久遠揚羽は、イライラとして自室に戻った。 自室といっても二人部屋だ。 同じ階級で部屋は決まるので、兵長である揚羽より下は四人部屋となる。 「あーもー、なんでこんな腹たつんだろ……」 月子は初陣を失敗したことを悔やんでいたが、カガリは気にしていなかった。 それはいいことなのだろうが……何故か揚羽の胸の中はすっきりしない。 「なんか、どんどん背が伸びてるし……」 揚羽がよく知るカガリは六歳から十五までのカガリだ。 その頃は揚羽のほうが背が高かったし、カガリが自分の後ろをついてくるのが可愛かった。 反発することも少なかったし、怪我人がでるたびに本部に呼ばれては連れていかれるのが可哀そうに思っていた。 小さい頃のカガリは、二人も治すとバテて寝込んでいたからだ。 体の成長と共に異髄力も増したのだろうが、口数は少なくなっていって目つきは鋭くなる。 しかし、揚羽を見る目は変わらず優しかった。 防衛高には家から通えたのに、カガリは寮に入ることを選んだ。 遠慮していたのだろうか、当時二年生の揚羽は悩んだものだ。 入学したカガリは防衛高で高い成績を出しながら本部に通う。 そんなカガリを見ながら一年、揚羽は卒業して入隊した。 一年目は、追いつくのに必死だった。 自分も実家に帰る余裕はなく、カガリが入隊したら通常業務に追加で人を癒すのかと、想像しただけで疲労したぐらいだ。 そんな揚羽を、カガリはさんざん甘えさせてくれた。 規則正しい生活のカガリに、長電話したり外で食事をしたり。 だから揚羽の中で一時はカガリは、全般的に優しい人間だと思っていたくらいだ。 それが、入隊してきたカガリの周囲の態度が一変していてびっくりしたのだ。 「いつから、ああだったんだろう……」 クッションを抱きしめて、揚羽はベッドに寝転がる。 もしかしたら、カガリの今までの揚羽への態度は「特別」だったのではない
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