長年の知己であり、主治医で恩人の篠原から頼まれた話……を無碍にするわけにはいかない。 が、ことが見合いやら結婚やらとなれば、その人物の一生を左右する。 若桐は、静浜に戻ったところで頭を悩ませていた。 と、そこにスマホに受信のポップアップが表示される。(なんだ? 先週会ったばっかりだよな?) いつもの定時連絡にしては、タイミングが少し違うな……と思いつつ、メールを開く。『来週、会議で市ヶ谷に出張することになりました。久しぶりに響野と会うんですが、守さん東京出られます?』 若桐は、その文面をしばらく眺めていた。(響野……? あ、響野か!) 真壁がドルフィンライダーに抜擢されて松島に移った時、同じくトップパイロットとして推薦された響野は、きっぱり「俺は編隊飛行より単機でドッグファイトしたい」と言い切り、転勤希望を新田原にした。(お祭り騒ぎが大好きだもんな、あいつ……) その後も真壁との友情は続いているが、スクランブル中毒の響野は小松を経て現在は百里勤務だったはずだ。(てか、考えてみるとあいつがきっかけなんだもんなぁ) 真壁の背中を「細い」と評価したのは、響野だ。(あいつ、百合緒の背中に欲情したんだろうな……) 無神経で雑な性格の響野だが、真壁と違って一応〝情操教育〟は人並みに育っている。 真壁が〝下腹のもやもや〟の実験を持ちかけた時は、本能的になにかが駄目だと気付いて拒絶したんだろう。(下ネタ振るとおっぱいの話にノリノリだったし、確か何人かカノジョもいたよな?) 若桐は、真壁の〝会議〟の日程のスケジュールを確認した。
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