運命にあらがう俺は、異能でSランク宇宙人をぶっとばす のすべてのチャプター: チャプター 11 - チャプター 20

23 チャプター

第10話 運命

 コープスイングに乗って、空気を切り裂きながら本部につくと出迎え用の上等兵がカガリを待っていた。 本部はピリピリとした空気に包まれている。  案内役が走りながら救護棟へ向かうが、部屋番号を聞くとカガリは案内役を置いてけぼりにした。 子供の頃から呼ばれ続けて、どこに怪我したものが搬入されるかなど周知している。  通りすぎるナースや道具を、天井を蹴って避けるのも、慣れたものだ。 「カガリく――兵長、来てくれて感謝する」  声をかけたドクターも、カガリの古いなじみだった。泉医師だ。 「こっちが、骨が折れてスーツ内部に刺さって出血が止まらない。こっちは指が切断された状態だ」 「わかりました」  薬で意識を失っている二人に、カガリは発光しだした手をあてていく。 癒しの力《スタープレーヤー》は、見る見るうちに凄まじい傷を修復していった。  怪我人が見慣れない顔であることに、カガリは少しほっとしてから自己嫌悪した。 今年からは、同期も治すこともあるだろう。  自分に、回復させられる力があることが、希望だ。 「助かるよー、新人は本部勤務できないとはいえ、一番近いお茶の水基地で」  本部は全国から鍛え抜かれた精鋭が揃う場所だ。 班全員が、最低限兵長の三階級上の曹長以上しかいない構成で出来ている。 「君は将来的に、本部付けだろうね」 「さあ、そこまでは……」  カガリは今の配属先を気に入っていた。 部隊は違えど、揚羽と同じ基地なのはかなり運がいい。  できれば、移動はしたくなかった。 「不知火兵長、時間がよろしければ検査室にお越しください」  先ほど置いてけぼりにした案内人は、こないと思ったら新しいタスクを持って現れる。 ――やはり来たか。  カガリはため息を殺して、一礼すると病棟を後する。 「ありがとう、感謝しているよ」 
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第11話 覚悟の末

「検査中に何ですか。もう少しで終わるのに待ってもらえないのですか?」 「患者が重症なんだ! 申し訳ないがカプセルを開けてくれ!」 「それどころではない、こちらは副司令からの軍務だ。カプセルを開けてもらおう」  カガリの入ったカプセルの前で、言い争いが始まった。 研究員たちが、大勢困惑している。  検査項目もあと一つという条件で、こんなことは起きたことがない。 「あと一分もあれば計測が終わるんです! 待ってください。不知火兵長の初の戦闘後データなんです!」  研究員としても、そこは譲れない。 三すくみになって言い争っている間にも時間が過ぎ、カプセルが開いた。 「不知火くん! 重症患者だ!」 「それはあとだ! こちらは嶽村副司令のご命令である」  カガリは渡されたタオルで、ポタポタ滴る異髄を拭きとる。 何が起きてるのか、カガリには分からない。  とりあえず、病棟かと思っていると上級隊員の言葉がカガリの耳を打った。 「Sラン地球外生命体の討伐依頼ですぞ! 相手はなにせパフィオペディルム型です」 「なんですって――?」  母が死ぬ原因になった地球外生命体《ヴォイドフォーク》。 父を食った、その忌々しい地球外生命体《ヴォイドフォーク》の通称を、カガリが忘れるわけがない。 「今、襲ってきているんですか!? パフィオペディルム型が!!」 「そうだ、副司令は君を作戦に投下するおつもりだ」 「バカバカしい! 新人をSランク討伐に出すわけがない、そこまで言うなら本部基地司令に確認を取るぞ」  泉医師が、声を荒げた。 嶽村副司令の意図を汲んでいる隊員は、泉を見下した顔をする。 「たかだが基地医師が、参謀本部とコンタクトが取れるはずがない。第一今はパフィオペディルム型の討伐指揮中だ!」 「そういうなら、オペレーションルームに直に乗り込む!」
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第12話 現場の痛み

考え直すように言い続ける泉を無視して、カガリはどんどん流れてくる急患を癒していた。 泉医師も、軽症患者を診なくてはならない。 どのみち、バイオメタリック・エクソスーツに頼らなくてもカガリの腕力に泉は勝てないだろう。 最悪、力づくででも向かう気でいた。 『カガリ、イソガしい、カ?』 ふわふわと、m1,022型異星人のソラが、カガリの頭上で浮いている。 作業中に話しかけてくることは、珍しい。 「ソラか。ここでの作業が終わったら、パフィオペディルム型が暴れてる現場に行く」 『カスミガセキ、カ?』 ソラは予想通り、敵襲を理解していた。 過去に、他の地球外生命体《ヴォイドフォーク》が付近にくれば察知できると言っていたのを、カガリはしっかり覚えている。 「そう、戦えって命令されてる。オレはいかなきゃいけない」 「カガリくん! だから行ってはダメだと」 泉が遮ったが、付き合いの長さではカガリの勝ちだ。 ソラは柔らかく跳ねた。 『ソラがツレていく、いつもヨリはやイ』 「ソラが?」 コープスイングを生み出したのは、確かにソラたちの体の機構とパーツからできている。 ソラの小さな体に乗っかるのは少し怖いが、コープスイングより早いならば力を借りるしかない。 最後の患者に、癒しの力を注ぐと、むき出しに折れた骨と肉がくっついた。 「よし、ソラ連れてってくれ!」 「カガリくん――」
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第13話 傷の後味①

「……そうだったんだ。月ちゃんも初陣の洗礼を浴びちゃったんだ」  女子寮のフリースペースは狭い。 五百雀《いおさき》月子は、久遠揚羽と横並びになってお茶の缶を手の中で転がす。  種田上等兵に相談しょうと思ったが、自宅に帰られてしまい、御厨《みくりや》大尉は合コンに意気揚々と出かけていった。 相談相手が、揚羽しか見つからなかったのだ。  というより、何か言いたげな顔でうろうろしていたところを、揚羽に見とがめられたのが正しい。 「わたしもね、二年前はけっこう失敗してたんだよ」 「久遠先輩が、ですか……? でも、久遠先輩の同期の中では階級は」 「まあ、高いほうだけど。もともと、わたしの異髄力ってけっこう便利だし」  いたずらっぽく笑う揚羽に、月子は少し見とれた。 女性的で、美人だと思う。  不知火カガリが好きな女性は、こういう人だ。 「防衛高で訓練してても、相手は仮想VRでしょ? 手ごたえは全然違うし、リアルで見たらまあ手が震えたよね。声も出なくてがむしゃらにゼノブレイドを振り回しちゃって。素材は必要なのに、めちゃくちゃにしちゃったし」  ああ、この人は初陣で一体は倒したのだな。 月子の心の中がまたねじれた。 「ここのお茶の水基地は、そもそも本部が近いから高ランクの地球外生命体《ヴォイドフォーク》がこないのね。高くてCランクだし、新人育成には適してるほうなんだよ。防衛高の中でも優秀なタイプが、ここに配属になるって寸法よ」  ま、その一人はわたしもだけどね! と揚羽はまた柔らかく笑う。 「私、不知火――兵長に大口叩いたんです。あんたには負けませんって。でも、向こうは遅れてきたのに四体撃破で私は一体も――。そもそも到着が遅れたのも、私の移動が遅かったせいで……」 「別にいいんじゃない? カガリは、そのあと何か言ってこなかったでしょ?」  月子は驚いたように揚羽を見た。 その当たり前のようにカガリの行動を当ててくるのが、何か悔し
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第14話 傷の後味②

「お、あれカガリじゃね?」  軍服から部屋着に着替えた霧山が声をあげた。 男女共同ルームで休んでいた数人が、窓に張り付く。 「また本部に呼ばれてたんかアイツ」 「くっそー異髄力二個持ちのチート野郎め」 「入隊五年目の俺も、そのうちあいつの部下ルートかもな……」 「不知火くんってコープスイングの個人スピード、あの鬼山中佐の次なんでしょ。かっこいいわー」 「狙うなら今なのに、鉄壁~」  共同ルームにたむろする隊員が、口々に好きなことを言う。 カガリの同期の阿部と霧山は、高校時代からこうしたことを聞きなれていた。  よって、聞こえないふりだ。 何か言い返すと、カガリの弱点を知らないかとか余計な詮索がくる。 「カガリのやつ、なにかと目立つからなぁ」 「おれなら嫌だよ、胃が弱いからな」  ひそひそ言っていると、カガリは着陸斜路に降り立ってそのまま畑のほうへ向かってしまった。 本部の検査について再三文句を言っていたから、気分転換かもしれない。  ふと、阿部が当番表を確認にいくと久遠揚羽兵長はこの時間、畑の当番が入っていた。 コープスイングの上から、さては目ざとく見つけたのかと二やつく。 「本部より入電。不知火カガリ兵長はSランク地球外生命体《ヴォイドフォーク》討伐の功により、不知火曹長へ昇進。繰り返します……不知火カガリ兵長はSランク地球外生命体《ヴォイドフォーク》討伐の功により、不知火曹長へ昇進」  基地のアナウンスが不意に告げる。 共同ルームが、一気にざわついた。  曹長は、兵長、伍長、軍曹の上になる。次は准尉に当たる、士官クラスに近い。 「うそだろ、曹長!?」 「まだ入隊一か月未満のやつが?」 「Sランク討伐ってマジか!」 「ガチで出世コース!」 「マジでエリートすぎる……」  昇級は普通、年度
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第15話 出動

「――出動警報、レッドコード。 敵勢力、六本木空域に接近中。オフィリア05部隊、至急出撃準備!」    アナウンスが流れたのは、カガリたちが食堂に居る時だった。 待機日だったので、カガリだけは朝からバイオメタリック・エクソスーツに着替えていた。  八割食べかけのまま、片付けを同期の阿部に任せて走り出る。 同じく食堂にいた五百雀《いおさき》月子と、食堂のドアをどちらが先に出るかで二人は揉めた。 「こ・こ・は・上官に! 譲るべき、じゃねーのかぁ?」 「い・い・え! 下士官が上官より遅れるのはあるまじきことなので! 私が先ではないでしょうか?!」  出動アラートが鳴っているのに、これだけ平和な馬鹿をさらしているのはこの部隊だけだ。 他班の少尉に「いい加減にしないと茶碗を投げるぞお前ら」とどやされて、しぶしぶカガリが譲る。  バイオメタリック・エクソスーツは着ているだけで同調率があがってしまう。 他の隊員は、カガリのように長時間着用できない。  いつでも20IzFのカガリが異常なのだ。 広い廊下を疾走する隊員には、みんなが慣れているのでぶつかりもせずに出撃場所に辿り着く。  そこには一番に乗り込んでいた種田上等兵が居た。 「またやってんのか、おふたりさん。朝から元気だな」  着替え終わった種田は、標準装備を整えていく。 カガリもそこに並んだ。 「そこの小娘が、上官に道を譲らねえから」 「小娘って! 同じ年でしょう、不知火曹長? 知らない間にフケたんですか? 存じませんでした」 「オレが言っているのは精神年齢ですぅ~、そんなこともわっかんねえのか」 「はいはい、いつものソレやめやめ。そろそろおっさん怒るよ?」  月子が着替えに行ってすぐ、御厨《みくりや》大尉も駆け込んできた。 コープスイングを広げるカガリには、一昨日の涙の気配はない。  好意を持っている相手の前で泣
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第16話 悪意の存在

 お茶の水基地では最大の脅威レベルのCランクがきた。 脅威度判定では、一部のオペレーターの異髄力でCランク以上か以下かはすぐに判明する。  そのうえで、本部か支部かに分かれるのだ。 「毛利庭園跡地に、生体反応あり。逃げ遅れた民間人と想定。近づかせるな」  剣崎副司令の声がイヤフォンから流れ、カガリは駆け出した。 発生地域からは離れているが、近い個体から撃破せねばならない。  逃げ遅れた民間人は、足の弱い老人か子供か。 「姫川、毛利庭園跡地に近い地球外生命体《ヴォイドフォーク》から個別ナビゲーションを頼む!」 「はい!……そのまま直進してください。曲がるタイミングで連絡を入れます」  同期の姫川四葉二等兵の異髄力は「コマンド・アップリンク」。精神回線で仲間に指示だしが出来る。 基本的にはナビゲーター同士のつなぎ役だが、イヤフォンを無くした場合や今回のケースの時に活躍できるのだ。 「種田上等兵、戦闘開始。――御厨《みくりや》隊長戦闘開始。五百雀《いおさき》一等兵戦闘開始」  次々と仲間の戦況が流れてくる。 月子は初のCランクで大丈夫だろうかと、ふと思った。 「不知火曹長、右折してください」  姫川四葉のナビゲーションに、カガリは目の前のことに意識を戻す。 月子の実力を一番知るのはカガリだ。 悩むことに意味はない。 「あれか!」  大きく口が裂け、牙をむいたフクロウナギ型の地球外生命体《ヴォイドフォーク》の巨体を捉えた。 防衛高で、主に地球に襲来済みの地球外生命体《ヴォイドフォーク》の弱点は、暗記している。  フクロウナギ型は、地面に接地している腹部のはずだ。 「ウナギってのはうまいんだってなぁ!」  カガリはフクロウナギ型を虚空に縫い付けた。 地球外生命体《ヴォイドフォーク》は、弱点の腹部をむき出しに固定される。  カガリの専用武器であるシナプスダガー
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第17話 後始末

 月子がお茶の水基地に飛び込むと、基地に付随したシェルターが解放されていた。 地下は深い。  そのままコープスイングでシェルターに飛び込むと、長い長い闇に包まれる。 何重もの内扉が、素早く月子の前で開閉していった。 「う……う」  コープスイングに括り付けた男が、くぐもった声を出す。 意識が戻ってきたようだ。  ここで暴れられたら、落ちて死なれてしまうかもしれない。  月子が加速して地下三十階以上の地面に降り立つと、待ち構えていた隊員たちが男を羽交い絞めにした。 「五百雀《いおさき》二等兵ご苦労。後の始末はこちらでしておく。このまま武装解除しろ」 「しかし、まだ部隊は哨戒中です! 私一人だけが戦線離脱は――!」 「五百雀二等兵、同調率は今70IzFだそうだ。気持ちはわかるが、武装解除しろ」  イレギュラーが起きて、思わず同調率が上がったのだろう。 くやしさで歪みそうな顔をこらえて、月子は地上に上るエレベーターに案内された。  そもそも、何故この男を運ぶのにカガリは月子を指名したのだろうか。 バイオメタリック・エクソスーツを着ている限り、男女の力の差は関係がない。  あの一瞬で、カガリは月子の同調率の高さを見抜いたのだろうか。 種田に命令があってもおかしくないのに、何故自分が選出されたのだろう。  おそらくは、月子の力不足のせいだ。 「五百雀二等兵、司令室から呼び出し。至急、司令室へ出頭せよ」  バイオメタリック・エクソスーツから軍服に着替えていると、アナウンスが流れる。 おそらくは事情の説明だろうが、月子は男の捕まった経緯を知らない。  汗ではねたショートカットをなんとか撫でつけて、司令室をノックした。 「どうぞ」  穏やかな生島司令の声がして、月子は背筋を伸ばして入室する。 「五百雀《いおさき》くんだね、座ってくれないか」
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第18話 恋のカケラ

「いやー、せっかく彼氏が出来たのにな~。過密スケジュールでデートが遠のくよ~」  廊下を歩く御厨《みくりや》大尉が、明るい声で愚痴った。 重大な任務を任されたが、全員の足取りは軽い。 覚悟は、皆が決まっていた。 「え、合コンうまくいったんですか?」 「なんでヒいてるの、不知火くん!!」 「ははは、おめでとうございます、隊長」  カガリの袖が、ふいに引かれる。 正体は、五百雀《いおさき》月子だった。 「あの、ちょっといいですか?」  先月まで対等だった月子は部下となってから、敬語を貫く。 当然のことだが、今はその言葉にとげがあった。 「ンだよ?」 「なんで、私だったんですか」 「はあ?」 「あの学者を連れて帰る役割――」  何故かけわしいその顔に、カガリは面倒そうな顔つきをしてしまう。 防衛高時代から月日は経っていないのに、どうしてこうも頑なになったのか。 「なんでって、隊で俺の次に速度だせるのお前じゃん」 「え……?」 「タネさんが部隊で一番遅いんだぜ。隊長は指揮があるし、オレはいざってとき足止めの異髄力があるわけだし、どう考えてもお前だろ」   月子の肩から力が抜ける。 何か検討違いなことでも考えて、つっぱらかっていたに違いない。 「上官じゃなくて、同期としてもっとオレを信じろ。おまえを使えないと思ったことなんかねえよ」   カガリは月子の頭をわしわしと撫でる。 途端に壁によろけた月子に、カガリのほうが今度はいぶかし気な表情を浮かべた。 「どした? つーかお前具合でも悪いんか」  片腕で月子の体をしっかり立たせると、軽くしゃがんでその額に自分の額を押し当る。 見る見るうちに、カガリの額にも熱が移ってきた。 「し、失礼します!」   月子が、大声を
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第19話 作戦会議

 防音の会議室に、オフィリア05部隊とローゼン02部隊が集まった。 指揮をとるのは、基地司令の生島だ。  副司令の剣崎は、その異髄力でそうそうオペレーションルームから離れられない。 ローゼン02部隊にも事情を話すところから始まり、カガリたちは机の上の駒を眺めていた。 「我々の担当は、奥多摩の有識者の移動だ。旅客機型のコープスイングでおよそ三十分と少しといったところか。他の支部はそれぞれの県で応援を受けるとのことだ。本部は一部は護送、残りは先に富士山麓で、受け入れ態勢をとる」  生島は、飛行機のおもちゃを地図に乗せる。 「地球外生命体《ヴォイドフォーク》の素材で隠蔽した箱には、一つずつ隊員一人を付き添うことになる。他の隊員は、常に旅客機型のコープスイングから一定の距離で護送してほしい。旅客機型のコープスイングの操縦は、奥多摩支部から人が出る」  人型のおもちゃを、生島が飛行機の側に配置した。 つまり、部隊から一人ずつ有識者たちの付き添いにだし残り三名ずつが、万が一の襲撃に備える役だ。  はい、と種田上等兵が手をあげる。 「有識者の付き添いは、自分がやります。ここは若手よりベテランのほうが、不安にも対応しやすいでしょう」 「では、うちの部隊でも最年長を出します」  ローゼン02部隊の鷲塚中尉が、年かさの隊員に頷いた。 いくら頑張って声をかけても、見た目の力は強い。  ここは貫禄があるほうが、適任だろう。 「部隊で前方と後方にわけたほうがよさそうですね。うちはどちらでもいいですよ。新人さんを二人抱えている、オフィリア05部隊のほうで好きなほうを取ってください」  鷲塚が、結んだ長い髪を背中に流す。 御厨《みくりや》大尉がカガリを見たので、カガリは口の形でぜ・ん・ぽ・う、と伝えた。  どちらでも良かったのだが、前方のほうが危険な気がしたのだ。 「では、前方で」 「承知しました。では、我々は後方で」 
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