All Chapters of 暴君幼女は愛されたい!: Chapter 21 - Chapter 30

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第二章 第8話 アリシア、油絵に挑戦する

 ミィちゃんの祭壇んんんんん! やばい、どんなのにしよう⁉ 部屋のリフォームにMP使いまくっちゃったからなあ。MPは省エネで、手持ちの素材を使ってなんとかしたい。でも、貴族様にも負けないような豪華な祭壇にしたい! となると――。「純金製かな?」 余ってる素材が純金ばかりって……いろいろバグってる気がするけど、仕方ないのよねー。 ここパストルラン王国では、金の抽出はまだ技術として確立されていないみたいで。どうやら砂金が主な金の採取方法らしいのよね。街道にこれだけ山金が含まれた石が打ち捨てられてるところを見ると、おそらくこの辺の山からはかなりの量の金が取れそうな気配なんだけど。 つまり1人ゴールドラッシュ!  わたし的には一攫千金待ったなしでうれしいけどね!「さてさてー。あんまり大きい祭壇を作っちゃうと、スペース的な意味で生活に支障が出るから、コンパクトめになっちゃうけど、ミィちゃん許してくれるかなー?」 その代わり中身はうんと豪華にするからね! ミィちゃんのエロ写真と、エロいフィギュアを作って飾ろう。んー、でも羽根は持ち歩きたいから飾るのはやめとこうかな。『おほん。あの写真を人前に出すのはやめてくださいね』 あ、ミィちゃん! こんにちはー。『はい、こんにちは。アリシアは元気に挨拶ができて偉いですね』 ミィちゃんのほうから話しかけてくれるなんて、とってもうれしい! もしかしてわたし、これから告白される? 体育館裏に呼び出しなの? 伝説の木の下なの?『違います。写真は禁止ですと伝えるために……』 えー。あれ、めっちゃエロいのにー。『私は女神ですから。エロさは求めていないのです。そういう目で見られると……神性が下がります』 ふーん。そういうもんなんだね。女神様も大変だ。 サキュバスとかインキュバスって神様じゃなかったっけ?『それは魔族の類ですね。神性はありませんよ』 そっか。 ミィちゃんもそんな感じの表情してたから、女神様の仲間なのかと思っちゃった。『失礼な。私のことを性的な目で見ているのはアリシアくらいですよ……』 そっかなあ。そんなことないと思うけどなー? だってこの間、神殿出る時、ハゲがミィちゃんの石像をペロペロ舐めてたよ?『何ですって⁉』 わたしが「司祭様なにしてるんですかー?」って尋ねたら、慌てふためきなが
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第二章 第9話 アリシア、急用を思い出す

 部屋の片付けも終わったし、立派な祭壇もできた。 ミィちゃんをイジっ……お話しして心も体も潤ったね! じゃあ、親方のところに片づけ完了の報告に行きますかねー。 その前に、念のためセキュリティチェック! 360度結界ヨシ! オートロックヨシ! 即死罠の作動ヨシ! うんうん、バッチリだね。 これで上からも下からも、何人たりともわたしの部屋には侵入はできない。 ミィちゃんの1/8フィギュアが盗まれたら困るからね。それと、こっそり作っておいた、1/1抱きミィちゃんもベッドに寝かせたままだし。 わたしも今日から1人で寝るのかあ。 もうすっかり大人だなー。まあ、抱きミィちゃんがいればさみしくないよね。本物のミィちゃんと一緒に寝られるようになるまでのガマンガマン♡ 階段を下りて1階に行くと、親方の奥様スーズさんがお茶を淹れているところでした。立って動いてるの初めて見たかも。「部屋の片付け終わりました!」「あら早いのね。小さいのに1人で片付けられてえらいわ」「ありがとうございます。わたし、このあとどうしたらいいですか? 親方は――」 親方の所在を確認する。 辺りを見渡しても親方の姿は見つけられない。「ああ、あの人なら隣よ。この時間は店番をしているわ」「そうなんですか! 職人さんだからずっと工房にこもっているものかと思ってました」 店番なんて下っ端の弟子にやらせればいいのに。 スーズさんは小さく微笑むと、わたしの前にティーカップを置いてくれる。 スーズさんは……Tカップ……はないな。わたしの構造把握によると、Hカップ。だいぶすごい! まあ、その分、横幅もだいぶすごいけれども……。ミィちゃんみたいに細いのに巨乳なんて人はなかなかいるはずもないよね。って、スーズさん太ってるわけじゃないぞ! お腹に人間が! 赤ちゃんだぁ! しかも双子⁉「本当はそうさせてあげたいんだけどね。私が前みたいに店番できれば良いんだけど……」 そう言いながら、スーズさんは愛おしそうにお腹をさすった。「なるほど……わたし、店番やりますよ!」 スーズさんは太っているわけじゃなかったよ! 身重な体で長時間の店番はつらいから、親方がその分も働いて……なんて羨ましい夫婦愛なの! ああ、わたし、こんな家庭に生まれたかった……。スーズさんの子供に転生したいなあ。双子の妹に転
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第二章 第10話 アリシア、街で絡まれる

 ローラーシューズに魔力を充てんする。 レッツゴー! ばびゅーん♪ まばらに歩く人の脇をスイスイ避けながら、ローラーシューズで軽快に移動する。 楽ちん楽ちん♪ 自動で滑るって快適だなあ。 ん、もちろん街中で最高速度を出したりはしないよ? 大人の早歩きくらいの速度に自重するってばー。わたしだってぶつかってケガしたくないもん。 それにしてもみんなジロジロ見てくるわーね。やっぱりわたしがかわいいからかな? いやん♡ これって『交渉』のパッシブ効いちゃってるってことー? 急に告白されたらどうしよう! お金持ってる人なら……でもどうしよっかな! もうゴールしちゃう? まだ『交渉』はLv1だけど、そろそろレベル上がらないかなー。ね、ミィちゃんの加護まだー?* * * ほどなくして目的地の市場につきましたよーと。 一本道で助かった……。方向音痴じゃないよ? 領主のガーランド伯爵様のお屋敷にそこそこ近い場所に、この街の市場はあるのです。ちなみにこの街は、領主様のお名前を冠した『ガーランド』という名前だよ。紹介が遅れたかな。 市場にもっとも人が多い時間帯は、朝市の時だけど、昼間もわりとにぎわっているのが特長かな。王都からは少し遠い場所にあるガーランドだけど、大きめの街道がいくつかぶつかる場所にあるので、行商人たちが集まりやすい良い立地なのだ。 つまりー、昼間でもめずらしいものがいっぱい売っているわけでー。ママの買い出しによくついてきてたからわたし知ってるんだ! 日用品や食料以外にも鉱石や装飾品、この辺りでは取れない香辛料なんかも売ってるお店があったりする。 だけど今日のお目当てはそんなのじゃなくて――。「おい、道を開けろ!」 なんだろ? 妙に騒がしい。いつもと雰囲気が違う。何かトラブルかな?「しっかし、しけた市場だな。流通量も少ないし、質も悪い。田舎街の市場じゃ暇つぶしにもならんな~」「そうですね……。王都に比べればどの店も、ずいぶんと品数も少なく……。あまり貿易が盛んではないのかもしれません。平民たちの暮らしぶりもかなり質素ですね」「おいおい、ラッシュ。ここの田舎者たちだって生きるのに必死なんだ。俺としては必死に働いて税を納めてくれさえすればそれでいい」「そう……でございますね。スレッドリー様。大変御心が広くていらっしゃる……領民あっての国
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第二章 第11話 アリシア、説教をする

「かしこまりました。少しの間であればご案内させていただきます」 腕輪を使ってどんなことを考えているかも探らないとだしね。 さすがに隷属の腕輪を持たせたままにするのはまずい気がする……。「アリシア、助かります。よろしくお願いいたします」 おお、歯が光った。 イケメンの歯ってホントに光るんだ。「おい、アリシア。おまえ何歳だ?」「先日10歳になりまして、仮成人にございます」「そうか。俺も仮成人になったばかりだ。同じだな」 うーん。クソガギが笑っても歯は光らない。いや、そもそもイケメン風に微笑まれると寒気がするからこっち見ないでくれないかな。「そうでございますか。それはとても喜ばしいことで……」 わたし、うまく愛想笑いできてるかな……。「仮成人ともなると、本格的に仕事の準備をしたり何かと大変だよな~。俺は……とある領主の息子だから、将来領土を治める者になるんだ」「そうでございますか。それはすばらしいですね」 さっきの話を聞いてると、領民を税を納める金づるにしか思ってないヤツ。何もすばらしくないわ……。「おお、わかってくれるか。領主はすばらしいぞ。領民すべてが頭を下げてくる。一番偉いんだ税金でうまいものも食えるしな」 こいつ……。ろくでもないな。領主の親父さん、ぜんぜん教育できてないのね……。 そっとラッシュのほうを見やると、ラッシュと目が合ってしまった。 なんて悲しそうな目。 ラッシュは小さく首を振った。 あ、こっちはまともな神経の持ち主だったみたい。そっか。このままで良いなんて思ってないよね……。 しょうがないにゃあ。「失礼ながら。領民が領主を敬うのは当然のことではございません。領主が正しく領地経営をし、領民たちが健やかに過ごせるように守り、発展させるように正しく導くのが領主の務め。そして領民はそれに従うのが務め。領地の開拓を行い、借り受けた土地の利用対価として税の納付を行うのです。お互いの役割分担の話だと存じます」 …………。 あれ、無反応? ついマジの説教しちゃった……。無礼罪で打ち首? そっと逃げよう……。 と、スレッドリーもラッシュも目を丸くしてわたしのことを見ていた。 何この反応? 怒っているわけじゃないの?「アリシア……おまえ、本当に平民の子か?」「そうでございますが何か?」「難しくて半分も理解でき
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第二章 第12話 アリシア、口説かれる?

「ほ~そうかそうか。そうやって通貨は流通するのだな!」 はぁ、疲れる……。 なんで店の仕組みやら流通の仕組みやらを教えないといけないんだ……。 前世での専門は工学だったし、経済学は一般教養レベルで適当だけどいいのかな。「ところでこの街には魚を売っている店が1つもないな。なぜだ?」「あー、それはですね。ここガーランドが大陸の内陸部に位置するためです」「内陸部だとなぜ魚が売っていない?」「海が遠いため、海産物は流通しません。輸送に何日もかかると腐ってしまうためです。一部塩漬けにした海産物がありますが、加工品は高価ですので、直接専門の店に卸されたりしています。市場で見かけることはほとんどないですね。川魚など淡水魚は一部流通しますが、海水魚と違い、クセが強いためあまり好んで食べる者もおりません。結果、取り扱う店がほとんどない状態なのです」「なるほどな。王都は海が近いからか。肉より魚のほうが安いこともある」「そうなんですね。わたしも一度は王都に行ってみたいです」 魚食べたいな。お刺身とか。 前世の記憶を引き継いだせいで、助かる知識も多いけれど、食に関する知識はつらいだけなんだよね。この街にいたら……この国にいたらほとんど食べられない食材や料理ばかりの記憶だし。 自分で創作するにしても材料がないとさすがに食べ物はねー。 とくに調味料のための食材がないかどうかをチェックするためにも、こまめに市場には訪れているのだよ!「そうか~。アリシアは王都に行ったことがないのか。王都は良いぞ。広いし、市場もここの何倍もある。あとは建物が立派だな。城壁も高い」 スレッドリーは身振り手振りを使って、王都のすばらしさを教えてくれる。 貴族って普段は自分の領地にいるものなんじゃないの? そんなにしょっちゅう王都に行っているのかな。「俺たちは明日この街を立って王都に戻る予定なんだ。アリシアにも王都を見せてやろうか?」 何言ってんだこいつ。 もしかして、わたしのこと口説いてるのかな? 会ったばっかりでマジひくわー。貴族ってこういう感じでハーレム作っていくのか……。マジきつい。愛がない。体目当てとか恥ずかしくないのかね⁉「せっかくの申し出ですが、わたしは女神ミィシェリア様の信徒であり、修行の身です。修行を終え、成人になった暁には、一度王都を訪れて、見聞を広めようと思
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第二章 第13話 アリシア、初めての相手になる

 どうしても腕輪の所有者の名前が思い出せない。 一度は目にしたはずなのに……。おかしいな……。何らかの魔術で記憶を?「腕輪は早々に処分なされたほうが良いかと。すでに隷属の効果も消えているようですし」 これを手掛かりに犯人を特定するのは難しいと思う。 相手の状況判断が早すぎる。 深追いしてとんでもない目に合うのはこっちのほうだと思うから、手を引いておいたほうが良い気がする。「それとラッシュ様」 わたしはラッシュを小声で呼び、耳打ちする。「おそらく何らかの理由でスレッド様、またはロイス様、もしくはその両名ともかはわかりませんが、何者かに狙われている可能性がございます」と。 理由も目的もわからないけれど、誰かに狙われている。 この動き、ただの詐欺や愉快犯では説明がつかない動きだと思うから。「ご忠告感謝します。聖騎士ラッシュ、命に代えましても主をお守りいたします」 おおー、ラッシュさんかっこいい。やっぱり騎士様だったんだね。「街中で襲われる可能性は低いかもしれないですけど、昼間とはいえ、あまりうろつかないほうが良いかもしれませんよ。お2人は、その目立ちすぎです」 ラッシュは無言でうなずく。 身なりとか、言動とか、声の大きさとかね。お忍びならもう少し忍ぶ努力をしようね。「で、スレッドリー様。そろそろ宿に戻りましょう。夜会の準備も必要ですし」「そうか……ロイス嬢への贈り物がなくなってしまったな……」 スレッドリーが悲しそうな表情で肩を落とす。ただ友だちになりたかった、か。やり方は間違っているけれど、そこは応援したいなって思う。「スレッドリー様。贈り物がなくても友だちにはなれますよ」「そうだろうか。何かを与えるから、皆頭を下げてくるんだろう?」「そのような一方的な関係は友だちとは言えませんよ。金銭や物品の授受がなくても関係が続くのが友だちです。利害関係がなく、たとえば話をして楽しい、もっと一緒にいたいと思えるのが良い友人関係だと思います」 わたしにはそんな相手いないけどね! ボッチのくせに何説教垂れてんだよって思ってるんでしょ! あー、わたしだって友だちほしいよぉ! わたしにはミィちゃんって恋人しかいないから、早く友だちを作らないとなあ。「なるほどな。俺の話術でロイス嬢と友だちになればいいのか! なるほどな!」「その通りでござい
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第二章 第14話 アリシア、サプライズプレゼントをする

 スレッドリー&ラッシュと別れた後、わたしは一目散にお目当ての店に向かう。今度こそ邪魔されないようにね!「おじさーん。例のモノ、入荷してる?」 すでに顔なじみの店主のおじさん。この人は良いハゲだよ。「おう、アリシア。いらっしゃい。今の季節は大量にあるぞ。保管しておくのが大変で、そろそろ処分しようかと思ってたところだったよ」「おっと危ない! あるだけ買い取りたいんだけど、どれくらいあるかなー? お金足りるかなー?」「後ろの倉庫に麻袋5つ分だ。これ以上は場所を取っちまっておいておけねえ。持って行ってくれるだけでありがてえから安くしておくよ」 店主のおじさんの指さした先には、わたしの身長くらいありそうな麻袋が5つ、積まれていた。これだけあれば十分ね。商売にしようと思ったら定期的にほしいところだけど、さすがにあんまり大規模に集めると注目されかねないからねぇ。「しっかし、ガチョウの羽根なんて集めて何に使うんだ? ガチョウの羽根だと矢羽根にはならんだろう。ふにゃふにゃしていてただのゴミにしか見えない……。ま、こっちとしては引き取ってくれるだけありがてえけどな」「えへへへ。秘密ですー。工房で新製品を考えてて、それにちょっとガチョウの羽根が使えるかなーって」「研究熱心なのはえらいな。いくらでも用意しておくから、遠慮なく持って行ってくれや」 おじさんがつるつるの頭をタオルで拭う。 助かるー。今度かつらでも作ってあげようかな。 わたしはお礼を言ってから銀貨5枚を渡すと、次々と麻袋をアイテム収納ボックスに詰め込んでいく。 これだけ大量の羽根がほとんどタダ同然で手に入るなんて夢みたい。 これから冬に向かっていくし、羽毛を使ってあれこれ防寒具を作るぞー。  まずはスーズさんの羽毛布団を作っちゃおう♪ マットレス部分の材料になりそうなものはないかなあ。* * * うーん。金属類の掘り出し物はなし。今日も収穫なしかあ。 鉱物を扱っている店はほとんどなし。探鉱関連のコネも作れそうにない……。 なかなか厳しいなあ。 金属類の調達と石油の調達ができないと、前世の知識を生かしたあれこれの生産品の量産化はむずかしいね……。 MP限界まで使ってようやく1個作れるかどうかのものは、さすがに商業ルートには乗せづらい。材料も言えない製品だと、これどうやって作ったのっ
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第二章 第15話 アリシア、朝食を振舞う

 夕方からすやすやと眠り続けるスーズさんを見て、親方は仰け反るほど驚いていた。その理由を聞いてまたブリッジするくらい驚いていた。 その後は感謝されっぱなしで正直くすぐったいのなんの。 ベッド一式のプレゼントはやりすぎてしまったかもしれない……。   まあ、後悔はしてないけどね! 双子のお腹はどう見ても大変だもの。何とかしてあげたかったの! そんなわけで翌日の朝、こんな状況になっているわけよ。「お前さんが特別な力を持っていることは分かった。ミィシェリア様のご紹介だし、余計なことは詮索しない。だが、これはいったいどういうことだ……」 親方が目を見開きながら尋ねてくる。 わたしが食堂のテーブルの上に並べたものたちを見て驚いてしまったみたい。「えっと、朝食、ですけど……。奥様には休んでいただきたいなって思いまして……」 勝手に台所を使ったのがまずかったかな。「これが朝食、だと……」「えっと……はい。朝市で安かった食材を使って簡単にではありますが……たりませんでしたか……」 親方がどれくらい食べる人なのかわからないし、兄弟子2人に至っては顔すら見たことがないから、普通の大人4人分……よりもちょっとだけ多めに準備したつもりなんだけど。「逆だ逆。こんなに立派な朝食なんて見たことねぇぞ……。朝食なんてのはパンと豆のスープ、そしてミルクだ」 おっと、そうなんだ。 村で食べていたものと同じだ。 職人さんだからもっと精のつくものが必要なのかと思ってたわ。「このパンは……まさか小麦か? こんなものよく手に入ったな」「ええ、まあ。事情を話したら知り合いが安く譲ってくれたもので」 固いライ麦パンばっかりだと元気な子が産まれないかなって思って、つい小麦を……少量手に入れてから創作して増やしました。こっそり。「こいつは卵と豚肉か? どういう料理なんだ?」「それは豚肉を溶いた卵でくるんで焼いただけの料理で……」 オムレツって言葉はたぶんないよね。「か~っ! こんな高級な料理、結婚式の時に見た以来だぜ!」 マジですか……。職人さんって体力勝負だから、良いものをたくさん食べてると思ってた! もしかして、わたしの村と同じような食生活だったの? やっちゃいましたか、これ。完全にやっちゃいましたね、わたし……。足りない香辛料……コショウとかクミンとか、こっ
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第二章 第16話 アリシア、刺繍職人見習いと対決する

「以上がこの工房の説明だ。何か質問はあるか?」 朝食を終えた後、親方に工房の使い方の説明を受けていた。 まあ、昨日のうちに勝手に色々見せてもらっていたし、あんまり気になることもないけどね。「大丈夫だと思います。でも実際に作業しているところを見せてもらえたほうがイメージがつきやすいかもしれないです!」 説明だけだとワクワク感がないからねー。 親方の専門は皮じゃなくて手織物だったのね。でももちろん皮も扱うし、持ち込まれれば金属製品も修理するって話だから、わりと何でも屋さんなんだ。「お~そうか。機械類の使い方はそのうち教えるとしてだな。まずはドレフィン」「はい、親方」 呼ばれた一番弟子のドレフィンが音もなく、親方の前に歩み寄ってくる。相変わらず影薄っすいなー。イケメンで影が薄いと幽霊みたいなんだけど。幸薄そうな顔だし、幽霊先輩って呼ぼうかな。「お前がやっている刺繍をアリシアにも見せてやれ」「はい、親方」 刺繍かあ。 一応ママに教えてもらっているから、簡単なものならわたしでもできるよ。自分の服にワンポイントのキャラクターをつけたりはしてた! ほら、このうさぎの刺繍はわたしがやったんだよ!「今やっているのはこれです」 幽霊先輩が手に持っている縫いかけの刺繍枠を見せてくれる。 おお、さすが職人仕事。素人のわたしの刺繍とは違ってかなり細かい。「巾着に花……コスモスの刺繍をしているんですね」「そうです。できあがったものは隣の店舗で販売をしています」「ゆ……ドレフィンさんは、刺繍専門なんですか?」「そうです。ありがたいことに贔屓にしてくださる方も増えてきましたので、最近はこれをずっとやっています」 ていねいな仕事ぶりで、ゆっくりではあるけれど、良い仕上がりになっているように見える。固定のお客さんがついているのはとても良いことですね!「ドレフィンの課題はスピードだな。そのクォリティーを半分の時間で仕上げられたら一人前の刺繍職人として認めてやらぁ」「がんばります」 半分かあ。 なかなか厳しい条件だけど、腕はちゃんと認められているのは良かったね。「次はステンソン」「なんでやんすか、親方?」 ステンソン! まずはちゃんとしたしゃべり方を覚えろー!「お前の仕事もアリシアに見せてやってくれ」「ガッテンでやんす」 おい、ヤンス! わたし
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第二章 第17話 アリシア、調子に乗る

 さて、誰も見ていませんね、と。 材料がすべてそろっていたら、ホントに何もやることがないんだけどね。 んー、見本通り作る、かあ。 それだけだとちょっとつまらないよね。せっかくだから何種類か作っておこうかなー。 でもあんまり露骨にやると鼻につくかな。幽霊先輩がキレて暴れたら……まあ平気か。剣技のスキルを持ってたりしないよね、さすがに。持ってたら冒険者やってるだろうし。転生者でもなければわたしのほうが強いはず⁉ ふぃー、万能感はんぱないなー♪ この高ぶる感謝の気持ち、伝えたい。 ミィちゃんにお祈りしよう。(もしもしミィちゃん? わたしを最強にしてくれてありがとう♪)『アリシア……それは礼拝とは少し違うのではないでしょうか……』 そう? 細かいこと気にしないでー♪ 幽霊先輩がキレて殴りかかってきても、わからせられるってステキだなーって思ったの。職人としてのプライドも、小さな女の子に負けたっていう男としてのプライドも折れるって超ステキ!『まだ殴りかかられたわけでもないのに……とても歪んでますね……。あなたの将来がとても心配です』 スキルでも力でも勝てるのよ? 心にゆとりが生まれて世界平和だって願えちゃう。『魔王を倒したいと言っていたアリシアが世界平和ですか』 魔王を倒すなんて野蛮なことしないよぉ。一撫でして部下にできそうだもん。『もし魔王がいたら、さすがに怒ると思いますよ』 そんなまさかー。ミィちゃんじゃあるまいし! 仮にも魔族の王様でしょ? 王様が幼女に部下にされたくらいでキレたりしなくない?『魔族の王様と言えど、さすがにそれは怒ってもいいのではないかと思います。ですが、女神はそんなことでは怒ったりしませんよ』 魔王に会った時に試してみればわかるかなー。『万能感を持つのは良いことですが、自信過剰なのは少し困りものです。謙虚に、静かに暮らすのですよ。それではまた』 はーい。気をつけまーす。反省してまーす。 ミィちゃんは心配性だなあ。王様を部下にしようなんてちょっとしたジョークですよー。王様って魔剣持ってたりするんでしょー。さすがに勝てないよね。……わたしも魔剣を作ればワンチャン? 一目見せてもらえればいける? たぶん? あ、やばい。 ぜんぜん関係ないことに時間かけすぎちゃったかな。 早いところあじさいの刺繍をもっていかなきゃ
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