーか?」「コートが新品……いや、新品以上に上等な……これはいったいどういうことなのか……」「あ、それはその……材料の欠損部分を補う必要がございまして……。裏地やら何やらをちょいちょいと……そう、すべて、女神ミィシェリア様の加護による『裁縫』スキルの効果です!」 それで押し切る! もう細かいことはいいじゃん、何とかなってるでしょ⁉「しかし……この金糸、銀糸の輝き。王宮でも目にしたことはない……」 再構成した時、金の含有量とか間違っちゃったかな? まあ、その辺に落ちてた石ころから適当に抽出した金だし、元手かかってないし、細かいことは気にしなーい!「閣下、そんなことよりもお急ぎなのでは? 刺繍に問題がないのでしたら、それを着て急ぎ式典の場へ」「おお、そうであったな! 非常に助かった。シルバ村のアリシア。礼は後日必ず!」 閣下がわたしに向かって一礼し、馬車へと飛び乗る。「旦那様……馬が……」 セルフィおねえさんが泣きそうな声を上げる。心なしか胸の張りも弱々しい気がする……。 見れば馬はへたり込んだまま。息がすごく荒い。さっきより状態が悪くなっていそう。どう見ても馬車を引けるような状態じゃないなあ。「せっかくコートを直してもらったというのに、馬がこれでは間に合いそうもない……」 閣下ががっくりと肩を落としてしまった。なで肩になりすぎて、ちょっとコートがずり落ちていた。 うーん。せっかくコート直したのになあ。でも諦めるのは早いよ。もうちょっとだけがんばろう?「式典の時間までまだ半時あるのではないですか? 歩いていけば何とかなる時間ですよ」 馬と馬車はこの場に置いていくことになるけれど、それよりも式典に出るほうが大事です
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第二章 第4話 アリシア、世界を狙う

 馬以外が馬車を引いて走る……つまり馬車が自走すればいい! 馬車が勝手に走るとなると、イメージ的にはソリかな? 馬も馬車もぜーんぶ乗っかる大きなソリ。それで雪の上を滑っていけば、馬が走らなくても馬車を運べるよね。 でもここで大きな問題が……。まだ雪の季節じゃないのよねー。 んーと、自力で馬車の荷台部分が走る……となるとやっぱりエンジンが必要かなー。自動車のイメージ。 そうだ、ソリにエンジン付けちゃおっかな♪ 魔力のジェット噴射で石畳の上を滑っていくジェットスキーにしちゃお♡ あ、でも、石畳も砂利もごつごつしてるし、ここから先舗装されていない道も多いから、ジェット噴射だけじゃまっすぐ走れないかなあ。 問題なのは床のでこぼこだよね……。 そっか! 地面が雪みたいに平らで滑らかならいいんだ! 地面を魔力の波で覆って、そこを滑ればいいってことー。ジェットスキーの下にも魔力の膜を敷いて、魔力の波同士がそれぞれ反対方向に流れるようにしよう。どっちも同じわたしの魔力同士なら摩擦係数を限りなく下げられるはず? わたし天才だわっ! よーし、作らなきゃいけないもののイメージはできた! ちょうどいい感じの倒木があるからこれを加工して使っちゃおう。ラッキー! スキル:創作! 大きな音を立てないように、そっと倒木を加工して板にしてー。うーん、塗装にこだわってる時間はさすがにないよね。かわいくはないけど、実用重視で! 抵抗を減らす流線形のデザインと、魔力噴射器を取り付けられるように穴をあけてー。 うーん。穴開けちゃうと木材はさすがにちょっと強度に不安があるね……。魔力を流した途端にバラバラになっちゃいそう。 やっぱり金属で加工したいな。っていうか、魔力噴射器も金属で作らないとまずいよね。 えーと、金属金属……街道の石からまた金を取り出すかなー。ホントは強度的にはステンレスとかほしいところだけど、金のほうが魔力伝導率は高いし、とりあえず金でもいいかな。 というわけで完成しました! 見てください。まあ、なんて豪華なんでしょう! 全面を純金でコーティングして、美しさと強度を限界まで上げた、その名も『魔力・波乗り式ジェットスキー☆ゴールデンスペシャル』です。 限りなく抵抗をなくす目的でデザインされた流線形がとても美しいですね。そしてその隣には、純金製の周辺機器
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第二章 第5話 アリシア、馬車を走らせる(ダウンヒルをジェット噴射でマッハ)

「ちょっと、閣下! いつまでうなだれてるんですか⁉ 早く馬車に乗ってください。急いで出発しないと式典に間に合いませんよ!」 御者台の上から大声を出して、閣下とセルフィおねえさんを呼びつける。 ああ、でも心臓が悪いんだから、ゆっくり歩いてきてね。「しかしアリシア。馬はもう走れないのだろう? いったいどうするのだ」 閣下が心配そうな声を出す。セルフィおねさんに肩を支えられながら、ゆっくりとこちらへ歩いてくるのが見える。ああっ、胸が! ばるんばるんに当たってる! ずるい!「大丈夫ですよ。わたしが少しお世話をしたら、まだ走れるって言ってます。ね?」 わたしが手を伸ばして馬の背中を撫でてやると、馬はうれしそうに体を震わせた。  うんうん、走れそうなのはわかったけど、今日はまだおとなしくね? その板に乗ってたら走らなくて済むから。 でもジェット噴射したらびっくりしちゃうよね。ちょっと眠っていたほうがいいかな。 それは閣下たちもか……。 スキル:創作! そこら辺の草をブレンドして、睡眠薬っぽい何かを作ってみたよ! 適当に薄めれば、きっと永遠に眠ることはないんじゃないかなっ⁉ わたしは御者台から飛び降りて、閣下たちを馬車の客席に乗せる介助をする。「お疲れのご様子ですね。これ、村で人気の栄養ドリンクなんですけど、良かったらどうですか? 飲むと少しの間ほわほわして、そのあとしゃっきりとした気持ちで式典に臨めると思いますよ」 にこやかな笑みを浮かべながら2人に小瓶を渡す。 うっそでーす。これを飲んでしばらくお眠りなさーい♪「おお、それは助かる……。しかし良いのかね。馬は私が走らせたほうが――」「大丈夫ですよ。わたし、慣れてますから。閣下は式典までの時間、少しでもお休みください」 立ち上がろうとした閣下を無理やり座らせる。 寝ててくれないとジェット噴射できないですからねー。「さ、飲ーんで飲んで飲んで、飲んで♪」 わたしの催促(コール)に、閣下とセルフィおばさんは顔を見合わせてから、小瓶に口をつけた。 はい、2人仲良くおやすみなさい。でも肩を寄せ合って眠るのはダメよ? ん……記念にちょっとだけ揉んでおくか……。いや、さすがにそれは人として……。んんーでもちょっとなら? ああ、ごめん。ウソウソ。今のは冗談だからね? お馬さん、怒らないで! キ
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第二章 第6話 アリシア、自分探しを始める

 閣下、無事に式典に出られたかな? 式典に出席というくらいだから、きっと偉い人なんだろうなあ。 わたしは夕暮れ時の終わり、もうだいぶ日も陰った街道を1人歩いて帰路につく。  仮成人になったはいいけど、この先どうしていったらいいかいまいちよくわかっていない。前世でも学生のまま死んじゃったから、結局社会には出てないし。もう少ししたら家を出て働いていかないといけないんだよね……。 1人になったら急に不安になってきたよ……。 そうだ! 迷った時には相談してこいって言ってたよね! 羽根をカバンから取り出し、ミィちゃんに話しかける。(というわけで、ねぇミィちゃん。わたし、誰かに養ってほしいんだけど、どうしたらいいと思う?) 『アリシア……あなたまたですか? 今度はなんですか?』 またため息ついてるー。 そんなだからハゲの司祭にしか相手にされないんだよー。『だれが行き遅れですか! 司祭は神殿の管理をしているだけで、私は司祭と一緒に暮らしているわけではありませんよ』 そこまで言ってないけど……浮気しないでね?『私はあなたの恋人でも友だちでもありませんよ……』 照れちゃってもう♡ あ、そうそう。そんなことよりさー、ミィちゃんに聞きたいことがあってね。『なんでしょうか?』 これからわたしはこの先何をして生きていけばいいのかなーって。仕事とかー。『漠然としていますね。玉の輿に乗りたいのではないのですか?』 うん、まあそうなんだけど……。まだ10歳だし? ちょっと社会に出て働いてみて、それから玉の輿でもいいのかなって。モラトリアム的なサムシング? 前世では就活失敗したから……。『前世の成人年齢は18歳でしたね。記憶が混乱しているのかもしれませんが、パストルラン王国では人族の成人年齢は15歳です。通例では13歳で親元を離れ、独立して生計を立てることになります。そこまで時間的に余裕はないと思いますが』 それはわかってるよー。でも、まだ3年はあるわけだから、その間に何か準備的なことをしておきたいなーって。『やりたいことがわからない。やりたいことを見つけたい。自分探しをしたいということでしょうか?』 そう、それ! さっすがーわたしの女神様♡ 楽しいことは好き。苦しいことは嫌い。だけど具体的に何したらいいかって考えると、何にも浮かんでこないの……
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第二章 第7話 アリシア、住み込みで働き始める

「おまえさんがアリシアだな。今日からよろしく頼まぁ!」「へい、親方! お世話になりますっ! オスッ!」 ミィシェリア様の紹介ということもあり、そこからはとんとん拍子だった。 わたしは、アザーリンという革職人の親方のもとに住み込みで働かせてもらうことになった。弟子入りのための試験みたいなものは何もなかったけど、この世界ではそういうものなのかな? ちなみにアザーリン親方は街の市場近くで雑貨屋を営んでいる。同じ敷地内に工房、兼住居もある。つまり親方は職人であり商人でもあるわけ。 今は工房の中を一通り案内してもらったところだ。 革職人とは言いつつ、繊維にも造詣が深いようで、機織り機みたいな機械も置いてあるし、手縫いの刺繍がいくつも飾ってあった。さすがに金属加工はやっていないようで、火が入った炉などはなかったけれど、手広くいろいろな加工や修理なんかも請け負っているみたい。「はっはっは、元気だな。いろいろな機械がめずらしいか? 坊主……じゃない嬢ちゃんか。ミィシェリア様から『見込みがあるからかわいがってやってほしい』と、ありがたいお言葉をいただいているからな。俺に任せとけ!」 おい、今どこ見て坊主って言った⁉ 親方と言えどもアリシア様のナックルパンチが火を噴くぞ⁉「あなた、立ち話もいいですけれど、案内が終わったならお部屋に案内してあげないと。荷物も運んで……あら? アリシア、着替えや裁縫道具は家から持ってきていないのかしら?」 スーズさん、親方の奥様が手ぶらなわたしを見て不思議そうな顔をする。手ぶらと言っても、手に何も持っていないっていう意味だからね? 手でブラジャーをしているわけじゃなくて……お? まだ必要ないだろって言ったヤツがいるな? 今すぐジェットスキーで市中引き回しの刑に処すわっ!「アリシア?」「あ、はい! 荷物はカバンにすべて入れてきました! 修行の身ですから、ゼイタクは敵です!」 ウソでーす! 全部アイテム収納ボックスに入れてきました! 修行するふりして贅沢三昧でゴロゴロして暮らしていきたいでーす!「そう? それならいいのだけれど。あなたお部屋に案内してあげて」 スーズさんは椅子に腰かけたまま親方に指示を出す。まったく動こうとしない。親方、尻に敷かれてるのかな……。「おう、こっちだ。ついてこい」 親方の手招きに応じて階段を登る
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