掛川に向かう車中で、若桐はデートに行く浮足立った気分よりも、今後のことで頭が一杯だった。 なぜなら、泊まりで休暇申請を出した時に、上司から「掛川なんかに、なにしに行くんだ?」と問われ、咄嗟に「限定品を買いに」という、意味不明な返事をしてしまったからだ。(真壁と会うのに、作れる時間は月に一度が精一杯だが……) 恋人同士として会うことを考えると、頻度が低すぎてどうなんだというレベルだが。 泊まりで出掛ける時には常に申請書を提出しなければならない職業を考えると、毎月同じ場所に行くには理由が必要だと気付いてしまったのだ。(休前日の仕事終わりに、車ぶっ飛ばして恋人に会いに行くのに。……なんでこんな色気のないこと考えてんのかね……?) とはいえ、未だ若桐の中では〝恋人〟という感覚は薄い。 真壁のことは可愛いと思っているし、手放すことなど考えられないが。 一方で、自分が真壁と付き合うことが正解だと、ちっとも思えないのだ。(止めたほうがいい理由しか、ないんだよなぁ……) 懇切丁寧に真壁に説明をした時、半ば自分への説得だったような気もしていた。 立場も、性別も、職業も。 全部が全部、付き合いが明るみに出た時に、悪い作用しか生まない。 だが──(着ていく服に悩んだ時点で、終わってんだよなぁ……) 溜息とともに、若桐はアクセルを踏み込んだ。
Terakhir Diperbarui : 2026-06-13 Baca selengkapnya