魔法陣が蒼黒く脈打つ。光が走り、雷がバチバチと弾け飛ぶ。 疲労感に耐えきれず、俺はその場にへたり込むように身体をついた。「|主《マスター》!? 大丈夫ですか!」 すかさず駆け寄ったレイラが、俺の身体を抱きかかえる。彼女の眉が、不安そうに寄せられる。「……ああ、大丈夫。少し……疲れただけだ」 息を荒げながらも、俺は魔法陣から目を離さない。 魔力が流れ出ていく感覚。ごそっと、魂ごと削られたような虚脱感。それでも俺は、期待せずにはいられなかった。 その“願い”に応えるように、魔法陣の中心から一筋の光が溢れ、小柄な人影が姿を現す。 白銀の長い髪。猫のように釣り上がった目。華奢な体格とは裏腹に、周囲の空気を支配するような威圧感。 現れたのは、腰から黒い翼を生やした一人の少女だった。 その姿にレイラは目を丸め、俺は安堵した。「……ははっ、マジで上手くいきやがった」 ぐったりとしたまま、笑みがこぼれる。 少女は無言で辺りを一瞥し、視線をヴァルトへ戻す。黄色の静かな瞳が、鋭く射抜く。「お前が私を呼んだのか。いや――今は、“主”と呼ぶべきか? 魔王ヴァルト・ノクス」 低くも凛とした、冷たい声だった。「好きに呼んでくれ。今はお前の力が借りたいんだ」 俺は言葉を続ける。「魔王――リルベア・ベルベッティ」 口にしたその名は、かつて討伐された魔王の一柱。 本来、いくつか格が上がってからでなければ不可能な眷属の“指定召喚”。 しかも相手は――”魔王”。 俺は、この危機に一か八かでそれを強行したのだった。「ふむ。なら、ヴァルトと呼ぼう。わらわのことは、“リア”と呼ぶといい」 淡々とした調子で名乗る少女。だが、その声には力があった。 俺は小さく頷いた。もうそれ以上、動く余力も残っていなかった。「にしても、ヴ
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