監視モードに切り替えたモニターには、石造りの通路を慎重に歩く一人の老人の姿が映っていた。 その姿を見た瞬間、俺は凍りつく。「……は?」 映っていたのは、前世――社畜として死ぬ直前に、俺に声をかけてきた、あのホームレスのおじいさんだった。 まさかこんな形で再会するとは。「ゼトス!」『はい、主!』「そのおじいさんの周囲から魔物を遠ざけろ! 絶対に手を出させるな!」『御意!』 ゼトスは即座に行動に移った。 そのやり取りを見ていたレイラが、不思議そうに俺へ問いかけてくる。「|主《マスター》、どうかされたのですか? あの人間がなにか?」「別になにかってわけでもないし、そんな知り合って長いわけでもないんだが……あのおじいさんには、変わろうと思う“きっかけ”をもらったんだ」「なるほど、今の|主《マスター》があるのはその人のおかげというわけですね」「ある意味な。ちょっと、行ってくる」 俺は浮遊したまま、老人の元へと向かった。 ◆ 久しぶりの対面。 老人は俺の姿を見た途端、驚愕の表情を浮かべ、後ずさる。「おじいさん、久しぶりだな」 俺は穏やかに声をかけると、言葉を続けた。「残念なことに、老い先が短かったのは、俺の方だったよ」 その言葉に、老人は怪訝な顔をしつつも、徐々にその目を見開き――「まさか……あの時の……!」 俺は静かに頷いた。「魔物払いはしてある。出口に向かいながら、少し話しませんか?」 並んで歩きながら、俺はあの後に起こったこと――死んで魔王として転生したこと、このダンジョンを任されたことなどを簡単に説明した。 すると、老人も語り出した。「わしはあの地震の時、偶然安全な場所におってな……命だけは
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