「小泉くん、彼、知り合いなの?」 二人の間に流れる異様な空気を察したのか、大和が尋ねてきた。「あ……、えっと……」「小泉がマドカに勤めていた時の、直属の上司です」 混乱が収まらない陽翔に代わって、神谷が答える。「そう……」 大和は、手の中の名刺を改めて確認するように目線を落とした。「きみが……、あの神谷さん」 神谷が眉をピクリと上げる。「わかりました。すみませんが、ちょっと失礼」 一言断りを入れてから、大和は陽翔の腕を引き、その場を離れた。「小泉くん。もし、気持ちが整理出来ないなら、先に帰社しちゃっても良いんだよ?」「あの……、なんで神谷がここにいるのか、わからなくて……」「そうだねぇ、確かに不思議だ。でも、名刺にもはっきり営業って書いてあるし、事前の連絡の時も、納品時に営業が一人付き添うって言ってたからなぁ。とにかく、彼がこの場に居るのは事実だし。きみが気分が優れないなら、無理をする必要はないんだよ?」 神谷と顔を合わせていたくない気持ちと、例のシステムキッチンを隆志が試した感想を聞きたい気持ちがせめぎ合う。「……大丈夫……です。……た……高梨さんも、いるし」「頼ってもらえるのは、嬉しいね」 眼鏡の奥で、優しく微笑んだ大和の存在が、頼もしい。「じゃあ、本当に辛くなったら、無理をしないと約束してくれる?」「はい、大丈夫です」「よし。じゃあ、仕事をしようか」 神谷は、既にシステムキッチンを設置する場を見に行っていた。 二人は、図面と見合わせながら、一緒に立ち会う。 そうして、作業が終わって作業員が帰ったあと、陽翔が庭のインナーテラスで一休みをしていると、背後
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