All Chapters of 運命にあらがう俺は、異能でSランク宇宙人をぶっとばす: Chapter 31 - Chapter 40

43 Chapters

第30話 たち消えた夢

 霧山は、空を見上げた。 カガリたち、オフィリア05部隊と、ローゼン02部隊がコープスイングで飛び去ったあとだ。  脳波遮断ヘルメットは、少し重い。 霧山は、隊長と外を巡回していた。  有識者のいるシェルターの場所は、隊員同士でも秘密だ。 今回は突発的な任務だったから、一通りシフトを守れば来週にはお茶の水基地に戻れる。  阿部にはこの話は出来ないなぁと思いながら、霧山は足場の悪いところを避けた。 出かけに、お前も昇進か? と不安げに聞いてきた阿部を思い出す。  ないないと笑い飛ばしたが、心配なのは、霧山も同じだ。 大きなミスさえなければ、今年度末にはまとめて昇進で二等兵にはあがれるはずだ。  軍功さえあれば、その次の上等兵も夢ではない。 カガリに追いつけるとは思えないが、せっかくお茶の水基地に配属されたのだ。  アピールチャンスは幾らでもある。 他の同期は、パソコン類の地下倉庫番になっているものもいる。  その手の配属は、昇格が遅れるので有名だ。 忙しくないのと比例して、出世も遅い。  ピーという突然の鳴き声に、霧山は唯一の今の装備であるグロッグ45を思わず構える。 ヒバリが枝を渡って、空を舞った。 「鳥か……」  霧山は力んだ自分に笑いそうになるが、不意に鳴った背後の小枝の音に振り向く。  そこには、サイレンサーを構えた霧山が立っていた。 「は……?」  銃口が霧山の喉に向けられて、霧山は霧山に撃たれた。 痙攣しながら血をまき散らす霧山に、もう一人の霧山が乱暴に装備を剥がしとる。 「……失敗しましたね、この分だとすぐに死にます。私の力では、対象物 が生きていないと真似する時間が短くなるというのに」  霧山の装備を纏った男は、バイオメタリック・エクソスーツだけは放置して、血を流し続ける霧山の体を坂道から蹴った。 かすかにもがく霧山は、坂の段差
Read more

第31話 話が出来ない

 久遠揚羽は、引っ越しをしていた。 兵長の二人部屋から、伍長の二人部屋へと移動だ。  今、伍長の女性は少ないらしく、一人部屋が空いているという。 五百雀《いおさき》月子が、まだ絶対安静の揚羽に付き添ってくれているのだが、微妙に目線が合わせられないでいた。 「もう大丈夫だよ~月ちゃんも引っ越しでしょ?」 「はい、二等兵から上等兵の部屋に」 「わたしは実質一人部屋だし、ゆっくり運ぶから」 「でも、一人で何かあったら……」  月子の正論に、揚羽は黙った。 入隊してからのほとんどは、四人部屋で過ごしてきている。  久しぶりの一人の部屋は、少し静寂が怖い。 そのうち、気兼ねなくだらだらしやすくなりそうだが、先の話になりそうだ。 「じゃあ、あと布団だけ助けてくれる?」 「はい!」  何か話を、と思っても今はどちらの部隊も佐竹隊員のことは避けている。 かといってカガリの話も避けたい。 「こないだ、月ちゃんも野菜食べた?」 「野菜……?」  じゃがいもや玉ねぎなどは、お茶の水基地でも食べられる。 少し怪訝な月子に、レタスとか……とそっと添えた。  新鮮は葉物などは、レアリティだ。 「ああ……あそこの。私、ポトフ食べました」  富士宮支部のことは口に出せない。 月子も、気が付いたようだ。 「ざくざくキャベツがたくさん入っていて……!人参も玉ねぎも、甘かったですねー! サラダにもレタスときゅうりが」  言って、月子は口元を抑える。 十八で、体を動かす仕事をしているのだ。  思い出しただけでよだれが出てもおかしくない。 二十歳の揚羽だって、その辺はたいして違わない。 「また、隊員が固定していないうちは任務がきますかね?」 「うーん、そろそろ静岡の支部と山梨の支部で補充が決まりそうな
Read more

第32話 動く上層部

 異界防衛軍、関東本部では夜坂《よさか》司令がたくさんの報告書に囲まれていた。 何杯目かのコーヒーを注いできた榎木少佐が、そんな女司令を憐れむように見る。 「司令のお仕事を見ていると、胃に穴が開きそうですねえ」 「御託はいいから、次の資料を」  パソコンがあれば地球外生命体にかぎつけられる。 なので、資料はワープロ。果てはタイプライターで作成される。  手書きのメモは、直近で電話で聞いた覚書だ。 「はい、これです……セクハラさえなかったら、肩をおもみしましたが」 「そういうことは、せめて事務員に頼むわ。……富士宮支部で行方不明?」 「ええ、巡回中の隊員が戻って来ず。中には、支部の中で見かけたという声もありましたが、時間が違ったようですし見間違えとされています」  夜坂司令は、コーヒーにミルクを注ぎながら一口飲む。 少し考えて、また口を開く。 「捜索隊……出ているのに見つけられてないのね?」 「何せ樹海ですから。呼びかけはしているんですが、足元不注意で転落したとしたら時間がかかりますねえ」 「……生きているのかしら」  榎木少佐は、手入れされた髭を軽く撫でた。 その端正な顔は表情が読み取れない。 「難しいでしょうな。今日で三日目ですから」  装備に水や食料は含まれてはいない。 見通しは暗かった。 「どこの支部の隊員?」 「お茶の水基地です。奇しくも不知火カガリと同期の一等兵ですねえ」 「奇しくもとは、どの意味かしら」  榎木少佐は、指を折って見せる。 「異髄力が三個で話題の、出世が早すぎる、グッズが大変なことになっている、あの不知火カガリですね」 「出世は……あの時はしつけとして与えたけれど、あの戦闘力を見るに間違ったことはしてないわね。異髄力に関しては、研究員たちが生きたまま解剖しかねない勢いよ。
Read more

第33話 護送任務①

 「――出動警報、レッドコード。 敵勢力、新宿空域に接近中。オフィリア03部隊、至急出撃準備!」  お茶の水基地の警報を、バイオメタリック・エクソスーツを着たカガリは出撃場で聞いていた。 オフィリア03部隊は、同期の阿部の部隊だ。  じきにここに阿部がくるだろう。 カガリは、本部に到着した椎名上等兵を富士宮支部に移送する任務の直前だ。  嘘を見抜ける異髄力を持つ椎名隊員は双子で同じ異髄力を持つという。その双子の片方は誰が護送するのかはカガリは知らない。 速度でいえば、鬼山啓心中佐だとは思う。  本部は今集団葬送の準備中だ。 本音を言えば、あまり行きたくはない。  だが、カガリの懸念の一つは富士宮支部にあった。 同期の霧山が、連絡が取れないのだ。 阿部と、おそらくは任務だ。もしかすると極秘かも――と言い合っているが、不安はぬぐえない。 「不知火少尉、お疲れ様です」 「おう、ご苦労さま」  オフィリア03部隊の一人が、カガリを見て丁寧に挨拶をした。 その言葉の端々に、嫌味のトゲが感じられるがカガリは平然と答える。  昇格して、今までよりやっかみが増えた。 カガリにしてみれば、態度が変わらない同期や一部の先輩たちのほうが変わっているのだ。  人は異端を嫌う。 好んで異端でいたいわけではないが、あらゆる肩書がカガリを目立たせてしまっている。  これが突然一気に起これば、調子に乗ったかもしれないが、大概は幼少からで慣れてしまった。 「すみません、遅れました! 今すぐ準備――ってカガリ……少尉!」  阿部が上着を脱ぎ散らかしながら着替えに着て、カガリに気が付く。 周囲に人――仲がとくによいわけではない――がいるときは阿部たちは敬称をつけてくる。 「これから行ってくるから。霧山のこと、気に病むな」 「は! ありがとうございます」  カガリが富士宮支部から帰ってき
Read more

第34話 護送任務②

 先頭を切るカガリのコープスイングに、神原雪音中佐のコープスイングが続く。 まだ数日しか経たない記憶が、オペレーションが切れるタイミングを覚えていた。  あの時は、トータル五体の地球外生命体が出現した。 今回は、果たしてどうなるのか。 「嘘が見抜ける異髄力っていうのは、珍しいですね」 「かなりマイナーです。普段は一応戦闘職なんですが、違反物のあぶり出しに特化しています。戦闘には何の役にも立たなくて」  風が鋭い音を立てる中、カガリと伊織は会話をしている。 出撃してからは体は密着していないが、バイオメタリック・エクソスーツを着ていてもどこか伊織は寒そうだった。 「普段の配属はこの辺ですか?」 「まさか、倉庫支部の岐阜です。陸路で進んだので、今日になってしまいました。弟のほうは奈良です」  はっきり言って閑職だ。 もしかするとコープスイングで飛ぶのも、久々なのかもしれない。 「はあ……はるばる来ましたね」 「まさかこの能力が生かされるとは思いませんでした。本部も今日初めてで」  カガリは時々空中を見上げながら、最速スピードを保っていた。 「どうでした、本部と支部と違いますか?」 「いやいやうちなんて取って付けたような支部基地なので、本部とはえらい違いですよ。……今回、本部が準備してる葬式って、僕らのこのミッションに関係あるんですよね?」 「ありますね……説明は受けてますよね?」 「一通りは。富士宮支部の警護隊員に嘘がないかを調べて、それが終わったら新横浜から市原支部までの、学者がシェルターを抜けた支部で聞き込みです」  ――もし、この護送が襲われれば。  カガリの予感が当たってしまえば、椎名双子の仕事する場所は限られてくる。 この、護送任務を知ることが出来る人間が、裏切り者だ。  できれば、無事に任務を終わらせたい。 「――きた!!」
Read more

第35話 怒りと悲しみと、そして復讐と

「霧山が行方不明!?」  椎名伊織、椎名伊吹隊員たちが到着してひと休憩入れている間に、カガリは富士宮支部の隊員を捕まえていた。 最初は下士官で、何も話せないと言われたカガリは上官を出させてやっと霧山のことを聞けたのだが。  返ってきたのは、予想外の返事だった。 「行方不明っていうのは、どういうことです?」  カガリは、富士宮支部の曹長と会議室に居た。 相手は年上だが、今はカガリのほうが上官になる。  極秘任務もこなしているので、事情を隠さず知れる立場だ。 「巡回任務に出てそれきり……今日で五日目になります。今も捜索隊は出しているのですが」 「じゃあ、その捜索隊にオレも加わります!」 「……本気ですか? 二十分以上、異髄力を使いっぱなしで、しかも122キロの速度でいらっしゃったと聞いていますが」  上目遣いで、媚びているというよりは怯えた目がカガリを見つめる。 だが、カガリは心配されるほど疲弊はしていなかった。 「全然やれます! やらせてください」 「では、今の捜索隊が戻ったら私と行きましょうか。……割ける人数が限られているので」  お茶が出されたが、カガリは苦い顔でそれをガブリと飲む。 そんなカガリを曹長はちらちらと盗み見るのを止めない。 「不知火少尉は、バイオメタリック・エクソスーツを脱がれないのでしょうか……?」 「ああ、オレは平気なのでこのままで」 「はあ……」  お茶の水基地や本部ではもう今更聞かれないことだが、富士宮支部の中ではまだまだザワつかせているようだ。 神原中佐に至っては、任務を果たしたのでもう本部に帰還していた。  会議室の電話が鳴って、曹長が飛び上がって電話を取る。 また、視線がカガリを探るが、今回は意味合いが違った。 「あの……不知火少尉……」  電話を切った曹長が、カガリの顔を見ずに切り出す。
Read more

第36話 葬送

 集団葬送は、重厚でしめやかに行われた。 隊員のすすり泣きは許されない。  当番のない隊員は皆、祭礼用の軍服を着て手袋をしていた。 カガリも、五百雀《いおさき》月子も、阿部一等兵も、姫川四葉も、階級別ではなく同期として前列のほうに並んでいる。  中心になるのは、極秘ミッションに参加して死亡した部隊だ。 しかし、葬儀の前に霧山の遺体が見つかったことにより二階級特進した霧山上等兵の葬儀も含まれることになった。  遺族の列の中には、霧山の両親もいる。 葬儀の前に、霧山の遺品を渡したのはカガリだ。  携帯の暗証番号は、カガリと阿部と霧山がそれぞれが何かあった時のために揃えていた。 ありがとう、という振り絞った声に、返事は出来なかった。  ただ、心の中で仇を討つことを約束した。 霧山の死因は、両親にも他の多くの隊員にも伏せられている。  他の隊員と同じく戦死したと思われているなら、そのほうがいい。 正しい死因を知るのは、一部の情報解禁されている本部と、富士宮支部の少数の隊員たちだ。  月子は、凍ったような顔のカガリの顔を少し見た。 カガリと阿部が取り乱さないときに、自分が泣くことは許されない。 「――敬礼!!」  長々とした弔辞と黙とうが終わり、空砲が響く。 こんなにも簡単に、人はいなくなるのか。  カガリがそっと軍帽を引っ張った。 声もなく泣いているその姿に、見てはいけないものを見てしまった気持ちで月子は視線を戻す。  カガリは両親のことも思い出しているのだろうか。 後列から、順番に部隊が葬儀から降りていく。  月子たちの列もしだいに動き出したが、カガリの袖を引いてもカガリは一人敬礼を止めなった。 その背を、そっと種田上等兵が引く。  唇を嚙み締めたカガリが、肩を落とした。 飾られた隊員たちの写真を――霧山の写真を最後に見つめて、種田に従う。  月子は、それが久遠揚
Read more

第37話 新型の出現

 カガリは司令室を出た。  カガリの懸念――護送任務を知る人間の中におそらく裏切り者がいること――を生島司令に伝えたのだ。 生島は、本部の夜坂司令とうまく連携すると請け合ってくれた。  そして、富士宮支部のほうでは早くも椎名上等兵たちが活躍していると教えてくれた。 久遠揚羽からは、遠回しに元気があるかとメールがきている。  カガリが男女共同ルームになかなか顔を出さないせいで、心配させたらしい。 揚羽も二人部屋を一人で使っているので、夜は寝る前に通話するようになった。  揚羽からの最近の反応は、どこか以前の姉っぽさは薄れているように思うが、まだ確信はない。 それでも、ささくれた心は随分癒された気がする。  霧山についての弱音も、揚羽は全部聞いてくれた。 「――不知火少尉、本部からの入電です。緊急事態につき、本部への援軍要請です!」  基地内で、緊急コールが流れると同時にアナウンスが被さる。 カガリは、疾走して着替えに走った。  今日は出撃のシフトではない。 急いでバイオメタリック・エクソスーツを着用しながら、イヤフォンを耳に着けた。 「不知火少尉、浅草にて新型の地球外生命体が出現。脅威度判定Sランクと判断されました。神原中佐より、援軍指名ですがいけますか?」 「行きます」  前回、親の仇であるSランク地球外生命体のパフィオペディルム型には間に合わなかった。 今度こそ、自力で仕留めてみせる。 少尉の位にあった実力があると。  ――しかし、指名……。  神原雪音と鬼山啓心すら、本部判断で現場に放り込まれているのだ。現場が指定したところで叶うとはあまり思えない。 あの神原がどんな判断でカガリを指名したのだろうか。  セイント・テスラを期待されているのなら、無名の新型にはそれは使えない。 新型には、遺骸もデータを取るために必要だ。  
Read more

第38話 新型の出現⑵

 カガリの報告に、現場も本部オペレーションルームも沸き立った。 動き回る獰猛な顎に突撃することは怖いが、残る一体も空間に固定されている。 「こんなにあっさりと……?」  モニターを見ながら愕然として、夜坂本部司令が呻いた。 カガリがまだ異能防衛軍に入隊する前、別のSランク地球外生命体が出現した際に、カガリと似た捕獲能力のある鷲塚大尉が同じように固定しようとして失敗した過去がある。  Aランクまでは影の異髄力で食い止めたものの、Sランクの膂力に耐えきれなかったのだ。 以降は、素早く弱点を探って倒す作戦でも鬼山中佐たちは結果を出してきた。  同じSランクのパフィオペディルム型も、不知火名誉中将が最後の力で弱点を暴いたものを鬼山中佐が、後から駆け付けて止めを刺している。 モニターでは、速度で威力をあげた鬼山が、残る一体の地球外生命体の顎を下から突き破って撃破した。  ぐったりとした二体の地球外生命体は、空中でこと切れた。 「偵察ドローンは、良い映像を捉えましたな! これでテレビが盛り上がりますなぁ!」  夜坂司令の隣で、嶽村副司令が小踊りそうなほど喜んでモニターを見ている。 苦々しいが、国が支援しているのだから止められない。  今夜のトップニュースになるだろう。 未知のSランクの地球外生命体が、隊員が怪我することなく倒されたのだから。  国民たちは勝利に酔い仕入れるだろう。 普段から、地球外生命体が出現してはシェルターに逃げ込む毎日を送っているのだ。  夜坂司令は、本部に戻る部隊の中から榎木少佐を注視した。 自分の右腕は、間近で不知火カガリの戦闘を見てどう思ったのか。  一機のコープスイングが、本部の方向から離れて飛び去っていく。 米粒サイズになって画面から消えたのは、カガリだった。  援軍として呼ばれたのだか
Read more

第39話 思わぬ危難の訪れ①

 お茶の水基地は、五月の新緑に満ちていた。 あれ以来、Sランク地球外生命体も出現せず、学者がシェルターから飛び出してくることもない。  双子の椎名上等兵がどこまで活躍しているのか、カガリには分からなかった。 今のところ、生島基地司令に呼び出されることも、本部の夜坂司令に呼び出されることもない。  カガリの中で変わったことといえば、カガリのグッズが販売され、お茶の水基地宛てにファンレターを貰うことが増えた。 討伐の任務があると、偵察ドローンがより接近してくるようになったが、気にしないことにしている。 「おー、おつかれさん。任務かなー?」 「啓心……鬼山中佐、お疲れ様です」  本部についたカガリは、鬼山中佐に速攻で絡まれた。 ぐりぐりとこめかみを攻撃されて、カガリは仏頂面になる。  小さいころは、憧れの兄貴的な存在だった。 こまめに遊んでくれた兄貴は、今や最強となった。   パフィオペディルム型が出現してカガリが暴走した際、手痛い目に入ったことを引っ張り出すような器でないのが、幸いだ。     「そんな他人行儀にしなくったってー。啓心って呼び捨ててた頃はどこ行ったー?」 「任務中だし」 「可愛くないなー、少尉殿は」 「オレに可愛かった時期なんかねぇよ」  本部では、三つ目の異髄力が生まれた後に検査された以来だ。 それより前となると、椎名伊織を護送した時だ。 思えば、討伐依頼はあったものの怪我人を治した記憶がない。 「最近本部は平和なのか?」 「ええ? まあねえ、最近は地球外生命体の出現警戒アラートも少し減ったな」  鬼山とカガリが並ぶと、カガリのほうが背が高い。 鬼山は少し背伸びをするようにして、小声を出した。 「ここだけの話、俺は嵐の前の静けさだって思ってんのよね」 「……根拠は?」
Read more
PREV
12345
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status